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バドミントン ~2人の神童~  作者: ルーファス
第4章:地区予選大会編
50/135

第50話:お母さんの言う事は全て正しい

 次は名古屋地区の地区予選大会。

 静香と彩花が躍動します。

 時間を2024年6月1日(土)まで巻き戻す。

 愛知県名古屋市の名古屋市東スポーツセンターにおいて、インターハイの愛知県代表を決める為の、名古屋地区の地区予選大会が遂に始まった。


 今大会の名古屋地区において特に注目されているのが、毎年のようにインターハイへの出場を果たしている全国レベルの強豪…『王者』聖ルミナス女学園。

 特に今年は『天才』との異名を持つ静香と、『神童』と呼ばれている彩花までもが加入したのだ。

 そしてJABS名古屋支部からの出向という形で、彩花専属のコーチ兼任マネージャーとなった『スイスの英雄』六花もだ。

 取材に訪れた記者たちの誰もが、聖ルミナス女学園の選手たちを乗せたバスの到着を、駐車場で今か今かと待ち構えていたのだが。


 「記者の皆様!!聖ルミナス女学園のバスが到着致しました!!運転手の邪魔にならないよう、白線より下がってお待ち下さい!!」

 「選手や関係各所への取材の際は、我々大会運営スタッフの指示に従い、本大会の取材ルールを遵守じゅんしゅして行って下さいますよう、お願い致します!!」


 大会運営スタッフたちが記者たちに大声で呼びかける最中、聖ルミナス女学園のバスが遂に到着したのだった。

 ドアから静香が威風堂々と姿を現した途端、記者たちは一斉に静香に無数のフラッシュを浴びせる。


 「朝比奈選手!!今大会の意気込みをお聞かせ頂けますか!?」

 「県予選まで勝ち進めば、あの須藤選手や藤崎選手と戦う事になると思われますが、勝つ自信はあるでしょうか!?」

 「藤崎選手専属のコーチ兼任マネージャーとして、あの藤崎六花さんが就任しましたが、それに関してはどうお考えでしょうか!?」


 無数に浴びせられるフラッシュにも全く怯む様子を見せず、堂々とした態度で記者たちを見据える静香。

 中学時代にダブルスの部門で全国大会2連覇を達成し、パートナーの足首の捻挫ねんざというトラブルさえなければ、六花以来となる大会3連覇を達成出来たとされている静香。

 一部の専門家からは「隼人や彩花と互角」とまで称される程の実力者であり、しかもあの朝比奈コンツェルンの令嬢だ。

 だからこそ記者たちは静香を『天才』と称し、多大な注目を集めているのだろう。


 「記者の皆様!!先程も言いましたが白線より下がって下さい!!選手たちの通行の邪魔になります!!これでは大会の進行の妨げに…!!」

 「私は負けませんよ。須藤君にも、彩花ちゃんにも。」


 そして大会運営スタッフが自分たちの為に必死に道を確保してくれている中で、静香が威風堂々と記者たちに宣言したのだった。


 「その為にも私は、この地区予選を全身全霊の力で勝ちにいきます。稲北高校の須藤君ではありませんが、油断するつもりは微塵もありませんから。」


 静香の宣言に、おおっ…!!と感嘆の声を上げた記者たちが、またしても一斉にカメラのフラッシュを浴びせる。

 多くの人々が静香の実力なら、地区予選如きなら楽勝だと思っているようだが…静香もまた隼人と同様、油断も慢心もするつもりは微塵も無い。

 例え相手がどれだけ自分より格下だろうと、全身全霊の力でもって叩きのめす。

 それが自分との真剣勝負に臨む対戦相手に対しての最大限の敬意だと、静香は思っているから。


 そこへ聖ルミナス女学園のバスの到着から少し遅れて、彩花と六花を乗せた車も到着し、聖ルミナス女学園のバスの隣に駐車した。

 威風堂々と車から降りた彩花と六花もまた、記者たちから無数のフラッシュを浴びせられる。

 質問攻めにされる彩花と六花を、静香が不敵な笑みを浮かべながら見つめていたのだった。

 

