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我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
私のペットは閑古鳥
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2-18 保存の鞄

2-16 これはチョーカーです の【従者の証】にフレーバーテキストを追加しました。気になる方はご確認を。書こうと思ってたのになぜか記入していなかった不具合。


 あのあと、とりなんさんは鍬の件についていろいろ訊きたい様でしたので、マトンさんに任せてその場を辞することにしました。

 オークションまで焦るような日程ではありませんが余裕綽々というわけでもないので、ひとまずマイホームに戻ってきました。ただいま。

 


「……それで、ミサはなに出品するの?」


 店のカウンターに買ってきたご飯を配膳しながらノノが訊いてきました。


「うーん、どうしようかね」


 刀の試作品は作業場備え付けの倉庫にしまってあるのでその中から適当そうなのをいくつか……えーと、倉庫のインベントリを開いて……。


「とりあえずこの辺を出せば賑やかしぐらいにはなるでしょ」


 私が今装備している【闇鉄の合口】の祝福を抜いて素材を変えた、【炎鉄】、【水鉄】、【氷鉄】のカラーバリエーション群。追加効果は各属性の追加ダメージになっています。属性鉄は私たちが取得した【闇鉄】以外にも少しずつ発見報告が出始めているようですが、レアものには変わらないでしょう。祝福抜きの【闇鉄の合口】も作っておきましょうかね。売れないことはない……はず。刀が不人気とかはないと思いたいです。みんな好きですよね?刀。武士の魂ですし、貿易にも使われてた歴史もありますし。

 

「……属性鉄製品がいっぱい」

「炎、水、氷の三色なら鉄鉱石があればいくらでも作れるからね」

「……作れるなら、属性鉄を売れば?」

「え、それアリなのかな」

「……ミサの生産物に違いはない、と思うけど」


 ふむ?ただの鉄が出品されてたらおいおいって感じですけど、属性鉄なら話は別、なのかな?まあ確かに私だったら未所持のレアっぽい素材は欲しいので、オークション会場で見つけたら買ってしまいそうですが。ああ、そうか。


「同業が買ってくかもってことね」

「……行きつけとか専属の鍛冶師に渡すために買うプレイヤーもいるかも」

「なるほど。それじゃあその辺もいくつか見繕って出すよ」


 製錬作業は暇を見つけて行っていますからね。各属性鉄の鋳塊はそれなりにあるのです。


「じゃあ複数色の鉄も出してみようかね」

「……色?」

「ん?ああ、複数の属性が入った鉄の鋳塊は、その属性の数分色分けされるの」


 ノノに【三色鉄の鋳塊】をインベントリから実体化させて見せながら説明。一応、何度か行った実験でどの程度ブレスにさらすと属性鉄に変化するかは大体掴めてきました。全部発現させた方が楽なのは変わらないのですが。

 

「……すごい、けど絵の具を混ぜてる途中のパレットみたい」

「私もそれ思った」


 色の組み合わせ次第では結構趣味悪い配色になりそうなんですよねこれ。というかすでになっている気もします。それほどどぎつい配色じゃないのが救いでしょうか。あでも鍬はこのマーブル模様が見える面積広かったからちょっとアレだったかなと思わなくもないです。ごめんなさいエルフ先輩。性能は悪くないはずなので……。


