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ゴブリン転生  作者: サウスのサウス
1/5

1 転生

某ゴブリンス○イヤーと転スラを見て影響を受けた作者です。本当は別の作品を書きたいのに思い付きでまたこんな風にあげてしまい申し訳ない・・・(^_^;)



唐突だけど、皆さんは『ゴブリン』という存在をご存知だろうか?


ゲームとか物語に出てくる空想上の定番モンスターであるゴブリンは一般的には雑魚モンスターとして出てくることもあるが、ここ最近はその残虐な性格から最悪のモンスターとして描写されることもある。


ゴブリンとは基本的には、弱い人間から略奪をしたり、時には子孫を増やすために女を連れ去ったりと、とにかく人間の迷惑どころか、女からしたら害悪もいいところな最悪な存在なわけだが、何よりも面倒なのは少なからず知能の片鱗があるところだろう。


決して頭がいい生き物ではないが、道具の使い方をなんとなく悟ったり、弱い人間と強い人間の識別ができたりと、総合的に見れば侮るべきではない存在なのは間違いないわけだが、さてでは問題だ。


ゴブリンに人間が転生したらどうなるか?


異世界転生というのは色んな人間の憧れだろうが・・・少なくともモンスターに転生したいという物好きは少ないだろう。

まあ、スライムに転生して無双したりする人もいるだろうけど・・・少なくとも自分からゴブリンに転生したいという人間はいないと思う。


とはいえ、異世界転生というのは自分で自由に選択できるようなことは創作だろうと滅多にないわけでして、つまり何が言いたいかと言えば・・・




『な・ん・で・・・ゴブリンになってるんだ俺はー!!!!!!!!』



思わずそんな叫びが出る。

湿った洞窟に声が反響するはずが、実際に反響したのは『キィ!』という人外の声だけ。


近くの水面に写る姿は緑色の小柄な醜い生き物。


まさしくゴブリンなわけなのだが・・・落ち着け。状況を確認してからでも遅くはないだろうと思い俺は大人しくその場に腰を下ろして考える。


まずはだ・・・俺は誰か?


俺は・・・そう、武田剛(たけだつよし)という日本人だ。先月20歳になったばかりの旅館で働く普通の社畜のはずだ。


では何故その俺がゴブリンの姿になってこんな洞窟にいるのかは・・・不明だ。昨夜、寝た時までは自室にいたはずなのに、目が覚めるといつの間にか湿った洞窟におり、気がつけばこんな外見になっていたのだ。


ではこの現象はなんなのか・・・可能性はいくつかある。


1つ目は夢であるパターン。これは俺の夢であり、自分の内なるゴブリンになりたいという思いが夢として現れたパターンだが・・・しかし、夢にしては先程から感じる地面の感触がリアルすぎるし、何より俺にはそんな願望はないので多分違うだろう。


2つ目は寝ている間にUMAに拐われて、人体実験されてから適当な洞窟に放置されたパターン。まあ、それはそれで無理があるが・・・オカルトな現象での説明ならこれしかないだろう。まあ、拉致という点ならある意味正しいのかもしれないが・・・それを納得できるかといえば無理なのでこれも違うだろう。


そして3つ目・・・これまでよりもしっくりくるのは異世界転生。

俺が寝ている間に異世界に意識が飛ばされたと考えれば納得でき・・・いや、どのみちどんな可能性を検証しても納得はできないが、少なからず具体性があるのはこれかもしれない。


オタクの性としてはおそらく3つ目の異世界転生が一番近い可能性だろうとは思うが・・・


『せめて人間になりたかったよ・・・』


オタクとしては異世界転生という現象には心を浮かせるべきなのだろうが、しかし転生先は最低でも人間が良かった。

いや、人間ではなくてもせめてもう少し容姿がまともな生き物が良かったのだが・・・よりによってゴブリンとは・・・


これなら前のキモオタの顔の方がマシだったと、ため息をついてから俺は辺りを見回してみた。


場所はどうやらどこかの洞窟のようで、近くには水場があるが、そこでふと疑問に思った。暗い洞窟の割にはやけに明るく見えるような気がする。


流石に遠くまでは見えないが、夜目がきいてるにしても近くのものはかなり鮮明に見えるが・・・


『もしかして・・・視力はゴブリンの方がいいのかな?』


流石にモンスターというのは人間とは知覚が違うからか暗い場所でもかなりよく見えるのだろうと思ってから俺はもう一度水場に顔を向けた。


水面に写るのはやはり間違いなくゴブリンと呼ばれるモンスターなのは間違いなかったが・・・そっと、俺は水面に触れてみた。すると冷たい水の感触をリアルに感じて夢であるという可能性が消えたのがわかった。うん、だってこんなにリアルな水が夢とかあり得ないだろうとさらに深いため息をつく。


