010
ガサ、ゴソ
なんだろ、急にうるさくなった。
しかも急に体に重みが。
まさか、これが俗に言う、金縛り!
「ふふ、寝てるなシグル」
ん、この声って。声が小さくて何言ってるかあまり聞こえないな。ちょっと様子を見てみようか、いや、見ないほうが良い、マジで幽霊だったらものすごく怖いんですけど。
ガサゴソ、ガサゴソ。
やばい、幽霊何かしてるよ、何してんだよ、何かガサゴソ言ってるよ、怖! すんげえ怖!
※
「ねえ、エレン。昨日さ、夜になって寝たじゃんか」そう言いながら、俺は朝食のトーストを口に運んだ。
今日の朝食はパン派のエレンが駄々をこねるので仕方なくだ。
全く、俺はご飯派なのによ。
「うん」
「寝て、しばらく経ったんだよ。で、物音で目が覚めたら、何か幽霊見たいのがいてさ」
「幽霊?」
「いや、ほんとに幽霊か分からないんだけどさ、何か『ふふ、永眠させてやろうシグル』みたいなこと言ってた」
「永眠? 幽霊? ゴースト系のモンスターとかかな?」
そういえば、さっきからシーニャ静かだな。
「なあ、シーニャもあったの幽霊?」
「えっ! あ、いや、その」
「ちょっといいかな、シーニャん」
「え、俺は?」
「君は後で」
※
「シーニャん、昨日シグル君の部屋に行ったよね」
「言ってない」
はあ、だからあたしはシーニャん達の思考が読めるんだって。
「夜這いか? 夜這いだよね。ふざけてんのか。彼氏いない歴=(イコール)年齢のあたしに対して嫌がらせか? あぁん!? ふざけてんじゃねえぞ」
「いや、そんなんじゃなくて」
「なあ、あんたさシグルのこと好きなの如何なの」そう言いながらあたしはシーニャんの胸倉をつかんだ。
「す……好きです」
「よく言った、好きなら許す」
「え!?」
「あたし、シーニャんが本当に好きなのか確認しただけ」
そっか、そうなんだ。やっぱ、好きなんだな。
※
「ねえ、エレン結局なんだったの?」
「幽霊、だっけ大丈夫だよ。だってここ、ゲームの中だよ」
そっか、そうだな。ここ、ゲームの中だもんな。
「じゃあ、さっさと飯食って。皆でギルドの申し込みに行こうぜ」
「そうだね……」
「うん」
…………。
「如何したの? シグル」
「ギルド申し込みってどこで出来るの?」
「ららぽ、だよ」
「オマエららぽ好きだな、他の奴もららぽばっか」
「いいじゃん、近所だから色々設定とかしやすかったんだよ」
そうなんだ、そんなモンなのか?
※
「はい、確認しました。《真夜中の星星》の方々がんばってください」
「ありがとうございます」
「よし、《真夜中の星星》活動開始だ!」




