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我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
私のペットは閑古鳥
60/70

2-12 二人目のおともだち

意気込みを暑さが奪って行く。はよ涼しくなって。20度切って。

とはいえさすがにおっそいので次こそは……。


熱中症とか脱水症状とか、皆さまお気をつけてくださいね。



まさかと思いつつそのプレイヤーを見ていると、こちらに気づいたのか顔を向けて、まるで大輪の花が咲いたような笑顔を見せながら手を振ってきました。



……うん、とても可愛らしい素敵な笑顔ですが、やはりあの人は別人でしょう。たまたま友人のニックネームと被ってしまっただけの知らない人です。

面倒なファンみたいになっている自覚はありますが、あえて言いましょう。


私のノノはあんなことしない。


いやまあ、行動自体はないとは言いませんけどね。

手を振るぐらいは誰だってするでしょうし、あの娘が手を振ってアピールしてきた事も何度かありました。

ただ、あんなに感情をわかりやすく表にというか面に出してくる娘ではないのです。

もしそうだったならあの娘の友人二人はこんなに苦労していないのです。表情筋が死んでいるんじゃないかと常々思っています。


……まぁ、最近はだいぶ慣れましたが。微小な表情の変化とか、なんとなくの纏っているオーラ的なものとかを結構な精度で拾えるようになってきたと自負しています。喜怒哀楽は読めてもその強さは未だ判断しきれないのですけれど。



表情といえば、そういう面でもこのゲームすごいですよね。ちゃんとプレイヤーの感情に合わせて表情が変化するのですから。

反面、感情とは別の表情をするにはアバターの感情表現設定を色々といじった上で、ある程度の練習が必要らしいです。





……あれ、もしかしてゲーム内のアバターの場合、ノノの表情がちゃんと変わる……?


もし、あのノノ(仮)が私の知っているノノ(真)だった場合、待ち合わせで集合したとき、いつも内心ではあんな表情をしていた可能性がある……?


……今度会ったら表情筋鍛えさせてみようかな。




兎にも角にも、まずは本人確認ですね。

表情はともかく、明らかにこちらに向かって手を振ってますし、プレイヤーネームがプレイヤーネームですし。


「えっと、ノノ……さん?」

「……いえす、ノノさんですよ。やほ」


あぁ、この声はノノですね。聴き慣れた声です。とりあえずはひと安心。

しかし表情と声のギャップがすごいです。満面の笑みなのに声は平坦で、なんだか面白いですね。


「名前、それにしたんだね。こっちとしては呼びやすくていいけど」

「……本名というわけでもないし、問題はないと判断」

「たしかに」


仍乃(よるの)さんちの(とばり)ちゃんですからね。あだ名を気に入ってくれているようで、つけた身として嬉しいです。

苗字を読み間違えただけ?……ナンノコトヤラ。


「それにしても大分見た目変えてきたね。随分と格好良くなっちゃってまあ」

「……ふふふ、イメージチェンジ。格好良く見えたなら良かった。視界も高くて新鮮」


正確な数値はわかりませんが、私の顔の高さに胸があるので190cmぐらいでしょうか。近づき過ぎると顔が見辛くて首を痛めそうです。

現実世界より50cmも上に伸ばせば見える世界もそれは大違いでしょう。


まあそもそも、文字通り世界が変わっているのですけどね。



そして頂上から流れ落ちる、腰の下まで伸びる赤みがかった黒髪。

綺麗なのですがお手入れが大変そうで、こういうのもゲームならでは、といった感じですね。私も現実より伸ばしましたし。


「種族は?」

「テラール。……色々魔法が強い、らしい。……風と光魔法系統の適性はないけど、変わりに地属性を覚えられるんだって。地はレア魔法」


へぇ、そんな種族が。

アバターメイク時にしっかり確認する前に龍人に一目惚れしてしまったので、他の種族はろくに把握できていないんですよね。

まあ、種族の選択肢は膨大だったので、全部確認していたとして、覚えていられたとも思えないのですが……。今後も増えるかもしれませんし。


「……ハルカが送ってきたプレイ動画を見たら、後衛が足りてなさそうだったから、魔法に強いのにしてみようかなって」

「なるほど、それでこっちの見た目も分かったのか」

「うん。……ただ」

「ただ?」


「……動画と違って頭上にプレイヤーネームが表示されてなかったから、少し不安だった」



……ん?


「……ハルカからオススメされた探知にも反応ないし」


「……え、なにそれ。本当に?」

「いえす。りありー」


言いつつ、探知付きマップと私を撮った画像を見せてくるノノ。


……うん、確かにマップの私がいるはずの部分にはなんのマーカーも無いですね。

私の方のマップには問題なく表示されているのですが……。あとトワもマップで私のマーカーを頼りに見つけたと言っていたはずですが……うーん?


次に画像。こちらもノノの言う通り、プレイヤーの頭上には必ずあるはずのものが無いです。

これだけでも疑問でいっぱいなのに、画像の下部には『この画像は1分後に自動的に消滅する』という不穏なメッセージが。

え、なんですかこれ。画像の保存制限なんてこのゲームの情報で聞いたことないのですが。



などと悩んでいるうちに画像は静かに消滅。

爆発とかしなくてよかった。などと良かった探しをしつつ、原因究明を急ぎましょう。バグのようなら運営さんに報告ですね。



……とりあえず、他のプレイヤーと私で決定的に違うことって、【日陰者(アレ)】ぐらいしか心当たりが無いんですよねぇ。

あとはトワには普通に表示されているとすると……あ、フレンドかな?

自分自身とフレンドは【日陰者】の効果範囲から外される、ということでしょうか。


とにかく、まずはノノとフレンドになってみれば解ること。仮説が全部間違っていて、ただのバグの可能性もなきにしもあらずな訳ですし。


「ノノ、フレンドになって」

「……ガールフレンド?喜んで。末長くよろしく」

「はいはい、女の友達だねよろしくね。はい申請送るからねー」

「むぅ……」


そんなこんなで申請送って無事フレンド登録完了。フレンド欄に記念すべき二人目が追加されました。


「それでノノ、名前とか探知とか、変化はあった?」

「……ん?……おお、みえる。まさに目からウロコ。フレンド特権、すばらしい」


やっぱりそうですか。

【日陰者】の効果、モンスターに狙われにくい等でなんとなく理解したつもりでいましたが、他プレイヤーからも認識されにくくなっていたとは……。


うわ、もしそうだったならマトンさんやとりなんさんに結構なご迷惑をおかけしていた……?あ、あの時の自己紹介ってそういう?うーわー……あとでフレンド申請しに行く時に謝らないとなぁ……。



時折いただける感想、大変励みになっております。優しい感想が染み入ります。



あと誤字報告も助かります。

……気をつけてるはずなんだけどなぁ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 時たま読み返してるけど何度読んでも面白くて続きが気になります 作者さん生きていらっしゃるかな?
[一言] 生きてるかなぁ
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