 そして、遂に始まった地区予選大会。

 開会式が滞り無く進んだ後、選手たちはAからHまでのブロックに分かれてトーナメントを行い、8つのコートで8試合を同時進行する。

 年間100試合以上をこなし、負けてもまだ次の試合が控えている欧米諸国のプロリーグと違い、たった一度の敗北で全てが終わってしまう。敗者復活戦なんて生温い物も存在しない。

 そういう意味では、ある意味プロよりも過酷とも言えるサバイバルレースだ。

 そして地区予選大会では原則として、同じ学校に所属する選手同士が対戦する事は無い。

 なので彩花と静香が心から待ち望んだ、互いとの公式の舞台での真剣勝負が叶うのは、県予選になってからになる。

 

 「いいかお前ら!!俺たち聖ルミナス女学園は、OBの皆様方から『常勝』を義務付けられた存在だ!!こんな地区予選なんぞで負ける事など絶対に許されんぞ!!いいな!?」

 「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」」

 「一切の妥協も手抜きも許さんぞ!!対戦相手のちんちんをシャトルで潰す位の覚悟で試合に挑めやオラぁっ!!」


 黒メガネからの檄に、真剣な表情で耳を傾ける選手たち。

 だが同じ聖ルミナス女学園の生徒でありながら、彩花が静香たちと行動を共にする事は無く、六花と一緒に別の場所で試合の準備を進めていたのだった。

 黒衣に呑まれてしまった彩花が、他の聖ルミナス女学園の生徒たちに迷惑を掛けてしまう事を、六花が恐れたからなのか。

 あるいは黒メガネに、彩花を下手に刺激させない為なのか。

 いずれにしても静香は事情を察しながらも、彩花と別行動になった事を心の底から残念に思っていた。

 

 「その先陣を切るのは、お前だ朝比奈!!下手な試合など見せようものなら…!!」

 「古賀監督に言われずとも、心得ていますよ。」


 黒メガネが呼びかけるよりも前に、既に静香は自分の試合が割り当てられた第1コートへと、ラケットを手に威風堂々と歩みを進めていたのだった。

 そう、黒メガネに言われるまでもない。

 県予選での念願の彩花との真剣勝負を果たすまで、静香はこんな所で負ける訳にはいかないのだ。


 「私は負けませんよ。県予選で彩花ちゃんと戦うまでは。」


 決意に満ちた表情で、対戦相手の男子生徒を見据える静香。

 そして。


 「ゲームセット!!ウォンバイ、聖ルミナス女学園1年、朝比奈静香!!ツーゲーム!!21-0!!21-0!!」


 審判のコールと同時に、凄まじいまでの大歓声が静香を包み込んだのだった。

 最早対戦相手の男子生徒が可哀想になってしまう程の、圧倒的なまでの静香の完封劇。

 黒メガネが言っていたように、静香は情け容赦なく対戦相手を、徹底的に叩きのめしたのである。


 「お互いに、礼!!」

 「ありがとうございました。」

 「ううっ…畜生…!!畜生おおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」


 静香と握手する事も出来ず、憔悴した表情でその場に崩れ落ち、泣きじゃくる男子生徒。

 そんな男子生徒に顧問の先生が肩を貸し、必死に励ましながらコートの外へと連れ去っていく。

 勝った者が先に進み、負けた者はその時点で終わってしまう。

 学生の大会と言えども、勝負の世界とは残酷で非情な物だ。

 それを静香は改めて胸に刻み、自分が負かした男子生徒の分まで、次の試合も全力を尽くして戦う事を心に誓ったのだった。


 (彩花ちゃんの試合は…次の次ですね。)


