みてい
この世界には、魔力があり、誰しも魔法が使える。
100年ほど前、このウィーリー国では魔力の高い、高潔を表す"青い血"と呼ばれる貴族制度があった。
しかし、ウィーリー国の第3王子が、平民の"聖女"とよばれる、高い治癒魔法が使える少女と恋に落ち、その時の国王へ貴族制度の撤廃および、世界の平等を謳った内戦をしかけた。
その内戦に勝利して、現ウィーリー国では貴族制度の撤廃及び、貴族でしか通えなかった魔法学校へ、平民も通えるように制度を改め、高い民の支持率を得て、戦いに勝利した第3王子と、その聖女は婚姻を結び、ウィーリー国の国王と皇后へなった。
現在情勢は段々と落ち着いているように見えたが、貴族の撤廃により、一部の貴族たちは不満と、怒りを第3王子とその聖女に向けていた。
「ここまでが、ウィーリー国の歴史の流れの大きな分岐点と言えるところですわ」
教卓で、高らかに声を上げたその女性は、ただ、一点を見つめた。
「ウィーリー国は、この第3王子…ガイズ国王により、多くの発展を遂げました。」
夜闇でも明るく照らすランプ
音声を撹拌するタイピン
井戸の水を綺麗にするポンプ
他国にもこの魔道具を売ることで、国力の安定、他国への牽制なども行った。
「現在、ガイズ国王がお亡くなりになり、第2王女で在られた、ララーシュ様が女王として即位されました。」
教卓をぐるりと半円形で囲まれた生徒の席から声が上がる。
「それでは、ルルーア殿下はこの格差なきウィーリー国にて次の王はどうお考えでしょうか?」
「グラス氏、それは今殿下に問うことではありません。
休み時間にでもお伺いなさいな。」
ミセス・ロージャーは、少しニヤついた顔で生徒に話す。
なんとも、嫌なやり取りだ。
たしかに、ガイズ国王の貴族撤廃の内戦は多くの民たちが貴族の奴隷から解放されたり、不当な税収からの解放、なども挙げられるが、好きで奴隷となった民もいたり、不当な税収に加担していた民ももちろんいた。
ガイズ国王は、民を守るもの。とだけ定めていた国のあり方を大きく変えたのだ。
民も国に貢献すること。それがガイズ国王の掲げた制度だ。
なので、教育に関しても、読み書きや、魔力の使い方、現在の魔道具で簡単なものが作成できる位までは、初等学校でまなぶもの。
この、ウィーリー国立魔術高等学校では、初等学校で優秀な成績を収めたもの、また、技術や、体術など秀でたものでテストに合格したものしか入学は許されない。
その制度は現在の女王ララーシュ女王が定めたものだ。
夜闇でも明るく照らすランプ
音声を撹拌するタイピン
井戸の水を綺麗にするポンプ
これらを考えたのが、"私の"父マーラー・ベニスの発明で。
元一平民が、使い方を覚えただけでこれだけの成績を残したのだから。
それがララーシュ女王のお言葉だった。
その時、女王のそばに立っていた王子…ルルーア殿下はいまでは私の隣に座っている。
ふと、目線をそちらにやると、視線に気づいたのか困ったように笑う
「とんだ、茶番だよな」
ララーシュ女王の決めたこの魔法高等学校は、言わば"これからの王配を覆すもの"として見られている。
ガイズ国王が、貴族制度を撤廃し、
ララーシュ女王は、身分がないものも高等学校へ行くことを許した。
つまり、平民でも王になれるのでは無いか。
と、近年街中では話されており、この学校でもその風潮はある。
つまり、ルルーアが、王位を廃し、この学校で誰かが王位に立つのではないか。ということだ。