これはあれかな・・・ゴブリンだから人間襲って生きるべきなのかな?でも流石に何の罪もない人間を襲うのは躊躇われるわけで、ましてや子孫繁栄のために女の子を拐ってくるのは尚無理だ。


泣いてる女の子を襲って興奮する趣味でもあればいいのだろうけど、流石に俺にはそんな度胸はない。いや陵辱展開とかマジで苦痛すぎる。見てて心が抉られるから無理。


そもそも俺は本来き○ら系列のほんわかした世界が好きなのにこんなファンタジー全開の姿にされるとか・・・そういえば寝る前に見ていたアニメでゴブリンだけを殺す冒険者の物語があったけど、もしこの世界にも似たような人がいたら俺の人生いやゴブ生はそこまでかもしれないな。


まあ、いずれにしてもゴブリンの生態からして人間とは相容れないことは間違いないけど、できれば平穏に生きていきたいな・・・とはいえ、ゴブリンにも食事は必要だろうしこのままこの場所にいても安全とは限らないしなぁ・・・


『とりあえず寝床と食事をなんとかしないとな』


うん、この現象が夢なのかそうでないのかとかはひとまずおいておいて、とりあえずこの環境にまず適応する必要があるかもしれない。サバイバル経験なんて皆無だからどうすればいいのかはなかなか難しいところだけど、ひとまず情報収集を兼ねて近隣を探索する必要があるだろう。


問題は他のモンスターとか、人間に会った時の対応だけど・・・


『せめてステータスとかわかればなぁ・・・って、え?』


そう呟いてから驚いてその場に止まってしまう。何故なら・・・


★★★★★★★★



ステータス


種族 ゴブリン

レベル 10

HP 10000

MP 1000

スキル

【盗賊】

気配遮断、奇襲特化、暗所無敵化、略奪

【翻訳】

言語理解、言語統一

【小鬼】

再生能力、繁栄



★★★★★★★★



『これは・・・ステータスなのか?』


目の前に映し出されているのは半透明なゲームのウィンドのような画面だった。触れてみるが感触はなく、まるで頭の中に投影されているような奇妙な感覚になる。


何度か試しているうちに、念じると消したり出したりすることができることがわかってから俺はじっくりと眺めて考える。


種族は当然のごとくゴブリンだが、まずレベルが存在することに少なからず驚いた。まあ、レベルの上限がいくつなのかわからないからなんとも言えないが、レベル10ならおそらく一般的に見れば雑魚の部類だろう。


次にHPとMPだが・・・これはやっぱり文字通りなんだよな。HPはヒットポイント、体力のことだろうけど、ゲーム的な発想ならこれがゼロになると死ぬってことだよね。それでMPはマジックポイント。ん?てか、MPがあるってことは魔法使えるのか?


次にスキルだが・・・



★★★★★★★★


スキル

【盗賊】

気配遮断 自身の存在を極めて薄くする。

奇襲特化 奇襲による攻撃力増加。

暗所無敵化 暗所による補正効果。

略奪 相手の持つスキルや道具、武器を奪うことができる。


【翻訳】

言語理解 あらゆる種族の言葉を理解できるようになる。

言語統一 種族関係なく、言語を統一できる。


【小鬼】

再生能力 どのような状態でも再生できる。

繁栄 種族間関係なく子孫を残せる。



★★★★★★★★


今あるスキルは3つだけだが、内容はなかなか悪くないかもしれない。

まずスキル【盗賊】。気配遮断と奇襲特化だけでもわりと強いのに、暗所無敵化って洞窟で灯りなしなら死なないってことかな?

あと、略奪って・・・相手から道具や武器だけじゃなくてスキルも奪えるのか。


この世界の基準がわからないから油断はできないけど、少なくとも暗がりにいれば奇襲にせよ、やり過ごすにしろなんとかなるかもしれないってことか。


次に【翻訳】。これは・・・言葉を理解できるってことだよね?ということはもしかしたら他のモンスターとか人間に会ったときに会話で穏和に済ますことも・・・いや、見た目ゴブリンだからそれは無理か。


最後に【小鬼】。再生能力ってことは怪我とかが自然に治るってことだよね。繁栄は・・・確かに凄いけど、生まれるのがゴブリンなら子孫を残す意味がないような気がする。


まあ、とりあえずゴブリンという器はあれだけど、一応異世界転生の特典はついてるって考えてもいいよね?それでなくて、この世界のゴブリンがこんな力をごろごろ持っていたらパワーバランスが少年漫画並に崩れる可能性が高いけど・・・こればかりはやっぱり実際に他のゴブリンやモンスター、あとは人間に会って確かめるしかないかな。




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