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夜市《よいち》

「はい、焼餅シャオピン、焼餅、焼き立てアツアツの焼餅はいかが?」


売り子の声と共に、温かで香ばしい匂いが鼻孔を衝く。


やっぱり、焼餅もお願いしよう。


少年は思い直す。


母ちゃんは、粽子の方が腹持ちするからと言うけれど、おれはこんがり焼けた餅の方が、本当はずっと好きなんだ。


「蜜たっぷりの山査子サンザシだよー!」


流れてきた甘酸っぱい香りに、今度は涎が出る。


山査子もいいな。


九月の重陽節ちょうようせつの頃、母ちゃんとお祭りの屋台で一本買って、半分こして食べたきりだ。


食べて噛みしめたあの味は、匂いよりもずっと甘くて、そのくせ酸っぱくて……。


あの時、夢中で串にむしゃぶりついたせいで、最後の一個はドブに落としちゃった。


母ちゃんがやめろと泣きそうな顔で言うから、拾わなかったけど……。


「親父、海鮮炒麺ハイシェンジャオミエンを二つ!」


飛び込んできた威勢の良い頼み声に胸が騒ぐ。


炒麺って、食べたことないや。


いっつも、この市場に来るたびに、よその人がチュルチュルおいしそうに

麺を啜るところを遠くから眺めるだけ……。

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