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我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
私のペットは閑古鳥
69/70

2-20 かんざし

インフル予防接種したら体調崩したやつがいるらしい。はい私です。やっぱ異物入れてるんですねぇ。

皆様も言うまでもないこととは思いますが健康には気を付けてください。


久々の生産回。もっと生産しろ。


 ノノは私が勧めた通り二階へ上がっていきました。きっとノノならあの読めない本を何とかしてくれることでしょう。何かわかったら教えてほしいところです。

 さて、こちらも作業を始めるとしますか。


 今回私が挑戦するのは、武器判定を併せ持ったアクセサリーの制作です。アクセサリーと棘盾の二通りの装備方法があった、あの天狗のお面みたいなやつ、ということですね。ゲーム側がこういう複合型の装備もあるよと示してくれたのですから、プレイヤーが作れないなどということはない、はずです。多分きっと、おそらく。できなかったら普通にアクセサリー作って終わりですね。出品する物は十分にあるのですし、出来たらいいなって感じで、気楽にいきましょう。

 


 アクセサリーの作成リストから頭装備の一覧を検索。


「えーと、かんざし、かんざしはーっと」


 ありましたありました。材料は……足りそうですね。まあ、装飾部分にこだわらなければ少量の金属系素材さえあれば作れるので足りない事例の方が珍しそうなのですが。

 材料に余裕はありそうなのでとりあえず試作で一本、作ってみますか。何も装飾のない簡素なヤツを。


 金属素材を指定量溶かして型に流して、冷やし固めて磨いたら完成。うん、とても簡単ですね。くび……チョーカーを作った時も思いましたが、革鎧とか武器とか作る時と比べてアクセサリーは簡素な造りなものだととても作成が楽です。現実世界でも趣味で作る人がいるのも納得です。日常的に使えるアクセサリーが自分の手で作り出せるのですから、時間と懐事情が許すならやりますよそりゃあ。しかも当たり前ですが一点もので、自分の好きなデザイン。……まあ、完成品が自分が作りたかったイメージと一致しているかはその人のリアルステータス次第、という問題はあるのでしょうけれど。その辺も含めて趣味、ですよね。


 慣れた手つきで四色鉄を削り耐熱容器へ、そしていつものごとく炉に炭を放り込んで点火ブレス。温度調節も慣れたものです。というか何度も行っている作業は熟練度が上がって作業メーターの成功判定の幅が広がる仕様みたいです。実際に並べて測ったわけじゃないですが、現在は最初期の倍ぐらいになっているんじゃないですかね。以前も最初にやった時と比べて気を張らなくてよくなったなぁと感じていましたが、私自身の慣れの他にもこういう仕様が多少関係していたようです。そのうち、よそ見しながらでも余裕でこなせるようになるかもしれません。

 まあ、よそ見しながらでもふいごを踏む必要はあるので、何か別の作業ができるかというとそれは難しそうなのですけどね。何かしようにも落ち着かないのです。貧乏ゆすりにしては力要りますし。


 溶かす工程が終わったので容器を取り出して指定の型へだばぁ。そして冷気ブレスで氷塊に閉じ込めてから水ブレスで水の張られた水槽へ。今回は形が細長いのも合わさってかなり早く冷え固まってくれそうです。


 待ち時間になったのでふと周りを見回すと、上の階に上がっていたノノが降りてきていました。今は店舗スペースの椅子に座って読書中のようです。ページをめくっては戻してをくりかえしたり、他の本と見比べたりしているので読めているのかは不明ですが。


 糖分の差し入れでもしてあげますかね。ゲーム内で意味があるかどうかはともかく。

 インベントリから先ほど買ってきた果汁ジュースを取り出し、ノノのいるテーブルにそっと置きます。


「…………?……あ。ありがとう」

「順調?」

「……【解読】スキルのおかげで何とか。……ミサの方は?」

「こっちは試作で作ってるのを冷やしてる最中。順調かどうかは……まだ問題らしい問題にあたってないからわからない、かな」

「……それは順調というのでは」

「ふふっ、確かに。じゃあ、いまのところは、順調」

「……がんば」

「お互いね」

「……ん」


 あまり長々と話してもあれですし、さっと切り上げて自分の作業に戻りましょう。



 冷え固まった細長い四色鉄を型から取り外し、磨きの工程へ。目の粗いやすりから細かいやすりへ順々に。時折水槽ですすいで確認。おっと、この辺磨きが甘いですね。

 この、鈍い光沢がだんだんと奇麗な金属光沢に代わっていく過程は実に楽しいです。自分の手で仕上がりが近づいてくる感覚がたまりません。

 今回は余計な装飾がないシンプルなものを作るので磨き終われば完成です、が。私が作りたいのは武器にもなるかんざし。必殺なお仕事をしている女の人が持ってそうなあれです。きれいに盛られた髪から髪飾りを外したかと思えば、それでブスっと……っていうあの。

