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我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
私のペットは閑古鳥
50/70

2-2 骨と霊

おまたせしました。




ログアウトしてからの午前中は、ここ一週間ほどですっかり日課となった散歩で一駅ほど歩き、春の風景が雪化粧をしているのを楽しみました。

肌寒いですがスッキリとした青空で、清々しかったです。

今日の夜桜はもしかしてアレですか、雪月花というやつですか?風流ですねぇ。夜ちょっとだけ見に行って見たくなりますね。





お昼ご飯もしっかり食べ、午後のログインタイムですね。今日は何をしましょうかーー



ログインすると設定した通り、愛しの我が家からスタートしました。おお、バッチリですね。

窓から見える外では相変わらずの雨模様。こちらの世界では二日連続の雨ですね。

あまり降り続くようだと川が増水したりして、街の水路に悪影響が出そうですが、その辺の対策はどうなんですかね。まあいちプレイヤーが気にしたところでどうこうできる話でもないのですが。


そういえば、トワに実験して欲しいことがあったんでしたっけ。フレンド欄はーーログイン中ですね。詳細から現在地……おお、ちょうどこの街にいるようです。これ幸いとメッセージを送ります。


『ハロー』


『へろー』


『今から私の店来れる?』


『んー?まあ暇してたし、今からそっち行くわー』


来てくれるようです。しばらくここで待機ですね。この街も結構広いので、位置次第で時間がそれなりにかかることもあるんですよね。そういう意味でも街中でのポータル移動実装はありがたいですね、とても。地味にお金がかかりますが。



「んで、何用かにゃ?」


10分ほど待っていると、トワが現れました。


「リスポーン地点、変更した?」

「うんにゃ?まだデフォの噴水前だぜぃ」

「じゃあ、ここに変更してみない?」

「ほ?うーむ、ポータルがやや遠いのがにゃー」


難色を示されてしまいました。まあ確かに最寄りの教会前ポータルからそこそこ歩きますからね。と言っても5分かからないぐらいですが。

駅近く徒歩五分圏内と考えると優良物件じゃないですか。

まあ大抵のプレイヤーは迷わず徒歩0秒地点にリスポーン地点を設定するのでしょうけど。


「一回ちょっとやってみてほしいだけだから」


なんだか怪しい勧誘みたいなセリフになってしまいました。他意はないんですよ?


「まーいっか。不便に感じたら後で変更し直せばいいし。えーっと、念じればできるんだっけ?むむむー」


−フレンドの『トワ』から、あなたの所有するスペースに対してリスポーン地点変更申請が出されています。承認しますか?はい/いいえ−


なるほど、こういう感じになるんですね。フレンドであれば許可が出せると。


「なんか、承認待ちって出たんだけど」

「いまやる」


はいを選択。


「おー、出来たぜぃ。私有地だと設定できんみたいな情報が噂で流れてたけど、なるほどにゃー」


どうやら上手くいったようです。

噂含めておよそ予想通りですね。


「ん、ありがと。実験完了」

「集団で集まる時とかはこの方がいいかも知れんにゃー。噴水前とかだと時間によっては人が多くて知り合い見つけるの苦労するだろうし」

「確かに。固定のメンバーでパーティーの共用拠点みたいにして使うのもありなのか」

「ミーティングとかもその場でできるしにゃー。秘密のお話もしホーダイ。どうだいミサちー、我々も何ぞ秘密の会合でもしてみんかね?」

「議題は……?」

「さあ」


『さあ』て。見切り発車にすらならないじゃないですか。走り出したら即事故ですよ。せめて前ぐらいちゃんと見てほしいのですが。


「あ、話変わるんじゃが」


事故車両の撤去早いな。


「お腹空いた」

「霊体なのに?」

「なんか前も聞いたにゃあ、似たようなの。いつだっけ」


いつでしたっけ。私も言った記憶はあるのですが。


「まあいいや。そんでさー、誰かいい料理人の伝手とかない?生産組ネットワークとかで」


そういう話ですか。幸いにして一人心当たりはありますが。霊体と同じぐらいお腹減りそうにない人を。


「NPCの店売りの果物とかはどうだったの?」

「あれはダメだ。不味くはないんじゃが、おいしいと勧められるようなシロモノじゃあ無い。アレで飢えを凌ぐのは遠慮したいんじゃよー。回復量も低いし」


不味くは無いけど美味しくもないって、ネタにもしづらいある種最悪のパターンなのでは……。我慢して食べれなくも無いあたり、タチの悪さを感じます。

この街の住人、味覚大丈夫なんでしょうか。


「私も一人ぐらいしか知らないよ?料理人なんて」

「おお、一人いれば大助かりよ。さすがミサミサだぜー」


では、とりなんさんのところに連れて行きましょうか。私もついでに食料を買わせてもらいましょう。

ちなみにこの家、街の外壁が近いので街の外に出るための東門と南門が意外と近かったりします。

いま用があるのは南門なので、ちょうどいいですね。



「お久しぶりです」

「おやおや誰かと思えばミサさんじゃないっすか。ご無沙汰っすー。今日は可愛らしいお人形さん抱えてるっすね」


門の前に到着し、以前と同じ位置にとりなんさんを発見したのでご挨拶。


「あれ、たまに森で見かける骨の人だ」

「知ってるの?」

「知ってるってほどの間柄じゃ無いけどにゃー。たまに見かけるってだけ。骨がビュンビュン森を駆け回るから目立つの」

「そういう貴女は、なーんか見覚えがあると思えば、『森の笑人形』って噂になってる魔剣使いさんじゃないっすかー。ミサさんとお知り合いだったんすねー」


お互い目立つもの同士、存在は知っていたようです。

それにしても笑人形って……誰がつけたのか知りませんが、妙にしっくりくる異名を考えましたね。


「この骨の人が、食べ物売ってくれるの?」

「へい、飯屋とりなんへようこそお客様」

「……ミサの知り合いって変わった人多いよね。類友ってやつ?」


筆頭はあなたですよ?

とりあえず蜘蛛肉料理でも食べさせてみますか。

明日はお休みします。

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