公爵令嬢は周りから愛されてる
初投稿です。あたたかい目で見てくれるとありがたいです・・(ブルブル)
「ミュリエル・ディ・アルヴィナ!今ここで貴様との婚約を破棄する!」
華やかで広大な広場のど真ん中で赤く艶のある美しい令嬢の肩を抱きながら男性が指を指している女性へ言い放つ。
ここはヴァレット王国城内にある大広場。本日はヴァレット王国の建国記念日。
大広場にはヴァレット国王や宰相、各貴族の他にも各国の要人達が大広場にいる中、一人の男性が声を上げた事で大広場は静かになる。
「・・り、理由をお聞かせ頂けますでしょうか?」
指を指された女性、ミュリエル・ディ・アルヴィナ公爵令嬢は王太子アンドリュー・ド・ヴァレットへ問いかけた。
「理由だと?は!白々しい!!貴様が俺の愛しいローズに数々の嫌がらせをしたのをこちらは把握しているぞ!貴様の悪徳行為は俺の目でも確認済みだ!そうそうにここから出ていけ!」
「ご、誤解でございます!私はロゼリア様を虐めてなどおりません!」
「嘘を申すな!!」
高台にいるヴァレット王国 国王はその場を見て青ざめ、隣にいる宰相は顔の表情は変わらずとも青筋を立てている。ミュリエルは全くの冤罪をアンドリューへ必死に申しても彼は聞く耳を持たない。するとアンドリューが腕に抱いている赤髪の女性が口を開く。
「アンドリュー様、あの・・」
「あぁ、可愛いローゼ。大丈夫。私が其方をあの忌まわしき悪女から守るから」
「いえ、あの・・」
「心配いらない。即刻追い出すから。あの女へ顔を向けてはならない」
「ちがー」
「何をしている貴様。即刻出て行け!ジール!あの女を拘束しここから出せ!」
アンドリューが近場にいた側近のジールへミュリエルを拘束するよう命令する。ジールは戸惑いながらもミュリエルへ大広場を出るよう促す。
「ミュリエル嬢・・」
「・・私は・・何も・・」
ミュリエルは必至に涙を食い止めようと我慢していたが、涙の流れを止められず彼女の頬に流れ落ちる。それを見たアンドリューはさらにミュリエルへ暴言を発する。
「は!!卑しい者のくせに涙を流すか!その涙で何人もの男を貶めたのだ!我という婚約者がいながら庶民まで手をだしてこの売女が!公爵令嬢の名を持っているもの、恥を知れ!」
プツン
「ミュリエル様に何言ってんだ糞ヤロー」
「は?」
ーバキー
突如、この会場にらしからぬ音が響く。その音へ目を向けるとアンドリューの腕に抱かれていた女性から拳が飛んでいた。見事アンドリューの顔面に食らい、彼は床に落ちる。鼻から血を出し、殴られた当の本人は何が起こったのか分からず呆然する。目線の先には赤髪の美しい令嬢が両腕を組み合わせ、床にいるアンドリューを上から睨みながら口を開いた。
「ミュリエル様が売女?お前何言ってんの?数多の女を誑かし遊んでいたのはお前だろ。学園には行っているものの講義には出ず、学生に暴力をふるい、色んな女学生とヤリまくり、公務は怠け、博打では何回も惨敗。しかも国庫にも手をだし借金までしているお前が何言ってんの?」
「な!?」
彼女が言い放つと会場は騒めき、聞いていた人々は小声で話すもアンドリュー達には聞こえていた。
「王太子の癖になにしているんだ・・汚らわしい・・」
「ミュリエル様は貴族庶民問わず、接していてくださっていただけなのに、売女なんて・・最低ですわ」
「国庫まで手を付けているなんて・・民の血税を何だと思っているのだ」
アンドリューは顔面蒼白になり、周りを見回す。その時、ミュリエルのそばにいたジールに目を向け、奥歯をかみしめながらミュリエルへ再度攻め立てる。
「貴様・・これが狙いか!ローズを使い、我を王太子から引きずり出す事が!ジールにまで手を出して!!」
「そ、そんな!!」
「殿下!お止め下さい!」
ミュリエルの側にいたジールの制止を聞かず、ミュリエルへ手を上げようとするが、アンドリューの手は届くことなく、気づいた時は再度彼が吹っ飛ばされていた。目を瞑っていたミュリエルがそっと開けると、目の前には足を上げた赤髪の彼女が立ちふさがっていた。
「女性に手を上げるなんて最低ね。ドクズ野郎が」
ミュリエルは何が何だか分からず、呆然とする。突如ローズはミュリエルへ振り向け、ミュリエルの両手に手を伸ばした。
「ミュリエル様!お怪我は無くて!?」
「は、はい。あの・・ロゼリア様?」
「まぁ、様なんていりませんわ!私の事はローズとお呼びください!」
「え、そ、そんな。」
