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無銘の世界~personaluniverse~  作者: ネツアッハ=ソフ
つかの間の日常編
132/168

エピローグ

 その日の夜———村の高台にて、僕は夜空の星を(なが)めていた。


 季節は(ふゆ)に近い。夜はとても冷え込むだろう。


 夜空には満天の星が燦然(さんぜん)と輝いている。とても綺麗だ。ふと、そんな時に僕の背後から近付いてくる足音が一つだけあった。気配に敵意は無い。というより、この気配を僕は知っていた。


 ・・・この気配は。


「ムメイ、身体を冷やしても知らないよ?」


 背後から、心配そうに声を掛ける少女。


 リーナ=レイニーだ。僕は(わず)かに笑みを浮かべながら、近付いてくる彼女に振り返った。彼女は白い寝間着の上からブラウスを羽織(はお)っていた。この季節は特に冷えるだろうに・・・


 僕は、思わず苦笑した。苦笑して、静かに手招(てまね)きした。


「それはリーナの方だよ。ほら、こっちに来いよ」


「う、うん・・・。くしゅんっ‼」


「ほら、こっちに来い」


 寒そうにくしゃみをするリーナ。そんな彼女に、僕は思わず乾いた笑みを()らす。


 僕は来ているコートで、自分とリーナを一緒に(くる)んだ。身体を寄せ合い、一緒に星空を眺める。


 此処から眺める夜空はとても綺麗(きれい)で美しい。何より、リーナと一緒に見る夜空はとても綺麗だ。


「綺麗だね、ムメイ」


「うん、とても綺麗だ・・・・・・」


 そっと、リーナの華奢(きゃしゃ)な身体を抱き寄せる。リーナの温もりが、直に伝わってくる。彼女も僕の方へ静かに身体を寄せてくる。ぎゅっと身体を寄せ合う僕達。今、この場に僕達以外は誰も居ない。


 この世界に、僕とリーナ以外は居ない。そんな気さえしてくる。


「ねえ、ムメイ?」


「うん?」


「色んな事があったね。ムメイと出会って、本当に色々あったよ・・・・・・」


「うん・・・・・・」


 リーナと出会って、色んな人と出会い、別れ、僕は少しずつ変わっていった。きっと、今の僕はそれを少しも後悔してはいないだろう。どころか、(ほこ)らしくさえある。


 皆と出会えた事を、僕は誇りに思う・・・


 僕は、皆と出会えて本当に良かった。そして、誰よりもリーナに出会えて本当に良かった。そう心の底から強く思うから。だから、僕は変わった事を後悔してはいない。少しも後悔してはいない。


 ・・・だから。僕は、僕達は胸を張ってこう言える。


(あい)してるよ、ムメイ」


「僕もだ、リーナ。愛してる」


 僕とリーナはそう言って、互いに微笑(ほほえ)み合った。互いに笑い合った。


 愛してる。大好きだ。そう、心の底から言える。きっと、それは素晴(すば)らしい事だと思うから。


 そう、胸を張って言えるから・・・だから。


 僕とリーナは、そっとお互いに抱き合い口付けを交わした。そんな二人を星空(ほしぞら)だけが見ていた。


 愛してるよ、リーナ=レイニー。ずっと、これからもずっと永遠(えいえん)に愛してる。

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