 彩花が試合をする第8コートに目を向ける静香だったが、どうやら彩花は静香の試合を、全く見向きもしていなかったようだ。

 それは決して静香に興味が無いからではない。静香の事を馬鹿にしている訳でも無い。

 あの程度の対戦相手との試合など、観る価値さえも無いと…静香が圧勝するのは当たり前だと…そう彩花は思っていたからだ。


 「…ふふふっ、まあいいでしょう。」


 そんな彩花を遠くから見つめながら、静香は不敵な笑みを浮かべていたのだった。


 「県予選で彩花ちゃんの視線を、必ず私に釘付けにしてみせますよ。」

 

 静香と彩花ばかりが注目されている今回の地区予選だったが、愛美も含めた聖ルミナス女学園の他の選手たち全員の実力も圧倒的だった。

 何しろレギュラーになれなかった控えの選手たちでさえも、全員が他の高校でなら鼻くそをほじりながら余裕でレギュラーを獲得出来る程の、エース級の実力者揃いなのだ。


 全国からのスポーツ推薦で有力選手が集結した、OBたちから『常勝』を義務付けられた、まさにバドミントンの『王者』。

 もう選手の層が厚過ぎるとか、そういうレベルの話ではなかった。

 それこそ他の高校が、可哀想に思えてしまう程までに。

 かくして聖ルミナス女学園は『王者』としての威厳と風格を、今大会においても存分に見せつけたのである。


 「それでは只今より第8コートにおいて、下前津高校1年、中村雄二選手 VS 聖ルミナス女学園1年、藤崎彩花選手による、Hブロック1回戦第3試合を開始致します。」


 そんな中で彩花の試合が、遂に始まった。

 多くの観客や記者たちの注目を浴びながら、彩花は威風堂々とコートへと向かう。

 既に1回戦を終えた静香は壁にもたれかかって腕組みをしながら、彩花の試合を穏やかな笑顔で見守っている。


 「お互いに、礼!!」

 「「よろしくお願いします。」」


 審判に促され、互いに握手をする2人。

 彩花の対戦相手となったのは、1年生ながらも強豪・下前津高校においてレギュラーの座を勝ち取った中村雄二。

 プロや大学のスカウトたちや、社会人のクラブチームからも注目される程の有力選手であり、間違いなく全国レベルの選手ではあるのだが…。


 「お前が藤崎彩花か。成程、少しは歯ごたえがありそうだな。」


 彩花との握手を終えた雄二が、ニヤニヤしながら彩花の事を見下している。

 なまじプロから注目されてしまっているだけに、自分が特別な存在だなどと天狗になってしまっているのだろう。


 「だが、お前も不運だったな。まさか1回戦でいきなり俺と戦う羽目になるとはな。俺はあの『神童』須藤隼人、そして『天才』朝比奈静香と並び称される、完成されたオールラウンダー!!中村雄二様だ!!」


 そんな雄二の自信満々な姿を見せつけられた彩花は、呆れたような表情で深く溜め息をついたのだった。

 まるで彩花がまだスイスにいた頃の、一時期天狗になってしまっていた時の隼人を見ているかのようだ。

 あの時の隼人は自身の敗北をきっかけにして心を入れ替え、後に『神童』と呼ばれる程までの、周囲への気配りが出来て皆から慕われるバドミントンプレイヤーへと成長を遂げる事が出来たのだが。