ミュリエルとローズが手を手を取り、ローズの押しに若干ミュリエルが引きつつある時、ミュリエルの後ろから声がかかる。
「ミュリエル嬢、大丈夫ですか?」
ミュリエルの後ろに現れた彼は彼女より頭一つ分高く、艶やかな銀色の髪は後ろにまとめおり、透き通るような紺色の瞳で鼻筋が高く、いわゆる美しい男性だった。見覚えのある黒い軍服に肩から金色の飾緒が三本と水色のサッシュに胸元には沢山の勲章、それだけで高位の者だと分かる立ち姿。そして彼が発する声は何故か聞き覚えのあるような低い声でミュリエルは首をかしげる。そこにミュリエルの両手を握っていたローズが彼へ口を開ける。
「あら、今頃おいでなすったわけ?」
ローズがあっけらかんとした態度でミュリエルとローズの元へきた男性へ問い質す。そのしぐさにミュリエルは驚き硬直する。そんなミュリエルの姿をチラっとみた男性は少し笑いながらもローズの問いに答える。
「僕の登場をぶち壊した妹にそんな事言われたくないよ。ミュリエル嬢すまないね。ローズがまた暴れまわってしまったか。」
「お兄様うるさいわよ。せっかくミュリエル様と手を合わせられたのに、邪魔しないでくださいませ。」
高位である男性はまさかのローズの兄だった事がわかりミュリエルはさらに驚愕するが、そんなミュリエルを無視し兄妹二人は止まる事なく喋り続ける。
「ミュリエル嬢が若干引いているのが分からないのかい?妹よ。」
「嫌よ!せっかく憧れのミュリエル様のお手に触れられたのよ!?離すもんですか!!」
「ミュリエル嬢本当にすまない。妹はこう言ってしまうと意地でも離さない。私からお詫びする。」
ローズの兄から突如謝られてしまいミュリエルは動揺し瞳を揺らす。
「い、いえ。あ、あの、あなた様は・・」
「あぁ、僕はー」
「ローズ!!」
ミュリエルとローズの兄という男性の会話を遮り、突如アンドリューは大声を張りローズへ嘆く。
「ローズ!何故だ!?君は、ミュリエルに虐げられていたんのではないのか!?」
アンドリューがローズへ問いただしてはいるがローズはミュリエルに向けている為、アンドリューには背中を向けている。全身から彼へ無視をしている行為だった。
「ミュリエル様、お見苦しい所をお見せしてしまって本当にごめんなさい」
「ロ、ローズ!何故その女の手を取る!?」
「あぁ、なんと華奢でお怪我のない美しいお手でしょう、こんなにお綺麗な方があんなクズ野郎なんかの婚約者だなんて」
「ローズ!何故無視する!?」
アンドリューの決死の言葉もローズには一切届かず、むしろアンドリューという存在を無視し、ローズはミュリエルへ話しかけていた。そんなローズを見たローズの兄が言い放つ。
「ローズ、君の後ろでワンワン言っている彼があまりにもみじめに思えてくる。少しは対応しなさい」
「ッチ」
ローズは令嬢らしからぬ舌打ちをし、アンドリューへ向き直る。ミュリエルは何が何だか分からずただ呆然としているが、そんなミュリエルの肩にローズの兄がそっと大きな手を置かれる。ローズがアンドリューへやっと顔を向けた途端、アンドリューがッヒっと息を止め少し後ずさる。ローズの顔は般若のお面をかぶっている様でアンドリューを睨み、如何にも「これ以上言ったらぶっ殺すぞ」と言いたげな殺気を放っている。それは会場にいる全員が感じとり、女性は扇子を広げ怯えており、男性は冷や汗をかき後ずさったり、またあるものは気絶したりと様々だ。ミュリエルもそんな殺気を近くに感じており倒れないよう必死に保つ。そんな殺気が会場中に広がり誰も声があがらない場にある声が広がる。それはミュリエルの肩にやさしく手を置いている男性だった。
「ローズ、いい加減に聞き分けないと容赦しないぞ」
「・・・」
ローズは放っていた殺気を引き、渋々ながらもアンドリューへ口を開く。
「で、何か?」
「!・・ローズ、どうしてその女の側へ行くんだ!君は虐げられていたのではないのか!?」
「私が、いつ、どこで、誰に虐げられていたと?」
「き、君が、その女から根も葉もない噂を流されたりとか、そ、そうだ!あの学園の庭園にある噴水近くでミュリエルから突き飛ばされていたのではないか!」
形勢逆転できると思ってか、アンドリューは口角を上げミュリエルへ指を指し言い放つ。だが、言い放った後にローズはあっけらかんと答えた。
「は?何それ?」
ローズは尚もアンドリューへ汚物を見ているような冷たい目線で答える。アンドリューはそんなローズの姿を見て狼狽えさらに声量を上げ言い放つ。
