第12話〜レタスとカビ〜
今回だけシリアスです。次話からめっちゃ暴れます(多分………)
あのじいさんとの馬鹿らしいやりとりを終えた僕は、今校舎にいる。
ってかこの学校は、敷地が広く、校舎も広い。
目指すは2年棟…けど、もうココがどこだか分かんない。
授業休憩らしく、生徒が賑やかに笑ったり、話したりしている。もしかしたらミルクさんに会えるかも…
「あれ?ユウさん?どうしたんですか?こんなトコロで……」
「え?藍さん?」
いきなり後ろから声をかけたのは藍さんだった。
ってか藍さんと同じ高校だったんだ。
「何してるんですか?彼女探しですか?」
「彼女なんて…」
畜生このアマ…。僕は生きてから、一度も彼女ができたことがない。なんなんだ?人の悲しみを掘ってたのしいか?
「あ、あの、ミルクさん探しているんですけど」
「あたしに何か用?」
「って、ぎゃぁぁ!!ミルクさん!!いきなり現れないでくださいよっ」
僕の目の前に突如現れた怪獣・ヒンニューラ……じゃない、ミルクさん
「ってゆうか弁当!忘れてます!!」
僕は大事に持ってきた弁当をミルクさんにつき出す
「これ、昨日の弁当だし…さっさと帰って洗ってくれない?」
……………へ?
昨日の、弁当?
僕が頑張って持ってきたのに?
「授業始まるから、早く帰りなさいよ」
キーンコーンカーンコーン
「早く弁当洗ってちょうだいね」
「ユ、ユウさん、さよなら」
そして、魂の抜けた僕だけが、廊下に取り残された………
僕の名前はユウ・ハウスワーク。ご主人様の弁当を届けに来たが、実は昨日の弁当だったそうだ。
ってかもう…やだ。
普通さ、空の弁当って軽いじゃん。コレ、重いもん。よぉく中身をみたら、レタス一枚しか弁当食べてない。
レタス…弁当の主役じゃないよね?めっちゃ脇役だよね?
しかもすでに、弁当にはカビが生えている。早ぇよ…。
ってか、また迷った。出口どこ?すると、後ろから声をかけられた。
「やあ、キミ、可愛いね」
ぞわり………何?この感覚?体がうまく動かない。
「おじさんと、イイことしない?」
ぞわりぞわりぞわり…
気持悪い。変態パンダよりも気持悪い。
「おじさんねぇ、テクニカルだよ?いや、ホントに…」
「あの、僕男ですけどっ!!」
勇気を振り絞って振り向くと、そこには中年の教師が立っていた。
「知ってるよ。おじさん、キミの体を借りたいんだ」
「はっ!?」
「キミみたいな、容姿、羨ましいよ。とてもハンサムだよ」
オイ、今時ハンサムって使わねぇぞ。
ってそれどころじゃないよ。
教師が一歩ずつ僕に近付いてくる。
ヤバイ。こいつヤバイよ!
「う、う、うあぁあぁぁぁぁぁ!!」
僕の意識は、切れた。
屋敷にはすでに、全員が学校から帰って来ていた。
「ねぇ、ユウ遅くない?つまんないなぁイジメ相手いないじゃん」
「オイ、ミルク。あいつ学校に来たんだろ?何かしらねーのか?」
「し、知らないわよ!!多分買い物でしょ!?」
食堂に座るミカン、伽凛以外の6人の少女達。沈黙の空気が流れる。
「そういえば、今日はヤスヒトくんの命日じゃないですか?」
ミルクがピクリと反応をしめした。
ヤスヒトという人物は、ミルクの唯一の男友達であった。しかし、去年の夏休み、事故で亡くなったのだ
「そうですわね。ミルクさん、お墓に行かなくて良いのですの?」
「えっ………」
「ミルク、ヤスヒト、まだ好きだから…」
と、ちょっとだけしんみりした空気であったが……
「ヤッホーイでっす!!」
「事件やで〜!!!」
バッターンと、勢いよく扉から飛びだしてきたミカン&伽凛。
「ど、どうしたんですか?」
「ミルクの高校で、痴漢事件が多発でっす!!」
「そんなわけで、ウチらタコ焼き探偵が調べに行きはります!!」
タコ焼きって……地味だなオイ。
「はあ!?今から行くの!?」
「せや。行くで〜」
「ついでにユウも探すでっす!!!」
と、ゆうことで、8人の少女達は学校へ向かって行ったのだった………