ギルドに行きましたがなにか?
どれくらいその場から動かなかったのかわかりませんが、洞窟の奥から数匹の魔物がこちらにやってくる気配で私達はやっと動き出しました。近づいてくるのは中々強そうな気配です。多少の距離があるのに魔物の気配に気づけるようになったなんて、私も成長したものですね。などと自画自賛していたら、先程森で初めましてをした魔獣のレッドガーウルフさんが3匹も来ました。おふぅ…私の魔法では対抗できませんので、ここはお2人に任せるしかありませんね。私は後ろにさがり、ないとは思いますが打ち洩らしがあった場合に備えてショートソードを構えます。
私が後ろにさがると同時に前に出たライデンさんはガーウルフさん達との間合いを一気に詰めて素早くき切り込んだかと思えば、なんという事でしょう。一太刀でガーウルフさんのお身体と首がお別れしていました。あまりの速さに驚いている私の横を、見覚えのあるウォーターニードルが勢いよく通過していき、残りの2匹の眉間にクリーンヒットしました。アッという間に2匹のレッドガーウルフさん達は動かなくなりました。ジョンパニさんの魔法は先程も見事だと思いましたが、ライデンさんも本当にお強いです。魔法を使わなくてもあんなにバッサリといけるのですから…。呆気に取られたまま、動かなくなったガーウルフさん達を見ていたら突然ガーウルフさん達が光り、毛皮と魔石だけ残して消えてしまいました。ダンジョンは魔物を倒すと死体はその場から消え、素材だけが残るとは聞いていましたが本当だったのですね。ダンジョンに入らなければ見れないこの現象に感動している私とは違い、慣れ切った様子の彼等は魔物が落とした素材と先程私が削りだした?ミスリルを持ってこちらに戻ってきました。
「カリュ、外に出るぞ」
ジョンパニさんはそう言うとライデンさんと共にさっさと出口に向かって歩き出しました。お外に出るのは大賛成ですし、出口までたった数十メートルですがまた魔獣が来たら怖いので私は素直に従います。
外に出て私はホッと一息つきましたがライデンさんとジョンパニさんはお顔が引き攣ったまま何か話し合いをしております。ダンジョン発見以上の事って何かありましたっけ?何だか怖いお顔ですね~。
ハッ!!もしかしてレッドガーウルフさんは本来中ノ上ダンジョンでは1階層に出るような魔獣ではなくもっと下層にいる魔獣なのではないのでしょうか。だとしたら、自分達の想定より強いダンジョンを発見してしまい、そこをお2人はこのダンジョンを調査しなくてはならないという事に緊張しているのでしょうか。私は魔法もまだまだなうえにランクが足りていないので、お2人が調査している間はご飯係としてこの近くで待機でしょう。この近くにも多くはありませんがカミツ草やクルガレ草などもありますし、待機に中はご飯作りの間に薬草を採取してもいいでしょうね。本当はマスニジを捕獲して売れたらいいのですが、マスニジを捕獲できても鮮度を維持できるかわかりませんのでここは薬草採取を頑張りましょう。と、そんな事を考えているとジョンパニさんに呼ばれました。
「カリュ、ここの入り口の周りに人が入れないように壁作ってくれ。それが済んだら一回街に戻るから」
「えっと、壁ですか?」
「うん、とりあえず人が入れないようにしてくれればいいんだ」
このダンジョンの入り口は高さ約3メートル、幅5メートル位でしょうか。毎日壁や寝床を作らされていたので簡単な作業ではありますが、毎回毎回こういった事をサラッと言ってくるのはやめて欲しいと思いながら私はアースウォールで入り口を閉じました。
「これでいいですか?大体1メートル位の厚さで作ったのでお2人のような高ランクの冒険者さんでない限り壊すのは難しいと思いますけど。もう少し強度があった方がいいなら作り直しますがどうでしょうか」
「いや、充分だ。相変わらずサラッと作るよな」
厚さも問題ないようなので、私達は街に戻る事にしました。今回もジョンパニさんが風魔法を使ってくれたので私達はアッという間に城門近くに到着しました。この後はどうするのか聞くとギルドに行きダンジョン発見を報告するそうです。ならば私は1度家に帰っるので後でギルドに顔を出すと言ったら、パーティー全員での報告だとジョンパニさんにアイアンクロゥをキメラレつつ言われたので大人しくついていきます。うぅ…頭が痛いです(泣)。
ギルドに着くとライデンさんが受付のお姉さんの所に向かい、「ゼーベテインのライデンだがギルドマスターに会いたい」と何かを見せながら格好つけて言っています。ライデンさんのキリっとした顔を初めてみたので、思わず「あんな顔も出来るのですね~」と言ったら、「あれでも王族の端くれだからな~」と笑いながらジョンパニさんに言われてしまいました。やだ、私ってば彼は王族だったって事をがっつり忘れていました。素直に「忘れていました」と言ったらライデンさんがこちらを見て悲しそうなお顔をしています。あ、聞こえてましたか(笑)。
ライデンさんを見てポーっとしていた受付のお姉さんですが、彼が見せたものを確認した瞬間に顔色を変えて受付の奥に走っていきました。そんなに焦るような何かなのでしょうか?
「ジョンパニさん、ライデンさんが見せたあれは何ですか?」
「あれはギルド本部からの依頼を受けている冒険者だって事を証明する徽章だな」
「ほ~、そんなものがあるのですね」
「勝手に名乗られてトラブルになっても困るだろ。だからあれを提示して本物だって証明するんだよ」
「でも、あの徽章?の偽物とか作られたら困りませんか?」
「それは作れないな。あれにはシリアルナンバーがあって本部のみで管理してるんだ。そのシリアルナンバーと依頼を契約の魔法陣だかなんだかで紐づけて管理してるとかなんとか言ってたからガワだけ作ってそれをギルドに提出してもなんも意味ないんだよ」
「なんだかよくわかりませんが偽装は無理なんですね~」
ジョンパニさんにしては丁寧に説明してくれましたが私にはよくわかりませんでした。なので偽装は無理!とだけ理解しておくことにします。
そんな会話をしながら暫く待っていると受付の奥から細身で小柄な身体に碧髪を1つに纏め、神経質そうな眼付の眼鏡をかけた壮年のエルフさんが出てきました。この方がギルドマスターなのでしょうか?ライデンさんを見て目を見開き慌てて臣下の礼をとりましたのであの方はライデンさんが王族という事を知っていたのでしょう。ライデンさんがやめるように言った為立ち上がった壮年エルフさんの耳元でライデンさんが何かを言うと、こちらを(と言うかジョンパニさんを)見て「ゲッ!!」と言っています。
え?お知り合いですか?
徽章について考える事を放棄したカリュちゃんですが、アイアンクロゥのせいで考える事を放棄しているだけです、きっと(;^ω^)




