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魔法のキノコ?(1)

 翌朝、イルゼがドアを開けるとフィリアのお父さんが立っていた。

「おはようございます、ハンスさん。……昨日のことね。私たちもエルンから話を聞きましたわ」

「ああ、世話になったようで、一言礼を言いたくてね。エルンに伝えておいてくれ」

「わかりました。でも、グリフスが現れたなんてね」

「そうなんだよ、村長にもさっき話しておいたよ。森には気を付けるようにって村中に知らせるそうだ」

「街の討伐隊にも連絡してくれるんですかね」

「知らせるとは言っていたが、来てくれるかどうかはわからんらしい。当てにはならんね。わしらでなんとかするしかなさそうだ」

「ケガ人や死者が出なけりゃいいけど」

「心配なのはそれだけだ。じゃあ、仕事があるので、エルンとゲオルクによろしく」

 ハンスは軽く頭を下げると帰っていった。


 エルンは朝食を済ませると早速、秘薬作りに取り掛かった。

 自室に引きこもると、水洗いしたツァウバー・ピルツとシュヴァルツァー・トッドピルツを分け、乾燥させやすい大きさに切る。それらを日向に広げ、天日に当てる。

 これを三日続けた。カリカリに乾いて量が三分の一ほどになった。今度はそれを叩いて細かく潰す。こうすることで、湯で煎じたとき、エキスが出やすいとのこと。幼いエルンでも作業はいたって簡単だ。

 ツァウバー・ピルツの粉は淡いピンク色の粉だ。シュヴァルツァー・トッドピルツはグレーの粉でまるで灰のようだ。エルンは魔女になったような気分だった。

 どちらから試してみるか迷った。魔導書に書かれていた通りに行ったのだからまさか死ぬようなことはないと思うが、すごく心配だった。

 邪魔されたくないのでゲオルクが仕事に出たのを見計らって始めることにした。

 まずはツァウバー・ピルツから試してみることにした。

 サイフォンに粉を少量入れて、火にかける。

 しばらくして湯が沸騰して上昇する。火を下げると煎じ液が降りてくる。薄い茶色の液になっていた。香りもいい。何だかスープみたいだ。

 これで魔力が上昇するのであればこれほど簡単なことはない。すごくいい方法を見つけたことになる。

 エルンはその茶色の液をコップに移してまず、ちょっとなめてみた。

 ほとんど味はなかった。そこで一気に飲み干した。

 しばらく心穏やかにして様子を見た。

 何事もなかった。お腹が痛くなるわけでも気分が悪くなるわけでもない。これで魔力が強くなったのか疑問だった。

 試しに炎の魔法を試してみた。なんとなく光の玉が大きくなったような気がした。気のせいかもしれないが。


 三十分ほど経過したころ、身体が熱くなった。そして心臓がどきどきして汗が染み出てきた。それでも気分は悪くない。

 飲んで一時間ほどしてさらに熱くなったかと思うと、なんだか股間がムズムズしてきて妙な感じだ。すると股間がむくむくと膨らみ固くなった。

——えっ、何? 痛ったたたたた……——

 固くなって痛くて堪らない。

 これじゃあおしっこができないじゃないか。

 パンツの中を見るといつもは小さく蹲っているものがビンビンと脈打ち、そそり立っている。

——どうしよう——


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