 「お前を倒してプロのスカウトたちに、俺という存在をアピールしてやらないとなぁっ!!」


 妖艶な笑みを浮かべながら、雄二が彩花にサーブを放った、次の瞬間。

 彩花がカウンターで放った渾身のシャドウブリンガーが、雄二の足元に突き刺さっていたのだった。


 「…は…!?」


 一瞬。まさに一瞬の出来事だった。

 漆黒の光に包まれた彩花のスマッシュに、全く反応する事が出来ないまま、呆然自失の表情になってしまった雄二。

 審判もまた信じられないといった表情で、一瞬呆気に取られてしまったのだが。


 「審判。彩花のポイントです。早くコールを。」

 「あ…!?え、ええと…ふ、藤崎コーチの指摘通り、確かに入ってますね。ラ、0-1!!」


 ベンチに座る六花に穏やかに促され、ようやく彩花のポイントをコールしたのだった。

 その瞬間、会場全体が物凄い騒ぎに包まれてしまう。

 あまりの騒ぎに他の7つのコートで同時進行されていた試合が、一時中断してしまう程までに。


 「ふふふ…あはははは…!!やっぱりそうだ!!」


 そんな中で彩花は黒衣を発動しながら、狂気に満ちた笑顔で高笑いしたのだった。


 「お母さんの言う事は全て正しい!!お母さんに従っていれば何も間違いは無い!!」


 直樹による過度のオーバーワークと虐待行為によって全身ボロボロになってしまっていた、あの頃の彩花とは違う。

 彩花の身体に力がみなぎって来る。身体から無尽蔵に力が溢れてくる。

 それは六花が直樹と違い、彩花の事を正しく導いたから。

 栄養バランスの取れた愛情たっぷりの美味しい手料理を、彩花に毎日たらふく食べさせたから。

 他の誰よりも彩花の実力と才能を理解している六花が、彩花に対して宣言してみせたように、彩花をベストの状態に…いいや、最早それ以上の状態にまで高めてみせたからだ。


 以前、六花は彩花に言っていた。

 どうか私の事を信じて欲しいと。そうすれば大会までに彩花を必ずベストの状態に戻してみせると。

 そして彩花が六花を信じたお陰で、今こうして彩花は身体中に力が漲っている。

 だからこそ彩花は、その身をもって思い知らされたのだ。


 お母さんの言う事は、全て正しいと。

 お母さんに従っていれば、何も間違いは無いのだと。


 「あはははははは!!あははははははははははは!!あははははははははははははは!!…ふうっ…。」


 やがて存分に笑い終えた彩花は、一息ついて雄二に向き直り…。


 「そう言えば君、なんか言ってたよね?完成されたオールラウンダー?ハヤト君や静香ちゃんと並び称される?」


 今度は一転して不機嫌そうな表情で、唖然としたままの雄二を冷酷な瞳で睨み付けたのだった。

 

 「はっきり言って不愉快だよ。その程度の実力で自惚れた事を言わないで貰えないかな?」

 「な、何だと…!?」

 「君の実力なんか、ハヤト君や静香ちゃんの足元にも及ばないよ。馬~鹿。」


 そんな彩花の罵声を前に完全に戦意を失ってしまった雄二が、絶望に満ちた表情でその場に崩れ落ちてしまう。

 

 「お…俺が馬鹿だった…!!」


 読者の皆さんに誤解の無いよう言っておくが、決して雄二が弱い訳では無い。

 むしろプロや大学のスカウトたちからも注目されているだけあって、雄二もまた間違いなく全国レベルの選手なのだ。

 だからこそ、そう、だからこそなのだ。

 雄二は彩花の実力を、シャドウブリンガーを一発打たれただけで『見抜いてしまった』のである。

 自分なんかの実力では、彩花には到底歯が立たないと。

 強い者ほど、相手の強さには敏感な物なのだから。

 

