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無銘の世界~personaluniverse~  作者: ネツアッハ=ソフ
王都編
34/168

プロローグ

 王国オーフィス、王都中央。王城(おうじょう)ネロにて・・・。


 国王イリオ=ネロ=オーフィスは執務室で書類の整理をしていた。書類の山に目を通し、やがてその内の一枚に目が()まる。それは、エルピス伯爵からの報告書だ。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 国王はそっと(まゆ)をしかめる。


 書類をじっと見詰めたまま動かない国王。側近はその様子に首を傾げる。


「国王、何か?」


「・・・・・・見るといい」


「はい。では・・・」


 言われて、側近はその書類に目を通す。其処には簡潔(かんけつ)にこう書かれていた。


『オーナー公爵が黒い影の魔物に操られ、レイニー伯爵を陥れた模様。その裏に、魔物を生み出し操る人間の青年の暗躍(あんやく)が確認された。青年の正体は目下不明』


「・・・・・・なっ」


 側近は絶句した。オーナー公爵家とレイニー伯爵家の一件は既に国王の耳に届いている。その結末も王城内では既に周知の事実だ。


 しかし、その事件の裏に魔物の存在と人間の存在が確認されたというのは初耳だ。それも、魔物を生み出し使役するなど聞いた事も無い。もし、そんな人物が実在するなら・・・


「間違いなく脅威(きょうい)だな」


 国王はそっと呟く。その額には冷や汗が浮かんでいる。側近も不安そうだ。


 一体、その青年の目的は何なのか?魔物を生み出し、使役して何を成そうと言うのか?


 青年の目的も正体も目下不明。不安は(つの)るばかり。


「国王・・・」


「・・・・・・エルピス伯爵を王城に呼び寄せよ。今回の詳しい話を聞く必要がある」


「はっ!!!」


 側近が慌てて執務室から飛び出す。その様子を見届け、国王は背もたれにもたれ掛かる。


 そっと窓の外を見ると、空は澄み渡った青色をしていた。今日の天気は快晴だ。城下の町の人々はさぞ気分が浮き足立っている事だろう。


 しかし、国王の心は暗雲(あんうん)が立ち込めていた。気分が重苦しい。


「一体何が起こると言うんだ」


 国王は呟くと、そっと溜息を吐いた。


          ・・・・・・・・・


 それから数日後の事。エルピス伯爵家屋敷にて・・・。王都から伯爵()てに一通の書状が届いた。


 ハワード=エルピスは王都から届いた書状に目を通していた。その書状には、こう書かれていた。


『オーナー公爵家とレイニー伯爵家の一件について、詳しい話を聞きたいと思う。それ故に王城まで関係者と共に来られたし』


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 しばらくの沈黙(ちんもく)


 その書状を一通り見た彼は、溜息を一つ。そして、天井を見上げるとそっと呟いた。


「・・・・・・さて、これから一体どうなる事か」


 その声はとても沈鬱(ちんうつ)そうだった。

第三章、王都編始まります。

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