異世界でこんにちは(2)
さらに三日が経過した。
子供はすっかり良くなり診療所の中を走り回るようになった。
そのころになると役人がゲオルクのところへとやって来て席に着くなり二人を前に話し始めた。
「あれから街に戻って上官に報告した。そのことで、ゲオルクに話がある。今回の事件はすべて私に一任された。であるからお前さんの処分は私次第ということになる」
「へえ」とゲオルクは畏まってうなずいた。
「ゲオルクが半殺しにした子供は、今はすっかり良くなったことはもう知っていると思うが、問題はお前さんのことだ」
「へえ」と不安そうにゲオルクは役人の顔を見た。
その横でイルゼも心配そうに聞いていた。
「お前さんの罰は強制労働十五年と決まった」
それを聞いたゲオルクとイルゼはテーブルにうつ伏した。
イルゼ一人では生活もままならない。イルゼは悲嘆に暮れた。
「だが、ひとつだけそれを待逃れる方法がある」
「待逃れる方法?」
ゲオルクとイルゼは口を揃えて聞き返すと身を乗り出した。
「そこで提案なんだが、あの子をこの家の子として迎え入れることだ。そうすれば十五年の強制労働は免除してやるが、どうだ?」
「この家で面倒をみろと」
「そういうことだ。簡単であろう。お前の鍛冶屋としての腕があれば、子供一人くらい増えてもやっていけるはずだ」
「しかし……子供なんて飼ったことがない……」
「バカ者、犬や猫ではない。自分の子供として育てろと言っておるのだ。大バカ者」
「養子ということですかね」とゲオルク。
「そうじゃ。そして酒と博打をやめることだ」
ゲオルクとイルゼは顔を見合わせた。夫婦仲は良いものの、子供を授かることはなかった。結婚して十年になる。結婚当初は毎日何回も頑張ったが、結局子供を授かることはなかった。すでに諦めている。そのためか、ゲオルクは酒と博打にのめり込んだ。そんなゲオルクにイルゼは無関心となった。
「こう考えるといい。強制労働をその子のためにすればいいということだ。簡単ではないかね」
「なるほど……」とは言ったもののゲオルクは困った。突然やって来た子供をうまく育てられるかどうか。
「考える余地はないと思うが。無理にとは言わん。嫌なら嫌でも構わん。今日一日考えろ。明日まで村長の家に滞在する。明日、答えを聞く」
役人はそれだけ言い残すとゲオルクの家を辞去した。
二人はその場で話し合った。もちろん、ゲオルクは強制労働など行きたくはない。しかし、知らない子供を育てることなど簡単なことではない。
が、すぐに答えは出た。
二人の答えは一致していた。その日のうちに養子として迎えるとの返事をすることにした。
それから慌ただしくなった。子供を迎える準備をしないといけない。もうあと、四日ほどで退院できそうだとの話だったのでゲオルクとイルゼは子供のため、街まで買い出しに行くなどして準備をすることになった。




