表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
私のペットは閑古鳥
70/70

2-21 オークション・開幕

お待たせしました。

この度総合ポイントが一万点の大台を突破しました。ありがとうございます。

苦節約二年半(うち失踪期間が一年半以上)、お話としてはまだまだタイトル詐欺もいいとこな拙作でありますが、今後ともお付き合いいただければと思います。



 称号:【越境者(装備)】

 条件:装備カテゴリ二種以上の装備を作り上げる

 効果:このサーバー内における装備カテゴリ二種以上の装備品のレシピ解放(全プレイヤー)、DEX+25%

-革新的な偉業を成し遂げた者に送られる称号。括弧内には偉業のジャンルが入る。願わくば、その功績が世界をより良くする為に用いられんことを-


「うわぁ」


 まさかの称号二つ目です。まあ確かに一人につき一つまでという制限はないですし、二つ三つの称号を獲得しているプレイヤーもいるらしい、という噂は目にしたことがありましたが、まさか私がそっち側の人間になるとは。あ、ただ今回の称号はまともそうで一安心。真っ当な条件と真っ当な内容でよかった……。

 しかしなぁ……。


「……どうしたの?」


 声がした方を確認すると、カウンター越しにこちらを伺うノノ。


「あ、ごめん。うるさかった?」

「……それは気にしてないからだいじょうぶ。……挙動不審で奇声を上げ始めたから」

「奇声て」


 挙動不審はともかく、奇声ではなかったと思いたい。


「……それで、どうかした?」

「あー、実は二つ目の称号が来てね」

「……おぉ、おめ」

「うん、ありがとう。それはまあいいとしてね」

「……なにかもんだい?……内容がまた変だったとか?」

「いや、そこも普通で真っ当なヤツだったんだけど」

「……けど?」

「とりあえず、これ観て」


 今しがた獲得した称号の説明とかんざしをノノに見せます。



「これってつまり、まだどのプレイヤーもこういうのを作ってないってことだよね?」

「……そうなる、はず」

「これ、オークション出して大丈夫かなぁ」

「…………さすがによした方がいいと思う」

「やっぱりそうだよね……」


 ですよねー。複数属性の鉄鋳塊や不思議な鞄はもしかしたらほかのプレイヤーも作ってるかもしれないですが、今回のこれは称号がこの世界で作られた第一号であることを明瞭に証言してくれています。つまり二つとない品どころか類似品もないという保証付き。後の展開は火を見るより明らかというか、火のない所に煙は立たぬ式放火術で燃やされかねないのでそういうのは避けたいところ。


「まあ、自分で装備する分には問題ないだろうし。それでいいか」

「……髪型変えるの?」

「え、変えない方がいい?」

「…………変えたのも当然似合うだろうしでも今のナチュラルストレートもいいしもっと眺めてたいしジレンマ」

「つまりどっちでもいいってことね」

「……どっち()いいから悩んでいるのであってその言い方には遺憾の意を示したい」

「はいはい」


 まあ、実生活では管理が大変なのでこっちでロングにしたので、それが褒められて悪い気はしないのですが。

 ……確かにかんざしを使った一般的な髪型だと、かなりがっつりまとめるタイプですからロングを楽しむといった感じではないですね。とすると、バレッタで絞ったところに挿し込む形か、後ろで小さめのお団子を作ってそこに挿すか……スティック挿すならマジェステもありですか。スティックを挿し込む部分を作る手間はありますが、はさむタイプのバレッタ作るよりは簡単でしょうし。


「ハーフアップにマジェステにしよう」

「……あ、それもいい」


 こやつ結局何でもいいんじゃなかろうか。なんて言うとまた抗議されそうなので言いませんけど。

 ワイヤーで水引飾りみたいにしたマジェステにしましょうか。磨くの大変そうですけど、かわいいは大抵のことに優先されるのです。しかしそうするとかんざしの方もただのメタル耳かきよりはもう少し飾り気が欲しい気もしてきますね……あれ、結局全部作り直し?

