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我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
ことのはじまり
42/70

1-41 生死感

お待たせしました



半球状が二つの容器の中で、ガラスが溶けるのを待ち、取り出したら冷まします。サイズが小さいので冷気ブレスを弱めにかければ十分そうですね。


『おお、君はすごいな。ははは、数々の伝承に謳われる恐ろしい龍のブレスもこうして使われると形無しだな』

「楽ですし」

『何事も見方次第考え方次第ということだな。うむうむ、その姿勢は素晴らしい。何かを作る上で大事なことだと思うぞ』

「ありがとうございます」


冷えたガラスの半球を取り、幽霊さんが彩色を始めました。今更ですが、幽霊さんも普通に道具を使って作業できるんですね。ポルターガイストみたいに道具を浮かせて器用に絵の具をいじっています。


「その力も便利そうですね」

『ああ、これかい?この身体になってからしばらくは何もできなかったんだがね。暇すぎて色々試しているうちにね』

「ポルターガイストみたいですね」

『地縛霊で騒霊のエルフか。しかも人形屋だろ?肩書きが多いなぁ』


盛り盛りですね。

お喋りを楽しみながら幽霊さんは色づくりを終え、ガラスを眼に変えていきます。

だんだんとリアルな眼球になって来て結構不気味ですね。

私は事情を知っているのでそうでも無いですが、何も知らない人が見たら、宙に浮く眼球と笑い声というかなりホラーな光景になっていると思われます。


『君は、ここに住むのかい?』

「ええまあ、そのつもりで来ましたが」


住民がいましたからね、どうしましょうか。クエスト名は元住民となってはいましたが。


『そうかそうか。君のような楽しい人に住んでくれるとわたしも嬉しい。ここの道具たちも退屈しないだろうし』

「私が貰っていいのですか?」


最初はそのつもりでしたが、持ち主からのお許しがいただけるならありがたいですね。


『こんな骨董品じみたのでよければ好きに使ってくれ。ああ、邪魔だったら気にせず捨ててくれよ。向こう(あの世)でわたしが使うから』

「てっきり一緒に住むことになるのかと」

『はっは、それは実に魅力的なお誘いだがね。君と話すのは楽しいし』

「ならーー」

『だがね、わたしは今遣り残しを解消している。それが終わったらちゃんと、わたしはわたしを終わらなきゃいけないんだ』


この人はやっぱり強いですね。二度も自分の終わりを見据えて動くなんて……私なら怖くて頭がおかしくなってしまうかもしれません。


『そんな顔をしないでくれ。そもそも摂理を歪ませている身だ。いないはずのものがいなくなるだけださ』

「怖くはないんですか?」

『怖い?うーん、考えたこともなかったな。そもそもエルフという生き物の考え方がそうなのかもしれないな。生ある以上、死ぬ。それだけさ』

「そういうものですか」

『そういうものさ。そういう意味ではわたしは死ぬべき時に半端に生き残ってしまったとも言える。エルフとしちゃとんだ恥さらしだ。我ながらたかだか人形一つにどれだけ入れ込んでるんだか……』

「でも、そういうのかっこいいと思いますよ。私は」

『そうかい?君がそう感じてくれるなら、嬉しいな』


作業を観察しながら話していると、トワがログインして来たようです。今から合流できないかとメッセージが送られて来ました。


「人形の持ち主が戻って来たみたいなので、ここに連れて来ますね」

『おお、そうか。よろしく頼むよ』




噴水前に移動し、トワと合流します。


「やぁやぁ、おはよう」

「おはよう」


私が寝ろと言ったのですが、冷静に考えると日中にこんなに寝たら夜眠れなくなるのでは?セルフ時差ボケ状態になりそうです。徹夜グセを加速させてしまった気がしないでもない。


「んで、アルバちゃん直ったんだって?」


そういえばそういう用事でしたね。色々あって半分ぐらい忘れていました。


「バッチリだよ。ただ、その前にちょっとついて来てほしいところがあるんだけど」

「ほほー、よかろうあないせい」


無駄に偉そうですが、了承は得られたので気にせず出発です。

道中で人形について聞いてみましょうか。


「その人形なんだけど」

「んー、この激カワボディがどうかしたかにゃ?」

「どこで拾ったの?」


まずはここからですよね。あの建物は鍵がかかっていたわけですし、中にあった人形をトワが持って出たとは考えにくいので。


「あーこれはにー、教会あるじゃろ?あの建物の裏あたりに転がってたんさ」

「ふーん」


やはりクエストの本来のルートとしては、単純なお使いと言った感じだったのでしょう。そこをコイツが持って行ったせいで、話がおかしくなった、と。


「いまその人形を探してるって人?に会ってさ」

「ほへー、もしかしてこれイベントアイテムだった系?」

「だった系」

「まじかー、でもできちゃったもんはしょうがないよね!ぬー、次回アプデぐらいでなんか修正入るかもだにゃあ」

「だろうね」


私だったから良かったものを、他のプレイヤーだったら難易度がおかしいことになりますからね。

解決策としては、新しく人形を出現させるか、クエストを発生させた人以外に触れないようにするか、あたりでしょうか。


「それで、その探してるって人のところに向かってるってことでおk?」

「そ。ただ、返せってことじゃないみたい。替の服とかも準備してるよ」

「おお、まじかー!めっちゃいい人じゃん」

「人っていうか幽霊だけどね」

「oh、まじかー……まああたしも似たようなもんだけど。もしかしてこれの製作者とか?」

「そう」

「げぇ、『よくもこんなにしやがってー!』とか怒られたりしないよね?」

「さぁ」

「怒られるときは一緒だかんね!ちゃんとフォローしてね!?」

「はいはい」


まあないでしょうが。そういう人じゃないのは話してよくわかりましたし。


話しているうちに幽霊屋敷に到着です。


「ここ?」

「ここ」


さぁ、ご対面です。

昨日は一日風邪でぶっ倒れてました。熱が出てちょっとハイになって楽しかったです。

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