魔力凝りを起こしているそうですがなにか?
みなさんこんにちは。綺麗なお顔を鬼の形相に変えているエルフさんに頭を鷲掴みにされ正座をさせられているカリュです。
つい先ほどまでエルフさんは黒豹獣人さんと言い合いをしておりました。私を放置したまま言い合いはヒートアップしていきましたので、私への文句などは忘れたのだろうと考え(少々都合のいい考え方でしたが)その隙にこの場を離れ薬草採取を再開しようと思ったのですが…。
こっそり抜け出そうとしたのがお気に召さなかったのでしょうか?そうなのでしょうね、きっと…。
中腰で歩き出そうとしたのを見つかった瞬間に鬼の形相をしたエルフさんに頭を鷲掴みにされ、今の状態になっております。
「で、何逃げようとしてるわけ?」
「いえ…あ、あの、逃げるとかし、てない…です」
「ほぅ、じゃあどこに行こうとしていた訳?わ・ざ・わ・ざ!声を掛けてあげた俺様を無視してさぁ~。逃げようとしていなかったんならちゃんと説明してもらえるよね?」
うぁ~、エルフさん【俺様】とか言っちゃってます。お顔は綺麗なのに、何と言うか『お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの』とか言っちゃいそうな方です。恐ろしい…
「あ、の、お2人がケンk…い、言い合い?を、さ、されてい、たので邪魔になら、ならないよ…うに、と思い、ま、まして…」
「ほ~、で、俺様から逃げるようにコソコソしてたんだな」
「で、ですか、ら逃げよう、とはし、してない、です」
なんということでしょう。エルフさんのお綺麗なお顔の蟀谷にくっきりと血管が浮いています。眉もこれでもかという程上がっていて…エルフというよりもう鬼人にしか見えないです(泣)
何か言わなくてはと思うのですが、何を言えばいいのでしょう。きっと次に発言を間違えたら、私の頭は秋の名物の果物であるポンポンのようにパックリと割れてしまう気がします。万が一そうなっても、私の頭にはポンポンのように甘い粒々はありませんが…。ポンポンで作ったお酒がまた美味しいんですよね。あっさりした甘みで飲み易くてつい進んでしまうんですよ…っと、今はポンポン酒に思いを馳せている場合ではありませんね。頭から手を放してもらえるようにするにはどうしたらいいのかを考えませんといけませんね。と、思っていたら黒豹獣人さんが声を掛けてきました。
「まぁまぁ、ジョンパニもその位にして要件を伝えようよ。あ、俺はライデン。見ての通り黒豹獣人で剣士の冒険者してます。で、君の頭を鷲掴みにしている顔だけは綺麗と言われているエルフがジョンパニね。俺と一緒に冒険者やってる魔導士だよ。俺達、最近この街に来たんだけど、ギルドに拠点申請しに行った時に君を見かけて気になる事があって探してたんだよ」
「誰が顔だけだ、誰が!!」
「気に、なるこ、事?」
「うん、君さっと…その前に、顔だけなのはお前なジョンパニ。で、そろそろその手を放してやれよ。そのまま彼女の頭割るつもり?」
黒豹獣人さんのそのお言葉のおかげで渋々ですがエルフさんが頭から手を放してくれました。何かブツブツ言っていますが解放感に浸りたいのでスルーです。黒豹獣人さんありがとうございます。でも、出来ればもう少し早く止めて欲しかったです。解放された場所に一気に血が通ったからなのか頭がズキズキ痛みます(泣)
「でさ、ちょっと聞きたいんだけどなんで君そんなになるまで何もしてないの?ってかこの前ギルドにいた時も思ったけど、誰もそれを指摘してないじゃん。もしかして俗説で魔力を増やす方法とか言われて試している訳?それでわざと魔力凝りを起こしているの?」
「―――――――はぇ?ま、魔力凝り???」
「そう、魔力凝り。―――え、もしかして魔力凝り知らないとか言っちゃう?」
コクリ。
素直に頷いた私をみて、黒豹獣人さんもエルフさんも固まってしまいましたが…魔力凝りとはなんでしょうかね?
ポンポン…ザクロです(n*´ω`*n)