「お、俺は見たんだぞ!ミュリエルの後ろ姿にローズが地面の上で座っている姿を!あれはその女が君を虐めていたのであろう!?」
「あんた、馬鹿?」
「!?」
「どーしてそれが、ミュリエル様が私を虐げる事になっているのよ。てゆーか、それは私がその場で躓いて転んで、一緒に歩いていたミュリエル様が手を差し伸べて助けてくれただけですけど。」
「な!?じゃ、じゃあ、その女から根も葉もない噂を流されたりというは!?」
「その噂がどのようなものか存じ上げませんが、女性は気に入らない事があると簡単に嘘の噂を流したくなるもの。大方、王太子の婚約者であったミュリエル様を嫉んで流した嘘じゃない?そんな事調べればすぐ分かる事をよくまーギャーギャーとうるせーなお前。大体、お前と話したのだって、今日で三回目だぞ?なんでお前に「可愛いローズ」とか言われなきゃいけないわけ?恋人でも友達でもない赤の他人ですけど。気味が悪い。てゆーか気持ち悪い。」
「な、な・・・」
会話の後半からは明らかに淑女らしからぬ口調で言われたアンドリューはその場で固まってしまう。王太子である自身に気持ち悪いと言われた事がショックで顔を引きつらせ顔面蒼白だ。一方ローズはミュリエルにとって根も葉もない噂を流したであろう令嬢達を目だけで動かし捉える。目が合った令嬢達は青ざめ、扇子で顔を隠していた。
ヴァレット王国にある王立学園は貴族平民問わず皆すべて平等であることが学園の規律である。だが、貴族で生まれ持った中には同じ学園に通っている庶民に手を上げる事も少なくない。ましては、貴族で生まれ学歴も幼き頃から習いながらも、学園では学力で庶民に劣った貴族は腹いせに虐げたりなどもあり度々問題視されていた。
そんな中、公爵令嬢であるミュリエルは「平等」の規律を守り、庶民にも気軽に話しかけたりと貴族庶民に問わず多くの生徒から親しまれていた。彼女は学園内で学力で常にトップの成績を掲げており、貴族庶民問わず質問をされれば丁寧に答えたり、提案していたり、気軽に話し合ったりなど行っていた。
中にはそんなミュリエルの行動に気に食わない令嬢達がいる事は彼女自身存じており、噂の一つや二つを一々気にしていたら、この先王太子妃が務まらないと彼女は噂を聞き入れ、かといって何もしなった。
アンドリューが仕出かした学園内での問題はミュリエルが出来る範囲で赴き、後始末を行っていた。現王太子である彼の責任は婚約者であるミュリエルの責任にもつながり、後々貴族からの反発も出てきてしまう。アンドリューが虐げた学園の生徒へ何度も詫びた事もあった。そんな姿を沢山の生徒が見ていた為、アンドリューよりもミュリエルの方が慕ってくれる生徒達は多くいた。
ローズがアンドリューへ睨み続けている中、又もや、その雰囲気に似合わない綺麗な低音の声が響く。
「ミュリエル嬢。度々妹が本当に申し訳ない。」
「い、いえ。・・・あの申し訳ございません。お名前をお伺いしてもよいでしょうか?」
「あぁ、マリーにはこの姿初めてだったかな。ごめんね。」
突如ミュリエルの愛称で呼ばれミュリエルはハッとする。聞きなれた低音の声でミュリエルを愛称で呼ぶその方は、
「そ、その声・・・もしかしてレオ!?」
レオと呼ばれた男性はミュリエルに満面の笑みを向ける。その笑顔は学園でよくお喋りをしていた男性の顔と一緒だった。
「当たり。ようやく会えたね可愛いマリー。改めまして、私はレオナルド・ルイ=ド・ガルフィオン。ガルフィオン帝国の第二皇子で、そこにいるローズは私の妹、ロゼリアだ。ローズ挨拶なさい。」
レオナルドに言われローズは優雅にカーテシーを行う。それはゆっくりとそして優雅に行う姿はまさしく幼き頃から洗礼された所作でミュリエルも見惚れてしまう。
「ミュリエル様、ご挨拶が遅れてしまい大変申し訳ございません。兄からご紹介あずかりました、ガルフィオン帝国 第二皇女 ロゼリア・マリー=ド・ガルフィオンと申します。私の事はローズとお呼びくださいませ。こちらには留学という名で来させていただいておりまして、私と兄の正体を存じてあるのは国王陛下および宰相様のみであり、学園では子爵の名で通っておりましたの。この場でご説明した事によって、ミュリエル様に混乱を招いた事、大変申し訳ございません」
ローズは深々とミュリエルに頭を下げると、ミュリエルは慌てふためき、頭を下げないよう申し出る。
