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活用方法

  科学に対する考え方にも、色々とある訳ですが、その中に“道具主義”というものがあります。

 理論を、物事を推測する為や、理解する為の道具として捉えるのですね。

 これとはちょっと違うかもしれませんが、理論の実用性に着目した社会的な視点もあります。これは科学と疑似科学を分ける物差しの一つ(飽くまで、一つです)にも数えられているもので、まぁ、本物の科学とは違って、心霊科学だとかいった疑似科学の場合は、それを何かに役立てる事なんかできない、だから、役立てる事のできるものは本物の科学といえる、とかそういった感じの考え方です。

 つまり、それが本物の理論ならば、何かしらに活用できる可能性が大きいのですね。

 僕の理論も理論である以上(その理論展開にまだまだ甘い部分があるにしても)、もちろん、道具として用いる事が可能です。

 ……というか、そもそも僕は、活用方法があるからこそ、こんなものを書いて、そして発表をしたいと思った訳なんですが。

 たくさんの問題を、この理論を応用する事で改善できるのではないだろうか?と僕はそんな事を考えているのです(じゃなかったら、こんなに労力をかけたりしません)。

 多分、それでたくさんの人の生活が楽になります。もちろん、社会の悪い流れの犠牲になる人も減らす事ができるはずでしょう。なら、何もしないでこれを自分の中にだけしまっておく事は、自分がそういった人達を見殺しにするのと同じじゃないだろうか?とか、考えちゃったら動かない訳にはいかないでしょう(中には、何でこんな事をやっているのか不思議に思う人もいるかもしれないですが)。

 まぁ、とにかく、少なくとも、発表する価値はあると思ったのですね。

 

 ……前置きはこの辺にして、説明を始めたいと思います。

 近年に入って、今までの経済の常識が通用しなくなってきたと言われています。雇用なき景気回復と言われる現象や低金利下での不況の継続… 原因は不明とされていますが、僕には、なんとなく思い当たる節があります(もちろん、漠然と“そうかもしれない”程度で思っているだけで明確な証拠がある訳でも何でもないのですが)。

 前章の最後の方で述べましたが、生産物の種類が増える限界がいずれは訪れるだろう事が予想できます。労働力が余っているのに、新生産物が誕生をしない状態ですね。そして僕は、もしかしたら、近年になって、これに近い状態に入ってしまったのじゃないだろうか?と考えているのです。

 もちろん、完全な限界に入っていると考えている訳じゃありませんが、少なくとも、新生産物の誕生が起こり難くなり、そのスピードが遅くなってしまっているのじゃないか?と。

 前回で述べましたが、もしその状態だとすると、余った労働力の分だけ、お金が余っている事になります。そして、実際に今現在は、(2007年6月現在)世界的に失業者が多く、お金が余っているのです。

 こんな状態は、今までの経済学では想定していなかったはずですから、常識が通用しなくなっても当然なはずです。

 もっとも、これだけで全てを説明するのは難しいでしょう。だから僕はもう一つ大きな要因を考えています。それは、金融経済の活性化です。

 近年に入って、株式をはじめとする金融取引が活発化しました。その規模は、実体経済の何十倍とも言われています。そして、前章で述べた通り、金融取引の需要限界は恐ろしく高いのです。だから、これも前章で述べましたが、所得格差が開いても、経済成長が起こります。

 金融取引に、労働力余剰によって余ってしまったお金が流れているのであれば、今社会で起こっている現象を上手く説明できるように思えるのです(もう一度、繰り返しますが、飽くまで、そう予想しているだけです。明確な証拠がある訳ではありません)。

 かつて、アメリカ“ニューエコノミー”の一人勝ちと言われた現象がありました。これも、今までの経済の常識では説明できないと言われていますが、ここで述べてきた事が、或いはその正体なのかもしれません。

 さて。

 もし、仮に新生産物の誕生が起こり難い状態に今社会がなっているのならば、労働力が余り続ける事になります。

 つまり、失業問題、或いは低所得問題が解決できません。

 (これから先の先進国の人口減少、とそれに伴う労働力不足を考慮するのなら、いずれは状況に変化があるかもしれませんが、インターネット等情報技術の活用による流通分野での生産効率向上、世界規模での発展途上国の生産効率向上を考えるのなら、まだまだ捨てるべき問題意識ではありません)

 そこで、通貨循環モデルを用いてその解決方法を提示してみたいと思います。大きく分けて、それには次の3パターンが考えられるでしょう。

 

 1、新たな生産物を積極的に誕生させる

 2、生産効率を下げる

 3、通貨を非労働者にも流通させる

 

 1は、まぁ、生産物が自然発生しないのであれば、積極的に創ってしまえばいい、という単純な発想です。

 つまり、絶対に消費しなければならない生産物を社会の方で設定してやるのですね。公共料金だとかと似たようなものです(というよりも、同じかも)。更にここで、この新生産物を環境問題を解決する為のものにしたり、医療や介護や教育といった社会福祉に当てれば、失業問題という経済の問題を解決する事で、他の社会問題を改善させる事が可能になります。

 僕は、この方法を執る道がベストだと考えているのですが、それはもちろん、発展途上国がこれから経済成長する事を考慮するのであれば、環境問題の解決と経済成長を両立させる手段はこれしかない、と判断しているからです。

 これから発展途上国が経済成長をしていけばその過程で、とんでもない規模の環境破壊が起こるだろう事はほぼ間違いはありません。しかし、このままでは、それを回避する事はできないでしょう。

 もし、仮に、経済的な問題が今のままでも解決するのだとしても、経済発展によって社会に悪影響があるのならば意味がありません。そういった意味でも、この方法で社会問題改善を促す事を僕は強く押したいのです。

