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我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
ことのはじまり
39/70

1-38 おかしな建物

おまたせしました。


評価、ブクマ等ありがとうございます。



「ーーとまあ、こんなところか?今思いつかないだけで漏れがあるかも知れんが」

「ありがとうございます」


はじめの値段付け講座以降も色々と教わりました。情報の利用法、お客さんの応対方法、迷惑なお客さんへの対応、注目されることの善し悪し、同業者同士の影響などなど、多岐にわたります。

正直すぐに覚えきれる量ではなかったので、しばらくメモ帳を確認しながらの行動になりそうですね。


おおよそで算出したナイフの値段がちょっと予想以上に高くなってしまいましたが、材料を一緒に採りに行ったようなものですし、ある程度お安くして伝えますか。

というか、祝福がぽこぽこ生えるせいで私の生産品軒並み金額が凄いことになってしまうのですが。

ブレスを使わない生産も行わないと、普通の売り物にならなさそうです。せめて、鋳塊にする段階で追加効果発現しないようにしないと……。祝福は選択しないも出来なくはないのですが、鉄は魔力に晒すと変色しちゃいますからね。


「他に何かききたいことはあるか?」

「あ、自分のお店が欲しい場合って、どうすればいいかわかります?」


せっかくなので不動産系のお話も聞いちゃいましょう。


「あー、噴水から北門に向かう途中に城が見えるだろ?そこの近くに土地の売買や貸借りをやってる役所みたいなところがある。オレはそこで安い小屋付きのを借りた。実際に借りた土地見たら瓦礫まみれで唖然としたがな」

「じゃああの瓦礫の山って……」

「どかした跡だな」


私がお立ち台代わりにした謎山にそんなエピソードが……。


「オレはぶっちゃけ畑にできればなんでもよかったから安いのを借りたが、ミサさんの場合はそこそこの設備が整った作業場が必要だろ?どのぐらい金がかかるかわからんし、そもそもそういう物件があるかどうかも……」

「なるほど。とりあえず、行って確認してみます」

「そうしてくれ。質問すれば結構丁寧に教えてくれたから」


現状で聞きたいことはこれで全部聞けましたかね。実に有意義な時間でした。

挨拶してお暇させていただきましょう。


「色々とありがとうございました」

「おう、そっちもクワありがとな。大事に使わせてもらうわ」

「ではまた」

「またな」



マトン先生に別れを告げ、向かうは教わった不動産屋さん的な場所です。

行っていきなり場所を借りるつもりはありませんが、いくらぐらいで借りられるのかとか色々調べたいですからね。

一度噴水広場へ戻り、そこから北門方向へ。この街のお城は山を背に建っているので、大分外側寄りです。この街というか、この国の歴史みたいなものもどこかで調べられたりするんですかね。教会のパッツァさんあたりなら知ってそうではありますが。時間ができたら調べてみますか。



お城の門が見える位置まで近づいてきたので、このあたりだと思うのですが……。役所みたいって言ってましたよね。役所、役所……お。


「ここっぽいかな?」


私の目の前にあるのは出入り口の上に《ヘルブラウナス城下土地管理所》と書かれた建物。

今更ですがこの街の名前ヘルブラウナスっていうんですね。そこのお城がヘルブラウナス城でしょう。

では早速、管理所に入ってみましょうか。


中は聞いていた通りいかにも役所といった感じです。人の入りはそこそこですね。プレイヤーの姿もちらほらと見えます。

窓口がいくつか並んでいますがどこに並べばいいんでしょうか。案内の人とかいないんでしょうか。とりあえず並んで違ったら案内してもらえばいいですかね。


「ようこそいらっしゃいました。ご用件をどうぞ」

「あの、お店を始めたいのですが、物件紹介ってここで受けられるんでしょうか」

「そういったご用件でしたら、隣の3番窓口へお願いします」

「はい……」


対応してくれたお姉さんから素っ気なく案内を受けました。うん、役所っぽい。素直に3番窓口に並び直します。


「お待たせしました。ご用件をどうぞ」

「あの、お店を始めたいのですが……」

「はい、物件紹介ですね。候補を絞りますので、そちらの机で、この用紙に回答をご記入ください」

「はい」


また並び直しですね。窓口を去り、机に移動して希望の立地や欲しい施設などの設問に、私の希望に合った選択肢を選んでチェックを入れていきます。

こういう紙に名前を書く瞬間ってなぜかやたら緊張しますよね。日頃書き間違えたりしないのに意味もなく心配になったり。


並んで窓口に提出し、ではご希望の物件を探しますので、そちらでおかけになってお待ちくださいと言われ、番号札を持たされて待機場所で待ちぼうけです。何もここまで役所っぽくしなくても……!


しばらく待っていると別の窓口から呼び出しが。あ、今度はそっちですか。


「ご希望の条件を基にこちらで検索したところ、該当した物件はこちらになります」


半透明の画面が表示され、候補がいくつか羅列されています。うーん、やっぱり施設付きだけあって結構お高いですね。大通りに面している立地だとさらに。

まあ立地に関してはそんなに気にしていないので、希望なしで提出したのですが。

おや、一件だけやたら安いのがありますね。私の今の不安定な収入でもなんとかなりそうなぐらいです。


「あの、この物件は何か……」

「ああ、そちらはですね。色々と問題がある、と入居者が入れ替わり立ち替わりといった具合でして……」

「曰く付き物件、ということですか?」

「私共も何度か立ち入って検査を行っているので、異常は無いはずなのですが……」


不本意ながらそうせざるを得ない、と。


「候補に挙がっているということは、私がここに決めてもいいんですよね?」

「ええ、ですが先にご説明させて頂いた有様ですのであまりお勧めはしませんよ?」


他のはお高いですし。まあ収入が安定してからでもいいのですが、なんかここに惹かれるというか。


「お試しとかってできます?」

「はい。本来は行なっていないのですが、この物件だけは特例として一週間の試用期間が設けられています」

「じゃあ、それお願いします」

「……かしこまりました。あの、無理だと感じたらすぐに申し出てくださいね?」


わざわざこういう物件が用意されている以上、運営の遊び心もセットで用意されていると思いたいですよね。隠しダンジョンとかあったりするんでしょうか。


それから必要な手続きを終え、手渡された地図を確認しながら噂の現場へ向かいます。

お安いだけあって街の外れの方で裏通りの奥といった感じです。物件の不具合より周辺の治安の方が若干不安になる立地ですね。


「到着、と」


見た感じは小洒落た石造りの建物です。喫茶店とかでありそうな見た目ですね。結構気に入りました。

預かった鍵を使ってドアを開けると、暗闇がお出迎えです。雨戸とか全部閉まってますもんね。まずは換気からでしょうか。

などと思いながら中に入るとーー

−特殊シナリオクエスト【元住人霊からのお願い】が発生しました−

の表示が。


瑕疵物件じゃないですかここ。

ミサの店開店なるか

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