ガルフィオン帝国とはヴァレット王国の隣国ではあるが、統括する国の面積がヴァレット王国の数十倍ある超巨大帝国だ。魔術が大変優れている事で有名であり、ガルフィオン帝国に宣戦布告したものはわずか数時間で国が亡くなるという。ミュリエルは以前、父の付き添いでガルフィオン帝国で舞踏会に参加し、帝国の軍人は黒の軍服を着ていた事を思い出し、即座に頭を下げカーテシーを行う。
「頭を下げるのはこちらの方でございます。ガリフィオン帝国 第二皇子レオナルド様と第二皇女 ロゼリア様へ私の大変お見苦しい場面に遭遇してしまい誠に申し訳ございません。」
ミュリエルが頭を下げえた事でレオナルドとローズは驚愕し即座に頭を上げるよう詰め寄る。
「やめてミュリエル様!」
「マリーやめてくれ」
レオナルドとローズは頭を深く下げたローズへ優しく寄り添い、頭を上げさせる。レオナルドはミュリエルの頬に壊れ物を扱う様にそっと優しく手を触れる。
「マリー。君が学園で私と話していた時がとても幸せな時間だった。僕は正体を隠し庶民として学園に通っていた設定だったが、君はそんな僕に普通に話してくれた。お互い色んな本や論文で意見交換をしあったり、お菓子を食べあったり、とても有意義な時間だったよ。学園では「皆平等」という規則に基づき、私の他にもあなたは平等に接した。あるものを助け、あるものと共に笑い合うなど・・。そんな君だからこそ私は君に惚れたのだ。君は常に美しい。」
「・・で、ですが・・私は」
レオナルドは高台に座っていた国王と宰相へ顔を向け、言い放つ。
「国王陛下、そしてアルヴィナ公爵。先程、こちらのミュリエル嬢にアンドリュー王太子から婚約破棄の宣言をされておりました。私はそれを見届けた上で、ミュリエル・ディ・アルヴィナ公爵令嬢を我が妻にしたく婚約をお願いしたい。」
意気消失していたアンドリューがレオナルドが発せられた発言により覚醒し声を上げる。
「な!?」
一同驚愕の声があがり、国王は狼狽えるが、隣にいる宰相であると同時にミュリエルの父でもあるアルヴィナ公爵がレオナルドへ口を開く。
「ガルフィオン帝国 第二皇子レオナルド・ルイ=ド・ガルフィオン殿下このような建国記念日という華やかな日に先程の問題行為に遭遇してしまい誠に申し訳ない。私からも謝罪をする。・・・だが、我が娘ミュリエルは先程、王太子殿下から婚約破棄を命じあれ、ある意味「傷者」となった者。そのような娘でも殿下は娘を受け入れたいと申すであるか?」
アルヴィナ公爵からの質問にレオナルドは優しく微笑むが瞳は強い意志を持っているかのように強く公爵へと向けそして強く質問の問いを言い放つ。
「ミュリエル嬢は「傷者」なのではありません。彼女の心は美しく、私だけじゃなく皆に癒しを与えてくれる。彼女は努力家で自分よりも他人が傷つくのを見て居られないのを私は知っています。いずれ王太子妃そして王妃になる為に必要な教養を人一倍努力し身に着け、アンドリュー王太子が行う外務についても優雅にふるまっていた。それに国を愛し、国の宝である民達により一層耳を傾けている。そんな誠心誠意な美しい心を持つ彼女だから私は強く惹かれました。私は彼女に絶対不幸にさせない。ましては先程流した悲しい涙を私がすべて受け止めたい。私は彼女を愛しております。」
レオナルドの突然の発言により、ミュリエルは赤面し恥ずかしくなり顔を俯く。そんなミュリエルをレオナルドは愛おしく見つめそして、レオナルドの腕で大切に守られている。
アルヴィナ公爵は高台から降り、レオナルドの腕で守られているミュリエルへ歩み寄る。そんな二人にを見つめるアルヴィナ公爵が口を開く。
「・・・国王から婚約者と受けたミュリエルには、王太子妃そしていずれ王妃になる為沢山の努力をさせてしまった結果、このような事になった事は宰相である私にも責任がある。・・・殿下、娘を宜しくお願い致します。」
「お父様!」
「ありがとうございます。アルヴィナ公爵にはとても辛い事を二度も経験させてしまい申し訳ない。」
「いえ、そこの床に転がっている若造よりもあなた様の方が信用に値するものです。」
「ありがとうございます。」
アルヴィナ公爵である父がミュリエルへ顔を向ける。アルヴィナ公爵は苦悶の表情でミュリエルへ向け、ミュリエルもそんな父の顔をみて瞳に涙が溜まる。
「ミュリエル。本当に申し訳ない。私はお前に幸せなってもらいたいと願った結果このような形になってしまった事を本当に後悔している。恨むなら私を恨んでくれ。」
「お父様!やめてください!・・私の力不足でもあるのです。お父様のせいではございません。」