 というわけで、とりあえずまだ先端が丸いのでひたすら尖らせてみましょうか。


 


 「うーん……」


【四色鉄のかんざし】【銘: 】(品質:C+)

(製作:ミサ)(アクセサリー:髪)(耐久:75/75)


STR+2

DEF+2

DEX+3


炎耐性+10%

水耐性+10%

氷耐性+10%

闇耐性+5%


-四色鉄で作られたシンプルな皇国の髪飾り。『カミをトめる』ことから魔除けの装飾品としても扱われる-


 ゲームシステム様の判定はかんざしのままでした。しかも削りすぎたせいか耐久が低い。ついでに見た目は金属製の耳かきです。何がいけなかったんでしょうか。

 いや、何がいけなかったというよりは何が足りなかったか、ですかね。

 見た目の鋭さはあります。指先をつつけば多少の痛みもあります。勢いよく突けばダメージも発生することでしょう。ただ、武器判定はしてもらえなかった。つまりはただのとがった部分のある金属ということで……。

 

「ぬー……あ」


 悩みながらかんざしをぷらぷら振っていると、作業台に先端を当ててしまいました。あぁ、頑張って尖らせたのに曲がっちゃってるじゃないですか。確かにこんなヤワじゃ、武器判定もそりゃもらえませんよねーー



 ……ヤワ?もしや武器判定をもらうには一定の強度が必要、とか?

 ふむ、やってみますか。

 

 炉の温度を再び上げ、先端の曲がって耐久が減ったかんざしをトングで挟んで炉の中へ。赤く色が変わってきたら、金床へ移動して曲がった部分を修正。次いで水槽へイン。

 音を立てながら蒸気を噴き上げる水槽が落ち着いてきたぐらいを見計らってからかんざしを引き上げ、少し待ってから再び炉の中へ。


 行っているのは刃物を作る工程にある焼き入れです。そういえば武器作るときは毎回これやってたのに、今回のかんざしではやってなかったなぁ、と。作業工程に含まれてなかったですし、しょうがないといえばしょうがない。

 えっと、確か後半は炉の温度を少し下げないといけないんでしたっけ。作業ゲージがないのでかなりやりにくいですが、いつも感じる熱と炎のグラフィックを観て、気合と経験で何とかしてみましょうか。



 ふむ、焼き入れ前と後で色が少し変わりましたね。ナイフや刀の時もこんな色だった気がするので、おおむね成功したと考えていいのでしょう。あとは磨きなおして……せっかくなので先端は砥石で研いでみましょうか。




【四色鉄のかんざし(暗器)】【銘: 】(品質:C)

(製作:ミサ)(アクセサリー:髪・武器:片手)(耐久:80/80)


STR+2

DEF+2

DEX+3


炎耐性+10%

水耐性+10%

氷耐性+10%

闇耐性+5%


特殊効果

武器として使用時、以下の効果を追加で発現させる

攻撃タイプ:突

ダメージ上昇値:3

人型の相手に対しクリティカル発生率上昇5%

クリティカル発生時極低確率で即死効果


-奇麗な薔薇の棘部分。それが美しさの一部であろうとも-



「で、出来た……」


 やりました。やってやりましたよ。やっぱり予想通りでした間違ってなかったあーやばいめっちゃうれしいふへへへへーー


 ピコン!

 《条件を満たしたので称号【越境者(装備)】を獲得しました》


「へ……?」


いつも評価、ブクマありがとうございます。誤字報告がないとほっと一安心ですね。いや、容赦ない誤字報告にはほんと助けられているのですが、誤字らないに越したことはないわけで……。

あと、おもしろかったーとか言っていただけるとモチベが上がります。お願いします。


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― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして楽しく読んでます。 おもしろいです。もっとーもっとー。 無理しないでくださいね。
[一言] 自分から特定物資を供給していくスタイル 刀は珍しいっぽいし、それが属性鉄ならなおさら それを腰に下げてれば怪しまれても仕方ないぞ さらに四色鉄流してさらにさらにそれを使った簪で、使用後の装…
感想一覧
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