 まあ、自分で装備するものですし、祝福設定ついでにいろいろやってみますか。










「れっっっでぃーす!えーん・じぇんとるめーん!」

「このよき日に、皆様がかくも賑々しくご来場いただき、我々としても大変喜ばしく感じております」

「かった!堅いよセー爺!みんなー!あつまってくれてありがとー!でいいんだって~」

「そういうのはそちらにお任せいたします」

「む~。あ、というわけでぇ、第一回『お前のゆあぷらを見せてみろ!オークション』の司会を任されました、ローズマリーちゃんと~?」

「セージです。皆様方、本日はよろしくお願いいたします」

「よろしくおねがいしまーっす!」


 あれから四日後、現在私はトワとノノを連れてオークション会場に来ています。場所は街の教会や貸し倉庫、貸し作業場などが周囲に並ぶ広場……ではなく、専用のルームを作ったみたいです。思ったより人が集まりすぎて、当初予定していた広場では到底収まらなくなったのだとか。こういう時、ぱっと代わりの場所を用意できるのはさすがヴァーチャルな世界ですよねぇ。便利便利。ただ、周り一面真っ白で殺風景な空間に立っているので、地面があるのはわかるのですが、周囲のプレイヤーと司会の二人が話しているお立ち台以外に何もないのは少し不安になります。


 結局、オークションには単属性の刀一振りずつ計四振りと、【不思議な鞄(小)】だけ出品することになりました。【四色鉄の鋳塊】も出そうとしたのですが、マトン先輩から「鞄か鋳塊か、どっちかにした方がいい」と言われたので価値が本当にわからない鞄を出すことにしました。

 ちなみに髪飾りを作った後は、三人でレベリングしたり、二人の装備を作るための希望を聞いたり、その試作をしてみたりと、そんな感じです。あ、ちゃんと日課の散歩も続けてますし、家の手伝いもしてますし。大学生活スタートに向けて服や鞄を買いに行ったり、現実の生活もそれなりにやっていますからね?日がな一日寝っ転がっているわけではないと主張しておきたい。……占める割合はともかく。


 壇上の司会二人は、ローズマリーと表示されている元気いっぱいな方は頭上に光輪があるので天使族、ですかね。翼も見えますし。髪は何色にも分かれたかなり派手な髪色をしたセミロング。服装はベルト多めの真っ黒いコート、柄のあるダメージシャツに赤いプリーツミニスカート。あまり雲上世界の住人らしくはないですね。似合っていてとてもかわいいとは思いますけど、あまり死出にお迎えに来てほしくはないタイプ。あれが来たらルーベンスの感動も吹き飛んで飛び起きるってものです。

 一方、セージさんの方は初老の男性の見た目をしています。見た目でわかる種族特性らしきものは見当たらないので種族は不明。きっちりと整えられた白髪交じりの髪と髭、ピシッとしたスーツは絵に描いたような『できる執事長』といった感じで、こちらもまたお似合いでかっこいいですね。渋い。

 二人とも裁縫で作られたプレイヤーメイドの服を装備しているのだと思いますが、ああいう見た目が良い装備を作れるプレイヤーもいるとなれば、この後のオークション本番への期待も膨らむというものです。……うーん、パンクもスーツもかっこいいなぁ。目の肥やしとさせていただきましょう。


 私が二人の服装を目に焼き付けている間にも壇上のお話は続きます。現在は入札の仕方を説明しているみたいですね。

 この会場のプレイヤー全員に番号が割り振られていて、買いたい商品に対して各自手元の専用画面から金額を入力すると、司会二人の背後にあるスクリーンに、入力された金額順にプレイヤー番号と合わせて表示される仕組みらしいです。あとは希望者が一人になるまで金額の上乗せ合戦です。降りる場合は金額入力画面から『キャンセル』。

 各自の番号が他人に知られなければ誰が購入したかは不明、ということですね。まあ、購入できたときにわかりやすいリアクションとってしまえば話は別ですが。


「みんなー、わかったかなー?」

「何かご不明な点がございましたら、専用画面のヘルプをご覧になるか、お近くのスタッフにお声掛けください」

「それでは最後にー」

「宣誓をさせていただきます」

「ぼくたちーわたしたちはー」

「このオークションの司会進行を任された者の責任として」

「正々堂々、嘘偽りなく、出品されたアイテムの効果説明を行うことを」

「「ここに誓います」」


 礼。


「長らくのご清聴、ありがとうございました」

「そんじゃーオークション開催だー!ものどもー、準備はいいなー?」

「「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」」


 さて、どんなアイテムが出品されているのやら。楽しみですね。


あまりのラインナップにマトンストップ

ミサには加減がわからぬ。ミサは街の鍛冶屋である。ブレスを吹き、人形と遊んで暮らしてきた。(メロス)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