父・アルヴィナ公爵がミュリエルの頬をそっと片手でふれミュリエルはそんな父の手を上からそっと触れながら一粒の涙を流す。そんなミュリエルの姿をみてアルヴィナ公爵は王太子の婚約者となってしまった経緯を思い耽る。
王族からの婚約ではあるが、アルヴィナ公爵は現王の姉が降嫁した家であり、宰相も務めあげる由緒ある家柄。第一王子であるアンドリューは王妃の子ではなく側室の子、そして弟には王妃の子である2歳下のエドゥアールが存在する。エドゥアールはアンドリューと違いとても優秀で、王太子になるにはエドゥアールだと掲げるものが多くいた。だが王族に関する法律上、王太子は第一王子と決まっており王妃の間に中々子が出来なく家臣からの後押しを食い止められず側室を迎えてしまった。結果側室はすぐにお子を成し、その二年後に念願の王妃との子が出来た。
王族法として第一王子が王太子となるが如何せんアンドリューは第二王子よりかなり劣っている。そんな王太子の後ろ盾として国のNo.2である宰相であるアルヴィナ公爵が欲しかった。その為にアルヴィナ公爵の娘ミュリエルを婚約者として挙がったのであったが、ミュリエルが人一倍努力をしている一方で王太子であるアンドリューは学問に手を付けず、公務も行わず、博打を嗜み、人を道具のように扱うなど行う問題行動を幾度と行っていた。アルヴィナ公爵は娘ミュリエルの婚約は最初反対しておりアルヴィナ公爵の妻である現王の姉からも幾度も取り下げるよう手紙を出した。が、結果、頭を下げた国王より「命令」を受けてしまいそれ以上受けざらざる負えなくなってしまった。アンドリューの父である国王はミュリエルを大事に、そして王太子を立派に務めるよう厳しく接したが、それが逆効果になってしまいアンドリューの問題行動は大きく膨れ上がってしまった。
「陛下、あなた様が私に頭を下げてでも殿下を王太子にしたい為、我が娘を婚約者に挙げました。結果、このような大衆で婚約破棄など非道な事を行うなど言語道断。しかも幾つもの問題行動や、国庫へ手を出した殿下へ公平の裁きを!!」
宰相が声を上げ、国王へ攻め立てる。
そんな中、アンドリューが立ち上がり、ミュリエル達へ指をさしながら大声で反論する。
「宰相!貴様何をしたのか分かっているのか!?王太子である私を責めるなど不敬罪だぞ!大体!国庫に手を出したなどどこに証拠があるのだ!あるのなら言ってみろ!!!」
証拠もない事をいいことにアンドリューはアルヴィナ公爵へ対抗する。そんなアンドリューの姿をみてローズは呆れた表情をし頭を左右に振る。
「つくづく馬鹿すぎて頭痛くなるわ。」
「な、なんだと!?」
ローズがミュリエル達の前に立ちふさがり、アンドリューを睨みつけ言い放つ。
「お望み通り、証拠見せてあげるわ」
ローズが持っていた小さいガラス玉を、上に投げ、ガラス玉へ向けて詠唱する。
『映写』
ガラス玉ははじけ、途端に大広間に大きな映像が流れだす。そこにはアンドリューがある一人の男性に詰め寄っている所だった。
『で、殿下!いけません!民からの血税を私用の為に使うのは!』
『は?何をいうメヴェル財務長官。民の税金は我々王族が使用するものは当然だろう。』
『これらにはちゃんと国家予算が割り当てられております!それを無断で使用するなど犯罪です!』
『うるさい!貴様私の命令が聞けないのか!?これらは我らの金だ。・・そうだ、私に盾突くのなら私が王になった暁には貴様を財務長官の席から引きずり下ろし、お前を貴族枠から剥奪しよう。』
『な!?』
『さぁ、どーする?』
『・・・・』
アンドリューはニヤニヤしながら国庫の金庫に手を伸ばし金を手に入れた後、財務長官を見ながらあざ笑い部屋を出て行った。
そんな映像が流れ、周りはアンドリューへ冷たい目を送る。アンドリューは青ざめ固まるがローズの攻撃は止まらない。
「あとは、学園内で起こした問題行動かしら?沢山ございますので皆さまご覧あれ。」
映像は学園内に移り変わり、再度アンドリューが映し出される。
ーそこにはある男子学生を蹴り上げ、笑いながら彼の論文をびりびりに破く姿、
ー図書館から出てきた生徒にわざとぶつかり、男子生徒の頭をぐりぐりと足で抑えている姿、
ー落ちていた書類を拾っていた女学生の頭に飲み物をこぼし「庶民には床がお似合いだな」と笑いながら言い放す姿。
どれも、極悪非道な行動を行うアンドリューの姿が映し出されていた。
アンドリューがローズへ言い詰めようと顔を向けた際、ローズの後ろには何十人もの黒いローブを羽織った人物が存在していた。ローズはアンドリューへ向け言い放つ。
