第13話〜夜と学校と……〜
夜の学校は怖い。なんかもう、………マジで怖い。 灯りは非常口の看板の緑の光。それに、消火器の光だけだ………
「って事で、ユウを探そーう!!!」
「探険や〜!」
「幽霊カマーンでっす!!」
今、恐怖がアホ三人によって打ち消された…。
ちなみに、少女達がいるのは、昇降口。
「……ってゆうか、なんでみんな重装備なのよ…」
藍は巨大ハンマー、流音はおなじみカマボコバッズーカ、ライは釘バット、そして桜子は…
「マシンガンですわ」
………ですわ、じゃないと思う。ってかユウを探しに来ただけなのに何故こんな武器があるのだ?
ちなみにアホ三人は、ハカマに日本刀。
「………とにかく、一階から探さなくちゃならないわね」
この学校は5階建てであるがために、探すのも一苦労となるのだ。
「……にょ〜〜」
どこからか声が聞こえた 「だ、誰ですか?にょ〜って言ったのは…?」
「はあ?んな声聞こえたか?」
「藍は目だけやなく、耳もおかしくなったんか?」
「そ、そんなぁ……」
確かに藍の耳には
「にょ〜」
という声が聞こえた。
「だいたい幽霊なんちゅうもんがおるわけ無いやん」
「伽凛の、言うとうり。エイリアンは、信じる。幽霊、信じない」
比較の基準が分からないよ。
「にょ〜」
再びあの声。もう藍の脳はパニック状態である。
「まままままた!また!また!また聞こえましたよ!」
「私も聞こえましたわ」
風花は呆れた表情を浮かべる。
「お化けなんかいないから!藍はビビり過ぎだっての。あたしが先頭をきるから、あんた達、女王についてきなさい」
その言葉の直後、風花以外の全員の体が凍った…
「へ?何?なんでかたまってんの?」
ミカンが凍った体を必死に動かし、風花の後ろを指す。
「ふ、ふ、風花………後ろ……ヤバイでっす……」
後ろ?と、思いながら、振り向くと、暗闇から腕が二本伸びていた……
「…………」
暗闇から腕が二本伸びてい………
「…………」
暗闇から………
「ぎゃぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!」
もはや風花の悲鳴は女の声ではない。獣の叫び声だ……。
「いやぁぁぁぁ!!」
続いて、藍も恐怖に堪えきれずに叫んだ。
腕は風花の胸をギッチリと掴み、暗闇へ引っ張る。
「いやぁ!助けてぇ〜!」
「ふ、風花ぁ!」
ライが助けを求める風花の腕を掴み、負けじと引っ張る。
「ラ、ライ……なんだか、離ればなれのお姫様と王子様のようね……ウフン」
コイツは、この非常時に、しかも自分の身が危険なのに、何ほざいているのだろう……?
「う、うるせぇ……畜生、オイっ!ミルク、桜子!お前らも手伝えってコラァァァァァ!逃げんじゃねぇ!」
重装備しているハズの桜子はさっさと逃げている……。もちろんミルク達も…風花って仲間に見捨てられたんだね。
謎の両腕はさらに力いっぱい引っ張る。
「あ〜ん!胸が潰れちゃう〜って余裕なコト言ってる場合じゃないから!腕!あたしの腕ちぎれるよライ〜!」
「くそっ!……女子野球部なめんなよっ!」
しかし、とうとうライの手から風花の腕が放されてしまった。
「きゃぁあぁぁぁぁぁ!!」
風花は昇降口から一番近い部屋、職員室に引きずられて、消えてしまった。
鍵もかかっており、開かない。しかたなく、釘バットでドアを破壊する。
「クソッ!」
ガンッ! ガンッ! ライは釘バットでドアを破壊する。そ音の合間に、風花の声が聞こえてきた。
「…あっ!あぅん……痛っ……はぅ……そ、そこ…そこが……」
ガンッガンッガンッ!!
破壊するテンポを急にライは上げた。
まさか、まさか風花…!
えっちな事を…!? ガンッガンッガンッ!!
「こ、壊れないっ…」
ってゆうか、壊れて欲しくない。壊れないで、ドア…。
それがライの今最大の願いだった…………
続く