ジンギスカンですがなにか?
スミナさんとアスハさんは10匹は居たであろうヤムゥの集団を本当に一瞬で見事に刈り取りました。お蔭で?大量のヤムゥのお肉をゲットしたので、アスハさんの世界で言う【ジンギスカン】なる料理を作る事になり、今はセーフティエリアで準備をしております。なんでもマメシとヤムゥのお肉を石板で焼いてタレを付けて食べる料理なんだそうです。そしてそのタレが重要だと熱く語ってくれましたが、正直味が全く想像できません。
アスハさんの世界ではリンゴと玉ねぎと言うものを使ってタレを作るとの事で、こちらの世界のサギャとオネオンがそれに当たるらしく、アスハさんは一心不乱にサギャとオネオンをすりおろしており、スミナさんがそのすりおろしたものを入れるタレのベースになるであろう物を大量に作っておられます。食いしん坊のお2人があんなに真剣に作っていると言う事は本当に美味しいのでしょうね。どのようなお味になるのかとても気になります。因みにライデンさんとジョンパニさんには石板に丁度いい石を探してくるようにアスハさんが言ってましたが、1メートル位の石板が必要って…どんだけ大量に焼くのでしょうか。
大きい石板が必要と聞き、ヤムゥのお肉を薄切りにするように言われた私は今回も大量にお肉が必要になると確信した為、現在大きな肉の塊を必死に薄切りにしています。
暫く無心でお肉を切っていたらライデンとジョンパニさんが戻ってきました。ライトが使えないお2人は松明の灯りでの探索だったので、やはり光力が少なかったらしく石板になりそうな石を探すのに手間取ったようですが、流石です。石ではなく見事な石板を持って戻ってきました。
「おぉ…言われた大きさの石板を見つけるなんて、流石Aランカーですね」
「いや、探すの面倒になっちゃったから、少し先行った場所にあった岩を切って持ってきたんだ」
「暫くの間真面目に石板探してたんだけどな、そんな都合よく石板が落ちてる訳ねぇって事に気づいたんだよ。だからウォーターカッターで岩切り取った方が早くね?ってライデンに言われて俺が切った」
いや、確かにそうそう都合よく石板なんて落ちてはいませんから、大きめの石を持ち帰るか岩を削って持って帰ってくると思っていたのですが、それに気づかないで石板を探していたのですか…。うん、やはりお2人は残念な方達だったと証明されましたね。
そんなお2人を鼻で笑いながらもタレの仕込みが終わったスミナさんとアスハさんはご機嫌な様子で石板を火にかけて【ジンギスカン】とやらの準備を始めております。ですがマメシはどうするのでしょう。ジョンパニさんのマジックバックにはマメシは入っておりません。今回はマメシ無しでお肉のみなのでしょうか?そう思ってふと石板を見るとスミナさんがマメシを炒めているではありませんか。……あのお2人がサギャとオネオンをどこから出したのか、ちょっと考えればわかる事でしたね。
「さ、カリュちゃん食べたまえ。これがヤムゥのジンギスカン風だよぅ。とっっっても美味しいからねぇ」
「お前が自慢するな。だが、これは本当に美味しいんだ。だからカリュちゃんにも気に入ってもらえると思う」
いつもは我先にと食べるスミナさんとアスハさんが自慢気にそう言ってきます。この自信がある感じは本当に美味しいのでしょう。これは期待値があがります。
焼けすぎず柔らかそうなお肉とマメシにしっかりタレを絡めて早速頂きました。
「これは…」
「どうだい。美味しいだろぅ」
「はい。ヤムゥのお肉は初めてなのですが、臭みもなく柔らかいんですね。マタレもほんのりとした甘味がいいアクセントになっていてマメシとお肉にとても合っています。これは本当に美味しいです」
「だろ?ジャンジャン食べてくれ。じゃあ我々も食べようか」
皆さん私が食べるのを待っていてくれたようで、私がそう言うと皆さんも食べだしました。いつものようにあっという間に食材が消えていくので本当はじっくり味わいたいのですが、今日は私も負けていられません。皆さんの勢いに負けないように必死に料理をとって食べます。5人とも無言で大量のお肉とマメシを焼いては食べ、焼いては食べを繰り返していたので、大量にあったお肉はあっという間になくなりました。
はぁ~、満腹です。この料理は本当に美味しいですね。スミナさんとアスハさんが目の色を変えてヤムゥを狩りつくした気持ちがわかります。ですが、皆さんに取られないようにする事に必死になりすぎて疲れました。食事って疲れる事ではないはずなのですが…。毎回この位しっかり食べれたらいいのですが、食事はゆっくり味わう方がやはり好きですね。今後は自分の分は先に取り分けてゆっくり食べれるようにしましょう。
「はぁ~、食った。やっぱヤムゥは美味いな。しかも今日の味付けは美味かった」
「だね。この味付けは初めてだったけどこれは癖になるね」
「だろぅ?僕も初めて食べた時には感動したもんだよぅ」
「ふふふ、ジャパンクオリティには届かないがこれはこれで美味いもんさ」
「ジャパンクオ…?相変わらず訳わからない事をいうねぇ」
「ですが本当に美味しかったです」
「さて、じゃあこの後なんだけど、ここで順番に仮眠をとってから先に進もうと思うんだけどどう?」
「「賛成だ(よぅ)」」
「俺も賛成」
「私もそれでいいです」
「じゃあ順番を決めようか。あ、その前に。さっきカリュちゃんが採った鉱石はなんだったのか聞いていいかな?」
「あ、そうでしたね」
ヤムゥに夢中ですっかり忘れてましたが、そう言えば先程鉱石を採りましたね。早速鑑定してみましょう。頭の中に【鑑定】の魔法を思い描き目に魔力を溜めて集中し、鉱石の情報を目の前に表示します。
鉱石名 : 金剛石
発見場所: クラの森のダンジョン(中ノ上)
――――――え?金剛石ですか?金剛石ってミスリルよりレアな素材のはずなのですが…。とりあえずお伝えしなければですよね。
「……あの、金剛石です」
「「「「は?」」」」
「こ、金剛石と出ています」
皆さんとても驚かれてますが…そうなりますよね。本当、このダンジョンはどうなっているのでしょう。
いつもお読み頂きありがとうございます。
急に寒くなりましたが皆さま体調など崩しておりませんか?
先日、読者様より会話文等の書き方についてご指摘を頂きました。初投稿で不安があったのでとてもありがたかったです!!!ありがとうございました。
拙い作品ではりますが頑張って投稿していきますので、今後ともよろしくお願いいたします(o^―^o)