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仄かな光を消さないで  作者: 倉真朔


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1/1

0.はじめに


 いつからだろうか。

 私の中の光が消えてしまったのは。


  

【仄かな光を消さないで】


 

 私は、差し込む朝日が眩しくて、苦手だと思う時がある。

 

 直接的な応援ソング、目がキラキラと輝いていた過度にポジティブな人、無理やりなハッピーエンドで終わる物語。


 嫌いではないのだが、私はどうも苦手である。

 それらはまるで別世界のようで、眩しくて、とても怖いのだ。

 

 涙がでることもある。

 自分がとても惨めな感じがして、悲しくなって、途中で見ることをやめてしまう。これが世界なら、私はどこの世界の人間なのかと孤独になるのだ。


 私の書く物語は基本的に暗い。

 救いがあまりない、残酷で、シリアスで、ダークで。鬱っぽくなると言われることもあった。

 中学生の時は、血の多いシーンも書いたこともあった。


 暗い話は私を落ち着かせる。

 救いがない話は私の心を救ってくれる。

 切ない話は私の心を強く、熱くさせた。


 暗くて重い世界観がなぜ好きなのかわからなかった。

 昔の私は思っていた。

 私は異常なんだと。



 その暗くて重い物語を書いたせいで、心無いことをたくさん言われてきた。


「お前は心が無い」

「異常性を感じる」

「おかしい」

「自己満足」


 そういうことが長く続いたからなのか、心が折れる言葉があったからなのかはわからない。


 

 ある日、全く思い付かなくなったのだ。

 私のインスピレーションという光が消えてしまった。

 嘘だと思った。

 インスピレーションが死んだ。

 インスピレーションのない、創作ができない私は生きていて何の意味があるのだと悔しくて泣いた。


 こんなことなら、いっそ誰にも見せなければ良かった。

 だけど、見せたかった。


 わかってもらいたかったのかもしれない。

 この作品を読んで、共感してくれる人がいるはずだと。

 だが、世の中はそんなに甘くはなかった。


 いいや、私がおかしかったのだ。

 もういい。創作はもうやめよう。

 辞め時なんだ。


 いいや、やめたくない。

 でも思い付かない。

 傷つきたくない。

 でも見せもらいたい。

 やめたい。やめたくない。

 書きたい。書きたくない。


 こんなに苦しかったかな、創作は。

 自分の創作は、何のために書いていたのだろう。

 誰のために書いていたのだろう。 


 燃えよ、燃えよ。

 インスピレーションよ。


 頼む。

 燃えてくれ。


 

 そう願いながら、私は苦しみながらも創作について考えた。だが、作品を書いては消し、書いては消しを繰り返すばかりとなってしまった。出来上がった作品でさへも、少しして消していく。


 インスピレーションは死んだと思った。


 やはり救いなどないのだ。

 惨めで、孤独だ。

 暗くて、冷たい。

 これが私の世界だ。


 でも。


 それでも一筋でもいい。

 暗闇の世界に少しでも光があれば、頑張れる。

 わずかな光さへあれば、私はまた戦える。


 あぁ、そうか。

 私は、自分がなぜ暗くて重い話が好きなのかわかった。


 絶望の中でも、わずかな希望のために頑張る主人公。それが好きなのだ。


 

 私は、異常じゃない。

 大丈夫。

 私の感性は、異常じゃない。


 

 そう思ってからは、世界の見方が変わったように感じた。惨めだとあまり思わなくなった。

 

 私は太陽の燦々とした光もいいが、月の優しくて寄り添った光が好きだ。

 心にストレートに入る歌もいいが、少し考えさせられる歌が好きだ。

 ハッピーエンドもいいが、考えさせられる救いのない物語が好きだ。


 好きだ。好きだ。

 それでいいんだ。

 自分の好きは、おかしくない。

 言葉にできる。

 物語にできる。

 これならまた、自分が書きたかった作品が書ける。


 しばらくすると、心の奥からほわんと仄かな光を感じた。それがインスピレーションだと気付くのにそれほど時間はかからなかった。


 私の作品を読んで、この仄かな光を感じてほしい。


 インスピレーションを

 希望を

 魂を

 作品にこめて、

 私は今日もコツコツと書いている。


 仄かな光を消さないように。

 

 私の創作の世界へ、ようこそ。


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