 もちろん、国が全てを決定するやり方では恐らく上手くいかないでしょう。市場原理を有効利用するべきです。例えば、料金の決定権を民間に与え、企業の自由参入を許し、評価システムを整える事で、自由競争を促し生産物の性能向上を実現する、とか。もっとも、初期の料金設定くらいは、国の方でしてやる方が混乱がないかもしれませんが(まぁ、多分、これをやろうとすると、色々な利権問題とそれに関わる不正が出たりするのではないかと考えられますが……)。

 低所得者層には、ある程度の負担を免除したり、通貨の循環がスムーズに流れるまでは(支出が増えれば、収入も増えるようになるはずですが、それにはタイムラグがあると考えられます)国がサポートしたりすれば、恐らく、致命的な問題点はないのではないか?と僕は考えています。

 因みに、ここで生まれる新生産物の通貨循環量だけならば、通貨供給量を増やす事が可能です。説明するまでもなく、通貨需要が増加する分だけ、通貨を供給するので、物価上昇が起こらないからですね(萎縮状態にある経済が復活する過程の、健康的な物価情報ならば起こります)。

 初期時については、だから生活者に直接通貨を配っても問題ないはずです(スムーズに循環する場合、支出が増えれば、収入も増え、負担増にはならない。今の社会に一番欠けている認識は、或いはこれかもしれません)。

 2は、生産効率が向上した事によって、労働力が余ってしまった。なら、生産効率を下げてやればいいのではないか?という、これも単純な発想です。

 もちろん、設備等を劣化させる訳にはいきません。ですから、労働者一人当たりの労働時間を減らしてやるのです。

 これは、ワークシェアリングという方法で既に社会で実践されていますね。ヨーロッパなどで行われている、仕事の分け合い。

 因みに、労働時間が減った分、自由になる時間が増えるので、それによって、需要が増加する効果もあるのでは?と予想できます。

 3は、失業者の誕生によって、通貨循環が断たれてしまった。なら、非労働者にも通貨を供給すればいい、という発想です。

 これも、まぁ、今でも実践されていますね。言うまでもなく、年金や失業保険などの社会保障制度はこれに当たります。

 もっとも、モラルハザードなどを考慮するのであれば、永続的かつ普遍的には用いるべきでない方法ですし、労働人口バランスによっては破綻する可能性もあるのですが。

 

 さて。

 年金の話が出た流れで、年金問題の解決方法も提示しておこうかと思います。上の話と同じ発想で、実は年金問題も解決する事が可能なはずなのです。

 今の年金問題は、要は、高齢化社会になって実労働者が減ってくれば、お年寄りの生活費を現役世代だけで賄う事ができなくなるのじゃないか?って問題です。

 これには、実は見落としている点があって、確かに金額的な負担増は避ける事はできませんが、生産効率さえ向上させてしまえるのであれば、実質的な労働負担は変わらない、或いは低く抑える事が可能なのです。

 モデルで詳しく説明すると、

 単純な、生産物Aを一人で五人分作っている社会を考えましょう。他の四人は高齢者で一人が全員分働いているのです。ここで、生産物Aに対する生産効率が低ければ、一人に対しての労働負担はとても重くなります。しかし、生産効率が上昇した状態ならば、労働負担は重くはなりません。因みに、労働負担が重くても、軽くても、この一人の収入に変化はありません。つまり、金額的負担は同じでも、生産効率によって、実質的な労働負担は変わってくるのです。

 現実世界にこれを当て嵌めると、例えば、インターネット等の情報技術を活用して、主に流通に関する生産効率を積極的に向上させれば(もちろん、手段はそれだけとは限らない訳なんですが)、実質的な労働負担は変わらない、とする事が可能だって事ですね。

 そうすれば、年金の支払いを維持する事も可能なはずです。つまり、生産効率さえ向上させる事ができれば、年金問題は解決する事ができます(他の社会保障問題も)。

 ……もっとも、社会保険庁の怠慢問題までは解決できませんし、既に運用に失敗してたり無駄遣いしている分はどうにもならないのですが。

 

 国の機関の職務怠慢の話が出たところで今度は、国の借金の解決方法を書いてみたいと思います。

 今(2007年6月現在)、国が借金まみれなのはよく知られた事実で、その規模、隠し借金も合わせれば1000兆円以上は確実だと言われています。

 このまま放っておけば、いずれは国家破産してしまうでしょう。

 もちろん、解決の手段はある訳ですが、それらはいずれも問題があります。借金を返す為に増税すれば、生活者の負担になり、景気に悪影響を与えます。また、国の支出を減らせば、これも景気に悪影響です。コストをカットすれば、失業者を多く出すことになりますから。

 では、どうするべきでしょうか?

 今まで述べてきた方法を応用すれば、これらとは違った新たな解決方法を導き出せます。

 失業者を出す、という言葉で気付いた人もいるかもしれませんが、先に説明した“1、新たな生産物を積極的に誕生させる”の問題解決方法がそのままこれに使えるのです。

 国際的に観ても、多過ぎると言われている公務員の数を減らしコストを浮かす、それによって生じる失業者の受け皿を“新たな生産物を積極的に誕生させる”方法で創る。一方、それで国債発行数を減らせれば、金融機関にお金が余るので、それを新生産物の設備投資に回す。そういった事を行って通貨循環場所を増やしていけば、恐らく、国家破産は避ける事ができるのではないか?と考えられるのです。

 これを繰り返していけば、税支出を抑えつつ景気回復が行えるので、それによって税収の増加も可能になります。

 ただ、飽くまでスムーズにいった場合の話で、現実には、金融業界への影響や、国の体質が妨害になり、様々な問題が持ち上がってくる事になるとは思いますが(僕らは、それを乗り越えなくちゃいけない訳ですが)。

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