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我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
私のペットは閑古鳥
64/70

2-16 これはチョーカーです

お待たせしました


追記:R2、10/20。【従者の証】にフレーバーテキストを追加



 あのあとも作戦会議とは名ばかりのとりとめもないおしゃべりが続いたのですが、晩御飯の時間になったのでお開きとなりました。現在、晩御飯のマーボー丼を食べて寝支度を済ませてからの再ログイン中です。

 うん、やっぱり友人たちとのしょうもない会話は良いものですね。今自分がハマっていることに関してだと特に。次回の約束とかは特にありませんでしたが、まあ放っておいてもそのうち勝手に集まって勝手に始まるでしょう。

 ここ、一応お店のはずなんだけど、溜まり場にされるイメージしか沸かないな……全く、しょうがないですね。




「よし、完成。……うん、深く考えないようにしよう。完成完成。終わりっ」



【従者の証】【銘: 】(品質:B)

(製作:ミサ)(アクセサリー:首)(耐久:110/110)


STR+3

DEF+4

DEX+3

AGI+2

炎耐性+15%

水耐性+15%

氷耐性+5%

闇耐性+5%


特殊効果

遠距離攻撃の被弾確率低下(微)

一部の行動不能状態無効

【主】登録されたプレイヤーと同一PT時、ステータス上昇 【主:未登録】


祝福:STR+2、DEF+2、DEX+2、AGI+2、炎耐性+10%、水耐性+10%、耐久上昇、遠距離攻撃の被弾確率低下(微)


-権利と義務は表裏一体。楽と楽しいは似て非なるもの-



 ノノから注文されていた装備品が完成しました。金具部分は毎度おなじみの四色鉄。革部分は【ウルフレザーアーマー】を作った時の残りです。作業工程も金具さえ出来ればあとは革に穴をあけて金具と合体させるだけで、意外とお手軽に作れました。

 見た目はいたって普通の、ペットショップに行けばすぐ見つかるような革製の細い首輪です。……これを作らされる友人の気持ち考えたことありますか?なんだかフレーバーテキストも意味深なこと書いてますし。

 いや、これはチョーカーだと主張してみましょう。これはチョーカー。ちょっぴりパンクなおしゃれアイテム。アイテム名も首輪とはどこにも書いていないですし。

 うん、いけそうな気がしてきまし……ノノの注文が『首輪』なんですよねぇ……。

 注文、首輪。見た目、首輪。私の主張、チョーカー型首アクセ。うーん分が悪いぞ。何故ここまでがっつり首輪な見た目にしてしまったのか私は。

 

 しかもこれ主登録とか謎の機能付いてますし。おそらくペットとかテイムとかそういう、街の外のモンスターを仲間にした時用の装備品ですよね。

 はっ、つまりプレイヤーは装備できないのでは?いやあそれなら仕方ない。いつかそういう存在ができたときにでも装備させるとして、今度こそチョーカー作らないとですね。女の子らしいかわいいの作ってあげないとですね。

 ……ま、まあ一応確認だけしてみますか……。

 


 メニュー画面を開き、装備変更欄を確認すると、そこにはさも当然のように【従者の証】の文字が装備可能を示す輝きと共に私を迎えてくれました。


「ねえ、なんで装備できるんですか運営さん……おかしいでしょ」


 どこにペット用の首輪装備したがる人間がいるっていうんですか。はい私の友人です。前々から友人以外の別の感情を言葉と行動で私にぶつけてくる方の友人です。この首輪渡しても引くどころか喜んで受け取るのが目に浮かぶのがなんとも。むしろこちらが引くわ。あ、当然引くのはリードじゃなくてメンタル。

 というか首輪って。私への好意はわかりやすいほどぶつけてくるので今更確認するまでもないのですが首輪って。私とどういう関係になりたいんですかあの娘は。本当そういうところですよノノ。変なところであけっぴろげすぎるというか、よく言えば潔いというか……。もう少し内に秘めておいてほしいなあこういうの。

 せめてもの抵抗として銘を【なんのへんてつもないチョーカー】にしておきましょう。



「やほ」


 噂をすれば影、もしくは刑執行のお知らせでしょうか。扉を開けて入ってきたのは乾いた血を連想させる赤黒い髪の長身の女性。夜間の薄暗さに感情の感じられない顔が合わさって、知り合いじゃなければ距離を取りたくなる怖さです。初期装備の初心者セットが癒しに感じます。