「殿下、映像をご覧になっていかがでしたが?あなたが行っていた問題行為の証拠の数々。あなたは学園内で暴力を行い、しまいには女学生に性的暴行を行った事もこちらは確認済みですわ。もちろん証拠はございますが、この場で映像を出すことは彼女達の名誉の為映しはしません・・・が、変わりにこちらにお越しいただきましたの。」
ローズがニコリと言い放った途端、黒いローブを羽織った人達の顔が表す。全員女性であり、全員アンドリューへ睨みつけていた。
「殿下、彼女達を覚えていて?あぁ、あなたは彼女らの顔を覚えておらず、とりあえず近くにいた女学生に手を出しておいででしたわよね。でずが、彼女らは覚えていらっしゃいますわよ?ねぇ?」
「な、なんだって・・」
床に座っているアンドリューに目掛け、彼女達は睨み続ける。そこから一人の女学生が発したのを区切りに次々と言い放つ。
「お久しぶりです殿下。殿下から「庶民風情が俺に抱かれる事を光栄に思え」と言われながら耐えたのは苦痛以外なにもありませんでしたわ」
「な・・何・・」
「お久しぶりです殿下。殿下から「顔に似合わず体だけは淫乱だな」とは誠勝手なながら最低でクズなお方だと感じましたわ。」
「や、やめ・・・」
「お久しぶりです殿下。殿下から受けたこの顔と体中の傷ですが、ロゼリア様に治癒していただき綺麗さっぱりなくなりましたわ」
「やめろ・・」
「お久しぶりです殿下。殿下から、」
「やめろ!!!」
アンドリューは床から立ち上がり、即座に高台に座っている父である国王の元へ向かう。国王の顔は青筋を立て、握られた手大きく震え血が出るほど握りしめていた。一目見れば爆発寸前の国王の姿をアンドリューは気づかずに救済を求める。
「父上!奴らは私を貶める計画の為に組まれた下賤な奴らです!そっこく処罰を!」
「・・・すぐに立ち去れ」
「聞いたかお前達!父の命により、今すぐここを」
「立ち去るのは貴様だ!アンドリュー!」
「な!?」
「此度、度重なる貴様の問題は大いに重罪である!王太子になる以前から貴様に助言していたものの、民を傷つけ、国庫に手を付け、自分が犯した罪の意味を分かっていない貴様になど王太子は務まらない!貴様には今ここで王太子及び、王族の廃嫡を命ずる!私の子でもなんでもない!衛兵!この愚弄ものを監獄「0番」へ叩き入れろ!!!!」
「ち、父上!?」
「くどい!貴様の父ではない!即刻立ち去れ!」
「ま、待ってください!エ、エディ!!俺を助けてくれ!」
「・・あなたには絶望しましたよ兄上。いや、もう兄上ではないか。私からも「周りをよく見ていた方がよいですよ」とお伝えしたのに聞かなかったのはあなただ。今もう一度言いましょう。「周りをよく見ていた方がよいですよ。」」
アンドリューの弟、エドゥアールが言い放った言葉通り、アンドリューは周りを見渡す。老若男女問わずその会場全員がアンドリューへあるものは冷たく、あるものは怒りのように、あるものは汚い者を見るような目で見ていた。アンドリューは意気消沈し、衛兵に捉えながら広場から出ていく。
監獄「0番」それは重罪を犯した囚人を永久に閉じ込める牢屋。生涯幽閉の意味をもつ監獄である。そこに入れられたものは王族や貴族など関係なく死ぬまで外には出てこない。アンドリューは命が尽きるまで監獄に入れられることになった。
婚約騒動からまさかの王太子であったアンドリューの問題行為の暴露を行った大広場には静かになった。そこへ高台にいた国王は立ち上がり皆へ向かい、ある宣言を行う。
「皆のもの、本日の晴れやかな建国記念日をこのような形を起こってしまい誠に申し訳なかった。・・・ここで私は王を引き隠居することにする。尚、このヴァレット王国は隣国ガルフィオン帝国の属国に入る事となった。そこでここを纏め上げる統括にはそこにおられる、ガルフィオン帝国 第二皇子レオナルド・ルイ=ド・ガルフィオン殿が行う!我が長男、エドゥアールと現宰相アルヴィナ公爵にレオナルド殿の側近及び宰相を務める事をここで報告する!」
国王が宣言し、驚きの声があがる中、レオナルドの前に彼を支持ずる貴族たちが跪く。
そこには、ミュリエルの父アルヴィナ公爵、そしてエドゥアールの姿もあった。
ミュリエルはレオナルドを見上げる。
端麗なお顔に鋭い瞳。その瞳の奥には統括する力をもつ強い炎があるように思えた。そんな見惚れたミュリエルにレオナルドが優しく微笑む。
「マリーそんなに見つめられたら、この場で食べちゃうよ?」
「え!?」
