表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

平凡な俺が吸血鬼に? 高嶺の花な彼女に連れられて、夜の街の掃除屋はじめます

 都内の高校に通う平凡な高校二年生、久我陽介(くが・ようすけ)は、ここ数週間、原因不明の体調不良に悩まされていた。
 朝、太陽が昇ると同時に身体が鉛のように重くなり、直射日光を浴びれば肌が火傷のように爛れる。日中の学校生活は睡魔との戦いであり、友人たちからは「寝不足か?」と心配される日々。
 しかし、不可解なことに、日が沈む夕暮れ時を迎えると症状は一変する。死人のように白かった顔色には生気が戻り、思考は冴え渡り、身体の奥底から爆発的なエネルギーが湧き出してくるのだ。そして何より恐ろしいのは、食事が砂のように味気なくなり、代わりに指を切った友人の血の匂いに、理性を揺さぶられるほどの「食欲」を感じてしまったことだった。
「昼夜逆転生活」とも「心の病」ともつかない不安な日々。そんな陽介の孤独な日常を壊したのは、クラスで「高嶺の花」と噂される美少女、皇(すめらぎ)かれんからの突然の呼び出しだった。
「貴方、自分が何になっているのか分かっていないようね」
 彼女が突き出した手鏡の中には、鮮血のように紅く発光する瞳を持った、人ならざる陽介の姿が映っていた。
「貴方は『吸血鬼』に覚醒したのよ」
 彼女の説明によれば、この世界にはファンタジーの産物とされる「超能力」や「魔法」を行使できる「能力者」が実在するという。陽介は、その中でも特に忌避されがちな、血液を渇望する特性を持つ「吸血因子保有者」――通称・吸血鬼として覚醒してしまったのだ。
 平凡な日常からの追放宣告に絶望する陽介。
 これから俺は、人の血をすすって生きる怪物として、退治される運命なのか?
 パニックになる陽介に対し、かれんは意外な解決策を提示する。
 それは、日本の裏側で怪異や能力者を管理してきた国家機関――内閣情報調査室・特殊事象対策課、通称『八咫烏(ヤタガラス)』への登録だった。
 彼女の言葉によれば、ヤタガラスに正規の手続きを行えば、怪物として排除されることはない。吸血鬼が生きていくために必須となる「医療用血液パック」の支給さえ受けられるという。
 彼女は陽介の手を取り、官公庁が立ち並ぶ霞が関の地下深くに眠るヤタガラス本部へ連行することを決める。
 太陽を恐れる少年と、訳知り顔の美少女。
 二人の奇妙な協力関係が始まった時、陽介はまだ知らなかった。
カクヨムハーメルンにも掲載してます。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