 私の友人どもはどうしてこう夜間会いたくない方向の見た目になってしまったんでしょうね……。


「は、はろー」

「……?挙動不審」


 不思議そうに首をかしげるノノ。誰のせいだと思わなくもないですが、その旨を伝えたところで状況が好転するでもなし。……こういうイベントはちゃっちゃと済ませて別のことに切り替えるに限るでしょう。


「ご依頼の品が完成してね」

「……わたしの?」

「そう」


 プレゼント機能を使ってノノへ【なんのへんてつもないチョーカー】を贈ります。グッバイ。頑張って活躍してください。


「……おお、さすが。とてもいい。」


 ご満悦の様子。口角が上がっているのでわかりやすいですね。自作したプレゼントを喜んでもらえるというのはやはり良いものです。まあ内容が内容なのですが、それは置いとくとして。


 と、私自身は晩御飯を食べてきましたが、ゲーム上の私はおなかが減ってきているようです。買い置きもまだあるのですが、ここはとりなんさんへのノノの紹介も兼ねてお買い物とまいりましょうか。あとフレンド登録もお待たせしてますし。


「ノノ、知り合いの料理人のところに行こうと思うんだけど、一緒に行かない?」

「……おお、たすかる。あとでお願いしようと思っていた」

「ん、じゃあちょうどいいね。行こうか」

「……ん。……あ、でもその前に」

「なに?」

「……主登録、して?」


 逃げ切れませんでした。





 あの後『登録して主が従者に首輪をつける』という儀式めいたことを気が遠くなりながら完遂し、何とか気を取り直してやってまいりましたとりなんさんの露店。夜時間なのでもしかしたら不在かもと思いましたが、無事お会いできました。


「おや、ミサさん。いらっしゃーい。今日は別の女の子ひっかけて来たんすね」

「どうも、お久しぶりです。人聞きの悪いこと言わないでくださいよ」

「……ほね?」

「ノノ、こちらの骨の人がモンスター素材屋兼料理人のとりなんさん」

「ミサさん逆、逆。料理人兼素材屋っすよ。えー、只今ご紹介にあずかりましたとりなんっす。露店開くときは大抵この辺にいるんで、おなかが減ったらウチによろしくっすー。んで、そちらの方はもしや?」

「私の友人のノノです」

「おや、トワさんからは彼女さんとお聴きしましたが?」


 まだその話を覚えていましたか。その辺に置いておかずに埋めて処理してほしかったのですが。


「友人です」

「……トワ、ぐっじょぶ」


 ああ、変なところで友人同士の交友が深まっている……。


「……ご紹介にあずかりました、ノノ、です。よろしくお願いします」

「ういっす。よろしくっすー。あ、てーことはミサさん、フレンドOKっす?」


 おお、こちらからどう切り出そうか悩んでいたら向こうから提案してくれるとは。さすがとりなんさん、できる骨は違いますね。


「はい、長らくお待たせしてすみませんでした。あと私の名前表示されてなかったみたいで、全然気づかなくって……」

「いやいや、お気になさらずー。美しい友情模様にこちらも飯がうまいってもんでして」


 - とりなん とフレンドになりました-


「……ミサ」

「なに?」

「……おまたせ、うれしい、ありがとう」

「ん」


 まったく、察しがいいなあこの娘は。


「ほっほー、なるほどなるほど。フレンドにだけプレイヤーネームが表示されるとは、ミサさんはほんと面白い方っすねー。スキルか、いやこういう妙な挙動するのは称号関係っすかね?んふふ、いやはや興味深いっす。あの野菜狂いに自慢しちゃろー」


 そうだ。マトンさんにも称号のこと話しに行かないとですね。


「僕はそろそろ店閉めて八百屋でも茶化しに行こうかと思うんすけど、お二人ともウチでのお買い物はいかがっすか?」

「あ、お願いします」

「……ミサ、おススメある?」

「森ガニ」


 認めるのはわりと悔しいのですが、おいしいんですよね森ガニ。

ブクマ、評価ありがとうございます。

欲を言えばおもしろかったの一言でいいので感想をいただけるといい燃料になります。よろしくお願いします。

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