 「こんな化け物みたいな女を相手に…どうして俺なんかが『勝てる』などと、自惚れた事を考えてしまったんだ…!!」


 黒衣を纏った彩花の暴虐的な姿に恐怖し、完全に五感を剥奪されてしまった雄二が、絶望の表情で床に倒れ込んでしまう。


 「お、おい!!どうした!?しっかりしろ!!中村あああああああああああっ!!」


 そんな雄二の元に顧問の先生が慌てて駆けつけ、やがて雄二は顧問の先生に付き添われながら、担架で医務室へと運ばれてしまったのだった…。


 「な、中村雄二選手、試合続行不可能につき、ゲームセット!!ウォンバイ、聖ルミナス女学園1年、藤崎彩花!!ワンゲーム!!0-1!!」

 「ちぇっ、つまんないの。」

 「彩花。」


 会場全体がどよめきに包まれる最中、六花が彩花の元に穏やかな笑顔で歩み寄る。

 そんな六花に彩花が、まるで飼い主の声を聞いた猫みたいに慌てて振り向いたのだが。


 「お母さん?」

 「よくやったわね。だけどバドミントンは紳士のスポーツよ。ちゃんと対戦相手に敬意を払って『ありがとうございました』は言いなさい。分かった?」

 「う、うん!!分かった!!私、お母さんの言う通りにするから!!だから私の事を嫌いにならないで!!」

 「もう、何馬鹿な事を言ってるのよ。私が彩花の事を嫌いになる訳がないでしょ?」


 六花が彩花に依存してしまっているように、彩花もまた六花に依存し切ってしまっていたのだった。

 いいや、今の彩花が六花に抱く感情は、最早『依存』さえも超越した『狂信』とも呼べる程のレベルにまで達していた。

 お母さんの言う事は全て正しいのだと。お母さんの言う事に間違いなど何も無いのだと。

 だからこそ今の彩花は、六花に嫌われる事を心の底から恐れてしまっているのだ。


 だが今の彩花を責める事の出来る者など、世界中のどこにも存在しないだろう。

 何故なら彩花は大人たちの身勝手なエゴによって、大好きな六花と1カ月も離れ離れにされてしまった挙句、聖ルミナス女学園で1人孤独に生き地獄を味合わされてしまったのだから。

 そして直樹のせいで身も心もズタボロになってしまった所を、大好きな六花の手で救われ、彩花は今こうしてベストの状態で大会に出場する事が出来ているのだ。

 そんな彩花が六花を『狂信』してしまうのを、どうして責める事など出来ようか。


 「…ありがとうございました。」


 黒衣を解除した彩花が、六花に言われた通りに真摯な態度で、最早誰もいなくなってしまった相手側のコートに向かって深々と一礼をする。

 そんな彩花の肩を、六花が穏やかな笑顔で抱き寄せたのだった。


 「それでいいのよ、彩花。さあ、次の試合に備えて準備をしましょう。」

 「うんっ!!」


 会場全体がどよめく最中、ただ1人静香だけは不敵な笑顔を浮かべながら、そんな彩花と六花の様子を壁にもたれかかって腕組みしながら見つめていた。

 試合自体は彩花がシャドウブリンガーを1発打っただけで、雄二の試合続行不可能という形で終わってしまったのだが、それだけで静香は一発で見抜いたのだ。

 今の彩花は間違いなく、ベストの状態に戻っているのだと。 


 「感謝しますよ藤崎コーチ。よくぞ彩花ちゃんをこれ程までに高めて下さいました。今の彩花ちゃんなら私も今度こそ、心置きなく全力で戦える。」


 決して地区予選大会を軽視している訳ではないのだが、それでも静香は頭の中で、県予選での彩花との壮絶な死闘を想像したのだった。

 静香が心の底から待ち望んでいる、互いに全身全霊の力を込めた彩花との死闘を。


 「…ふひひ(笑)。」

 「うわっ、びっくりした!!」


 たまたま通りかかった大会運営スタッフの1人が、いきなり笑い出した静香の姿に思わずびっくりしてしまう。

 だがそれを果たす為には、この地区予選大会を無事に勝ち進まないといけない。

 だからこそ静香は隼人と同じように、相手が誰だろうと絶対に油断も慢心もしない。

 全身全霊の力でもって、対戦相手を全て徹底的に叩きのめすのだと…それを静香は改めて心に誓ったのだった。

 県予選で、今度こそ彩花と全身全霊の力で戦う為に。


 「彩花ちゃんと県予選で戦えるのを楽しみにしていますよ。だからそれまで絶対に負けないで下さいね。彩花ちゃん。」

 

 それだけ告げた静香は決意に満ちた表情で、自分が試合をする第1コートへと戻っていったのだった。

 ちなみに中村雄二の名前の由来は、声優の中村悠一です。

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