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我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
ことのはじまり
5/70

1-5 永遠と0

ブクマあざす

台詞回し難しい…



鏡に飛び込んで刹那、喧騒が聞こえるようになりました。つむっていた目を開けるとーー


街、ですね。白い壁に色とりどりの屋根が見渡す限り広がります。遠くに見えるとんがり帽子はお城?それとも教会でしょうか。まあ用事ができれば向かうこともあるでしょう。

私の背後では巨大な噴水が音を立てながら周囲に清涼感を振りまいています。そしてその噴水から水路が放射状に伸びて…水路?あれもしかしてこれただのオブジェ的な噴水じゃなくて生活用水に使われる湧き水なんでしょうか、豪快ですね。

今立っているところは噴水前広場と言ったところでしょうか。いくつかのメインストリートが交差しているようで、人々の行き交いが豊富です。まあ私と似たような服着てる人が多いのでほぼほぼプレイヤーと見ていいのでしょうが。頭上に名前が浮いています

見えませんがおそらく、私の頭上にもミサの文字が浮いているのでしょう

広場の隅で果物の露店開いてるおばあさんがいますが、あの方はNPCでしょう。頭上の名前、色が違いますし。あの色が敵対でないNPC、と。

ふむ異世界の果物…気にはなりますが心許ない初期資金で小さな冒険する余裕はありません。またの機会の楽しみにとっておきましょう。


ーーと、お上りさんがごとく挙動不審を晒していたところ、


「やっと来たなー、このねぼすけめ」


聞き慣れた声に話しかけられました


「誰のせいだと思う?」


言いつつ振り向きます

そこには、あれ誰もいない…わけないですよね。想定より頭二つ分ほど低かったので視線が空を切っただけでした。

そこにいたのは小人…いえ、生物ではないですね。肌がどことなく硬質感ありますし、フリフリで所々ほつれたドレスの袖から球体関節が覗いています。頭上にプレイヤーカラーで表示された名前はトワ、そしてフレンドを表すマークが後に続きます。

このゲームを始めてからフレンド登録した相手はいないので、事前にVRマシン側で登録してあるフレンドということに。そしてマシンに登録されたフレンドはハルカただ一人、つまりトワ=ハルカである以上証明終了。

まあ声聞いた段階で知ってたのでわざわざ思考するまでもなかったのですが。ついでにこの小突きたくなるドヤ顔、いつも見てるので間違いないです。


「いやぁ、今回の事件は実に難解でね。容疑者を二人に絞るところまでは行ったんだがそこからまるで進展しないのだよ」

「じゃあ迷宮入りだ」


容疑者Aと容疑者Bしか登場人物がいないですからね。名探偵の登場が待たれる


「あー、一応自己紹介しとく?」

「こっちでははじめましてだしね」


ハルカ…いえ、トワの提案に乗ります。お互いに別の名前で呼ばれることに慣れないといけませんし、うっかりリアルネーム(本名)で呼ばないようにしないとですね。


「んではあたしから。可憐な西洋人形は世をしのぶ仮の姿、しかしてその正体とは…ポルターガイストのトワちゃんなのであったー!わーわーどんどんいぇーい!」


普段よりも三割増しぐらいでテンション高いですね。そしてうるさい


「私はミサ、龍人。ものづくりに興味がある。よろしく」

「お、対人不器用な職人ロール?いいねぇいいねぇ雰囲気でるねぇっ」

「ロールプレイだと分かってるならそれに触れるなし」

「てへ☆」


それにしてもポルターガイストですか。いつも賑々しいハルカらしいといえばらしいというか、ピッタリですね。


自律人形(オートマタ)かと思った」

「はっはっは、情報戦はすでに始まっているのだよミサ君。こうして勘違いさせておけばいつか何かの役に立つかもしれないからね!」


何と戦ってるのかわかりませんが、全力で楽しんでる気配はビシビシと伝わってきます。


「ポルターガイストってことはその人形は本体じゃない?」

「そだよー。本体はなんかガス状のよくわからない光るヤツ。動かしたい物体に近づいて、『えいっ』ってすると好きに動かせるのさー」

「なんていうか、色々すごいね」


ゲームのシステムも、それをわざわざ選んで割と使いこなせてるこやつも、両方。


「まあ、複雑な動きはまだあんまりできないんだけどね。移動もめっちゃ遅いし。その辺で拾った人形で擬態も兼ねて操作の練習中、というわけなのだよ」

「夜中に出歩いたら都市伝説の仲間入りできそう」

「お、それいいね。ポルターガイスト(騒霊)的には世間をお騒がせするのがアイデンティティな訳で」

「そそっかしいプレイヤーにモンスターと間違えられてPKされてしまえ」

「おお、こわいこわい。そうなりそうになったら教会に逃げ込んで大鐘を力の限り鳴らし続けるから」

「迷惑すぎる」


今のうちに除霊してもらった方が世界が平和に一歩近づく気がします。


「そういやミサちーは、見た感じこっち来たばっかじゃろ?丸腰だし」

「ん。メニュー欄すら開いてない。というか初期位置からほぼ動いてない」

「おぉう、予想以上に何もしてなかったぜぃ」


風景眺めてただけですからね。トワが来るのも早かったですし


「とりあえずメニュー欄開いて、お届け物を受け取るのだー。メニューは開けーって念じれば出るから」

「む…うわなんかでた」

視界に青い半透明の画面が出てきました。えーと、お届け物はっと…サービス開始記念のSkP(スキルポイント)が5、スタートダッシュキャンペーンでさらにSkPが5、あとはポーション(回復アイテム)が数個と初心者用の武器ですか。選択制でお好きなものを一つくれると書いてあります、が…


「貰える武器、選択肢少なくない?」


初心者用の剣、初心者用の杖、初心者用の弓の計三種しかないのですが

少し悩んだ末、剣を選択しました。アバターの見た目的に、似合いそうだったので


「まあ、ちゃんとしたのさっさと買うなり拾うなりしろってことなんだろうね。ちなみにこの街のお店を軽く見て回ったら普通にそれ以外の武器も売ってたよ。剣だけでも手のひらサイズのからそれ邪魔じゃね?ってぐらいデカイのまで」

「けど、お高いんでしょう?」


安いと言ってくれという願いを込めてネタを振ります


「HAHAHA心配ご無用!って言いたいところなんだけど、最初の手持ちじゃ微妙に足らんねぇ」


ですよねぇ


「消耗品買うことも考えると、それなりに稼いでからの方がよさそう、と?」

「始まったばっかで情報も集まってないけど、現状そういう判断になるかな」

「案外、作っちゃった方が早いかもね」


街の外に材料拾いに出る必要はあるんでしょうが


「おぉ、頼もしいぜ。生産スキル一つもないだろうに」

「今から取るの!」


…初期SkPで取れますよね?



次回スキル取得


マヒル「なんで拾った人形なのにドヤ顔できるの?」

ハルカ「あたしにもわからん」

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