「ちなみにノノのチョーカーに使ってるのは【四色鉄】」

「……ふしぎな色の金具だとは思ってたけど……これの鋳塊を出品したら、目玉商品になると思う」

「マトンさんに以前訊いた時は、とりあえず10Mぐらいじゃないか~って言ってたけど、そのぐらいで売れるかな」

「……1000万……欲しがる人はいると思う。……オークションだからもっと行くかもしれない」


 もしそうなったら一気にお金持ちの仲間入りですね。今後素材を買い集めるのが楽になりそうです。ただ……。


「製作者が私って広まったら、しばらく鋳塊作るマシーンにされたりしないかな」


 嫌ですよそんなの。何か作りたいとは言いましたが、何でもいいわけではないですし。


「……たぶん、大丈夫」

「なんで?」

「……製作者名はわかっても、当の本人に名前が表示されてない、から。……誰も貴女が『ミサ』であると紐づけできない。……フレンド以外は」

「あ、そうか」


 私か私のフレンドから情報を漏らさない限り、バレないと。これは軽々しくフレンド増やすなよ、という忠告でしょうか。まあ、友達百人も要らないですし、別に構わないのですが。あでも、おにぎり食べるために富士山の山頂まで付き合ってくれる友達百人はかなりの精鋭じゃないかなと思います。そういう友人が百人はなかなかの人脈力。あっぱれ。いったい何の一年生なんだ。


「じゃあ、【四色鉄の鋳塊】も一個出してみよう」


 実際、いくらで売れるのか気にはなっていますし。あ、そうだ。ひとつ、いくらになるのか見当つかないものがあったじゃないですか。あれも出品してみましょう。

 在庫もいくつかありますし、ノノとトワには一個づつプレゼントしちゃいますかね。


「ノノ、これあげる」

「……かばん?ありがとう……え、なにこれすごい」




【不思議な鞄(小)】【銘:追加インベその①】(品質C+)

(製作:ミサ)(装備:鞄)(耐久100/100)


 効果:プレイヤーインベントリの枠を6増やす


 -見た目以上に物を入れられる、小型の不思議な鞄。耐久値がゼロになると入っていたものが周囲にばらまかれるので注意されたし-



 某未来ロボットが持っているポケット……ほどは入りませんが見た目以上の容量を誇る文字通り不思議な鞄です。あのポケットよりはローグライクジャンルのゲームにありがちな壺系のアレ、といったほうが近いですかね。壊れると中身散らばるって書いてありますし。

 ぱっと見マチが広めのポーチといったところですが、実はこの鞄、あのコウモリ戦で手に入れた宝箱がメイン素材になっているのです。宝箱が拾えて持ち運びできるインベントリ代わりにできるのは以前実験した通りなのですが、持ち手がついているわけではないのでそのあたりが難点でした。

 しかし先日、この店舗を手に入れる特殊クエストの報酬で手に入ったレシピブック中級を読んでいたら、宝箱を素材にした鞄のレシピを見つけたのです。あの時は思わず立ち上がってガッツポーズしてしまいました。

 ただ、宝箱にも等級があるらしく、あのコウモリを倒すと手に入る宝箱では小さいサイズしか作れないんですよねぇ。よりランクの高い宝箱もそのうち手に入れたいものです。いやでも、より強いボスモンスターの討伐が条件になりそうですよね……よし、トワに取って来てもらおう。私戦闘民族じゃないですし。


「あって困るものじゃないでしょ?」

「……それはそうだけど、さすがに貰いすぎ」

「んー……じゃあ、おいおい代金代わりのお願い事するからそれで」

「…………わかった」


 まだ若干不服そうにしていますが、まあせいぜい納得できる程度の大変なお願い事をするとしましょう。まだ特に何も思いついてないですけど。そもそもノノなら大抵のお願いをきこうとしてくれそうで……私からの先払いみたいなものですかね。


「……これもオークションにかけるの?」

「そのつもりだけど」

「……各種属性の刀に、複数属性の鉄の鋳塊に、この【不思議な鞄】。……もう何も作らなくても十分じゃない?」

「……あれ、たしかに」


 いやいや、もうすでに何か作る気分ですし、何か作りますけどね?


評価、ブクマ、誤字報告ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 生産職やりたい派の私としては……このゲームあったら遊ぶぞタブン。
[一言] 友達100人作って100人で富士山の上でおにぎり食べる… 一 人 足 り な い オーバースペックの物出しすぎると草の根分けてでも探し出そうとされるじゃろな
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