「ハハ、冗談だよ。では、マリー。」
レオナルドはミュリエルの手を優しく握りながら跪く。
「ミュリエル・ディ・アルヴィナ公爵令嬢。あなたを愛しております。私と一緒に幸せになっていただけませんか?」
「!・・はい!」
可憐な花畑が広がる庭園で、一人簡易なドレス姿の女性を黒のスーツを纏った男性と軍服姿の女性が囲いお茶会が行われていた。
「はぁ~結局お兄様の手の中に入っちゃったわね。・・・ッチ」
「ローズ、いい加減諦めろ。何度言ったって、マリーはもう私のだ。」
「卑怯だ!!ミュリエル様を見つけたのは最初は私よ!?お兄様だって最初全然興味ない感じだったじゃない!!」
「あれだけ、俺にマリーについて熱弁していたのはローズだろ?そりゃ、一度は見に行くだろ。」
「だからって!一度見に行った時にまさか、惚れるとは思わないじゃないの!!」
「恋が芽生えるのに時間や回数なんて関係ないんじゃないかな?」
「キー!!!あー言ったら、こー言う!!本当に鬼畜!!」
「まぁまぁ、ローズ様。落ち着いて。」
ヴァレット王国だった城の花畑が広がる綺麗な庭園にてレオナルド、ミュリエル、ローズの3人はお茶を楽しんでいた。
ガルフィオン帝国の属国となり今は「ヴァレット州」となった今、レオナルドの統治により「ヴァレット王国」より豊かになっていった。
激動の建国記念日が去った翌日からレオナルドは粛清を行った。
王太子だったアンドリューの取り巻きだった貴族達が行った癒着・賄賂を取り締め、罰則金を含む罪状を言い渡され、結果多くの貴族が爵位を返上せざる負えなくなった。
多くの貴族が無くなった事で多くの領地も主である領主がいなくなった。そこで宰相アルヴィナ公爵と宰相補佐エドゥアールによって州管轄の領土として取り締まることになり、主に家畜などを生産していく場となった。
第二皇女ロゼリアは帝国での魔術の才能がずば抜けており尚且つ最強と言われる帝国騎士団の団長をも務めていた猛者である。留学に来ていた際「ヴァレット王国」時代では魔術を使用する者は忌み者とされていた為、多くの魔術保有者が虐げられていた所を目の当たりに驚愕をする。ガルフィオン帝国では魔術を「神が与えられしもの」と捉えられており、魔術保有者を意味もなく虐げていた「ヴァレット王国」がローズは心底許せなかった。
学園留学時から魔術を保有する者達と接していたローズはこの度、「魔術学院」を設立し多くの人達を魔術学院へ送らせた。その結果、今ではヴァレット州で脅威なる「魔術騎士団」が生まれ、ローズは騎士団長を行っている。
「レオナルド様、そろそろお時間です」
紺色の長髪を一つにまとめた男性がレオナルドに伝える。
「あぁ、ジール。もうそんな時間か。じゃ、マリーまたね。くれぐれも体を大事にしてね。」
「はい、レオ。でもレオも仕事ばかりでお体に無理させないでくださいね。この子も心配してますから。」
「あぁ、それはいけないな。今日は早めに戻るから一緒に夕食を取ろう」
レオナルドは大きくなっているミュリエルのお腹を撫でながら、ミュリエルの頬にキスをし、ジールと共にその場を後にする。
アンドリューの側近だったジールは多くの貴族粛清時、その一人の貴族の息子にジールがあがっていた。
レオナルドはアンドリューの側近時に何度も問題行動を行う彼に注意をしたり、アンドリューに虐げられた人達を助けていたジールの事を何度も見ていた。ジールは決して虐げる事なく、側近として主の道が間違った方向へ行かないよう常に奮励していたが、結果、大罪を犯した主を止める事は出来なかった。
ジールはその責任として返上だけではなく、自分に処刑をとレオナルドに涙ながらに懇願していたが、それを止めたのはミュリエルだった。ミュリエルもジールが懸命にアンドリューを支えていたのは婚約者だった頃から知っていた為、ミュリエルはレオナルドに側近として使えるのはどうかと提案した。もちろん反対意見はあったが、伯爵位だった爵位は子爵に下げられ、ジール以外の親族はすべて貴族枠を剥奪という結果になり、晴れてレオナルドの側近となれた。
今ではジールも結婚し、そのお相手はアンドリューの被害者でもあった当時の女学生・アイリーンである。当時学園でジールと親しかった彼女はアンドリューに目を付けられ、ジールの前でボロボロにされ体中に傷を負った。ジールに涙ながらに抱きしめられていた所をローズの治癒魔法で怪我が無くなり、以降ローズを慕う様になっていた。断罪の建国記念日で黒いローブを羽織っていた一人である。
