1-34 至福のひと時と書いてイチャつきと読む
おまたせしました。
改めまして皆さまおはようございます。
朝食を済ませた後、読書タイムを挟んで現在時刻は10時半、天気は相変わらずの雨模様ではありますが、少し空が明るくなったので、お昼頃には止むかもしれませんね。
軽く身体をほぐしてから日課となってきた散歩に出ます。といっても今日はノープランではなく、目的地があるので厳密には散歩ではないのかもしれませんが。
そう、今日は喫茶店に行きたいのです。
昨日今日と読んだ作品の舞台がとある喫茶店でして、つい行きたくなっちゃったというわけです。モデルになった同じお店というわけでは当然ないのですが、似た雰囲気を味わいたいなと。
「やほ」
「へっ?」
近所に昔からある喫茶店に入ると、よく知る声に呼び掛けられました。そちらを見ると小さく手を振る小柄な女性が。
なんでここにノノが……?
「予想通り」
「探偵役かなんかなの?」
そりゃ、本を勧めてきたのはノノですし、内容も当然知ってるでしょうが、私がこの時間にここに来るとまで予測したと。
私の行動そんなわかりやすいですかね?
「……近場の喫茶店ここしかないし」
「まあ確かに」
チェーンの喫茶店が駅前に前まであったんですけどねぇ。いつの間にやらファストフード店に様変わりしていました。いつの間にやらって感想を抱く程度には行かなかったとも言いますが。
むしろファストフード屋になってからの方が行った回数多いかもしれません。
「それで、そんな名探偵さんが何の御用ですか?」
「あの本の感想、聞きたいし言いたい」
なるほど。そういうことならこちらとしても望むところです。じっくりと腰を据えて語り合おうではありませんか。
その後は二人でお茶とケーキを注文し、味わいながら感想談義に花を咲かせました。
やれあの登場人物のキャラクター性が良かっただの、第何話のオチが一番好きだったかだの、あの言い回しはずるいだの。
あっという間に時間が過ぎ、いっそここでお昼もいただこうかとお互い家に連絡して、店員さんに追加注文。それからまた話を再開して同じ作者の他作品と比べてどうとか、あの作品とクロスオーバーしたらどうなるとか。好きな作者が一緒の同志とは話題がなかなか尽きぬものなのです。
ノノとは新作が出るたびこんなことをやっているのですが、今回は新シリーズですから余計に、って感じですね。
普段ならこのままノノとしゃべり続けても一向に構わないのですが、今日に限ってはそうも行きません。ナイフの修理をしなければ。
「じゃあ、そろそろ……」
「……用事?」
「まあそんなところ。クレームはハルカへお願いします」
「わかった。至福のひと時を邪魔した罪は重い」
クレーム本当にいきそうですね。ごめんハルカ。
会計を済ませ、店を出ます。長時間お世話になりました。
空は明るくなって来ているのですが、雨は意外としぶとく降り続いていました。遠くのさらに明るいあたりはもう止んでそうですね。
家の方向が逆のノノとはここでお別れです。
「じゃあ」
「ん。じゃ」
またね。
家に帰るとお母さんから、あんたもっと早く連絡しなさいよとイエローカードをくらいました。ごめんなさい。また色々手伝いしないとですね。
解放されてから部屋に戻って、予定より少し遅くなりましたがログインしましょう。
着替えて布団に寝っ転がってデバイス被ってスイッチをオン。行ってきます。
早速いつもの場所へ、といきたいところなのですが、先に採取を少しやってからにしましょう。MPポーション買わないといけませんし。
さくっと【石ころ?】を納品。ついでに数日分確保してきました。明日以降もこれを納品し続ければある程度は保つでしょう。倉庫の利用料も確保しないといけませんし、無駄遣いする余裕はあまりないですが。
ポーションはNPCのお店でも買えるので今回はそれを買います。プレイヤーメイドの品がどういうものがあるのかも今度確認しないとですね。南門のプレイヤーマーケットに売ってる人いるでしょうし。安いのがあるといいのですが。
所用を済ませたのでいつもの場所へ。
うーん、お金が安定して稼げるようになったら自分のお店も欲しいですよね。そういうのはどこに行けばいいんでしょう。不動産屋さん的なところがあったりするのでしょうか。
土地持ちの都会派エルフ先輩に今度聞いてみましょう。
さて、今回は初の修理作業です。
炉に火を吹き込んで準備は万端、鍛冶の項目から修理を選択します。
まず修理するものと、対応した金属を選択ですね。今朝トワから預かった【アルバ】を修理品に指定、続いてうっかり出来ちゃった四色鉄を使用する金属に指定します。
この対応した金属、修理品と同種の金属が求められるのですが、今回の場合、鉄に属していればとりあえずいいみたいです。一応元闇鉄同士ですけどね。ちょっと色々増えただけで。
鋳塊から指定された量を採るよう指示されたので、ヤスリでゴリゴリします。あ、アミュレット装備しなきゃですね。
「おぉ……」
装備でSTRが跳ね上がった成果が実感できました。かなりやりやすくなりましたね。擬音で表現すると、これまで『ゴリッ……ゴリッ……』だったのが、『ガリガリガリガリ……』になりました。早いし軽いです。
りゅうの ちからって すげー !
龍の劣化版とか思ってごめんなさい。十分過ぎます。
この仕事っぷりに免じて削り終わったら先に名前つけてあげましょう。
−【竜牙のアミュレット】の銘を【狴犴】に決定しました−
連想ゲームと辞書機能でいいのを見つけたところまでは良かったのですが、入力して漢字を変換する部分でやたら時間がかかりました。まあ私もこんな漢字見た記憶がないのですが。
へいかんって読むらしいです。竜の子でトラに似ていて力強いんだとか。私が作ったのですから龍の子も同然ですよね。
今後ともよろしくお願いしますね。主に私の筋力をサポートする方面で。
さあ、ナイフの修理に戻りますか。
次回、本格修理アンド魔改造です。
竜生九子は今後も出そうかな……