「ローズ様の結婚式が3か月後でしたね。ご一緒に準備できないのが残念です」
「そんな!ミュリエル様は今身重なんですから安静してらして!じゃないと私、お兄様に殺されてしまうから!」
「レオはそんな恐ろしい事をしないと思うけれど・・」
ミュリエルは現在妊娠後期に入った。断罪の建国記念日から3か月後に急遽結婚式を行った。なんでもレオナルドがもう待てないと騒ぎ立てたからだ。それから半年もたたずにミュリエルが懐妊。来月には生まれるのではないかとの事だ。
「いーえ!ミュリエル様!お兄様の私達兄弟に対する行いご存じ?帝国にいる父と母以外の私達には容赦しないんだから!狙われたときなんて目で射殺すわよ!?」
「それは、レオがローズ様達を大切に思ってるからですよ」
「はぁ!?んなわけ!!」
「ローズ」
ミュリエルがクスクス笑いながらローズの愚痴を聞いていると何枚か書類を持った男性がやってくる。男性の元へ顔を向けるとローズが芋虫をかみつぶしたような苦い顔をして言い放つ。
「げ!!」
淑女とは思えない発言だがローズの言動・行動を見てきたミュリエルはとうに慣れ、そんなローズの姿にクスクスと笑う。ローズは男性が近づくにつれあたふたし始める。
「ローズ、また言葉が疎かになっているよ。そんなに僕のおしお仕置きがほしいのかな?」
「そ、そんなわけないでしょう!」
お仕置きと聞いてローズは顔が赤くなりぷいっと逸らす。そんなローズを愛おしくみていた男性はミュリエルに顔を向け頭を下げる。
「ミュリエル様、ローズが度々申し訳ございません。お加減はいかかでございますか?」
「エドゥアール様、とんでもございません。ローズ様はとても良くしていただいております。ローズ様とのお話は私にとっても有意義なひと時ですので、とても元気になりますわ。」
「ミュ、ミュリエル様!」
「ローズ、そろそろ騎士団に戻らないと。彼女達がまた僕の所に押し掛ける身を考えてくれないかな?」
「そ、そんなこと言ったって!せっかくのミュリエル様のお茶会よ!?普段、あの鬼の様なお兄様のせいで全然会えないんだから!そう言うんだったら、あなたからお兄様に言ってもらえばいいじゃない!」
「レオナルド様はミュリエル様を一番にお慕いしているから誰にも会わせたくないだけだと思うよ?僕の一番はローズだけど」
「そ、そんなこと聞いてんじゃないわよ!!」
3か月後、ローズとエドゥアールの結婚式が行われる。二人の出会いはあの建国記念日よりも前に学園で出会っており、同じクラスメイトだった。以前アンドリューが虐げた後にローズがアイリーンに治癒魔法をしたのを偶々目撃し、以降アンドリューに粛清をと二人で計画を練っていた。証拠などを色々と見つけ出す諜報活動がエドゥアールにとっては得意分野であった為沢山の証拠の功績はエドゥアールのおかげという事だ。それをきっかけに二人は近しい間柄になり、そしてはれて婚約、結婚に至ったのである。エドゥアールはローズをとても愛しており、騎士団で訓練を励むローズをとても心配し毎日迎えに行っている。それはローズに触れる男共がいないかチェックしる為であるが、当のローズは知る由もない。
「では、ミュリエル様、お部屋へご案内を」
「いや、僕がするよエドゥアール」
エドゥアールがミュリエルを部屋まで送ろうと手を差し出しだそうとするが、先程執務室へ向かったレオナルドがそれを阻む。
「やっぱりマリーが心配で戻ってきてしまった。すまないが僕の我儘を聞いてくれるかい?マリー」
「フフ。ええ、喜んでレオ」
二人は手をとり共に歩き出す。共に繋いだ手は決して離さず、そして二人はいつまでも幸せに。
ヴァレット州は王国時代よりも繁栄し人々は統治者レオナルドを偉大なる者と称えられた。レオナルドとミュリエルには三人の男子に双子の女子を儲け、特に双子の女の子達に関しては祖父でレオナルドの父である皇帝に溺愛され帝国に帰る耽美に使用人に温かい目で見られながらも皇帝とレオナルドの口喧嘩は耐えなかったが、レオナルドとミュリエルは幸せな人生を送った。
その後、レオナルドとミュリエルの長男はレオナルドみたく未来の奥様を溺愛し統治者の偉業を成し遂げる事や、次男はローズにボコボコにされながらも騎士団元帥になる事や、三男は長男をサポートする為暗躍のエキスパートになる事や、双子の長女・次女は未来の大魔術師になり、ヴァレット州の繁栄は滅びることなく続けられた事はまた別のお話。
最後までお読みいただきありがとうございました!(土下座)