1-3 笑う福に門来たる
本日二話目の更新。出来る時に出来るとこまで
はいみなさんおそようございます。結局あれから本格的に寝入ってしまい、母親のお昼ご飯コールで眼が覚めるというこの間のハルカをあまり笑えない事態に。真昼にマヒルが起きるだなんてジョークにしても出来が悪い。生活リズムを崩さないよう心がけねば…
とまあ、反省もしましたし切り替えて遊ぶとしますか!
レジ袋に入れっぱなしだったパッケージからメモリーディスクを取り出しVR筐体にイン。ただ今読み込み中からセットアップ中に切り替わるのを横目に見ながら付属の取説を眺めます。そう、このゲーム、取説付きでした。データ購入の場合はよくあるネット上の取説ページに行けるようになってるらしいのですが…
紙媒体で世界観説明付きの十数ページの取説、なんか旅行先のガイドブックみたいでこういうのもいいですね。半世紀ほど昔はこれが普通だったとか噂に聞いたことはありましたが、なるほど。これもハルカがロマンの塊と言ってた一端というわけなのでしょう。
えーと、まずはじめにキャラクターの設定から、と。ほうほう、種族を選べるんですね。人間にエルフにドワーフに……
吸血鬼とかこれ日中どうするんですかね。行動がかなり制限されそうなものですが、きっと夜間の恩恵がかなりあるのでしょう、私は遠慮しておきますが。
かっこいいんですけど、およそ友好的なイメージが無いというか人類の敵っぽいですもんね。そこをあえて、というのも惹かれなくは無いのですが…
ホムンクルスなんてのもいるんですね。えぇ…アバター作成時に身体の各パーツをゲーム中生物からランダムに抽出します?凶悪か醜悪な見た目になる予感しかしないのですがそれは。この種族選ぶのは、よほど自分のリアルラックに自信があるか、そもそも異形種になりたいか、じゃないと出来ないですよね
面白そうですが生産をするためにも流石に真っ当な五体が欲しいのでこれも没、と
ものづくり的には普通にドワーフでしょうか、いやでもエルフも器用そうなイメージですし…悩みますねぇ。ふふ、悩むのも楽しいなんて久々です。
などと唸ってるうちにセットアップ完了のお知らせ。実際の姿を見て決めるとしましょう
鼻頭ほどまで隠れるヘルメット状の装置を被り、外側の額ぐらいの位置にあるスイッチを入れれば、真っ暗だった視界がささやかな駆動音とともに明るくなっていきます。さあ、征くとしましょうか…!
ーー見渡す限り灰色の地平線とやや薄めの灰色の空、そして中空に《Welcome to Your planeT》の文字が粗めのドットでデカデカと表示されているのを見つけました。
おぉ、なんか感動しますねこれ
ひとしきり眺めてから視点を下げて正面に戻すと、地面に前方向に向かって矢印が…こっちに行けってことですよね?
おそるおそる歩を進めるイメージをするとゆっくりと動き出しました。うはなんですかこれきもちわるいたのしいおもしろいうける
「あははははははははは!」
あ、ちゃんと声も出せるんですね。記念すべき第一声が笑い声とは…いやまあ人は皆産まれて第一声は泣くのですから、二度目の第一声で笑えたというのはきっといいことなのでしょう
跳んだり跳ねたり走ったりの練習もついでにこなしながらしばらく進むと、灰色以外の物が見えてきました。あれはーー
「門、ですよね」
他に何も無い空間にポツンと木製で観音開きの豪華な門が建ってるの、すごいシュールですね
移動のチュートリアルはおしまいということですか。ここで門を開けないほどひねくれてるつもりはありませんし
ハルカならどうするか…いやハルカも迷わず開けるでしょうね。あの子なんていうか行動が王道ですし。もう一人の親友のノノなら…こっちは逆に何するかわかりませんね。フィーリングが私と似てる気はするのですが、出される解がたまに突飛なんですよねぇ。それもまた愛嬌なんですが…
今日遊び終わったらノノもこれに誘って…いやきっとハルカが声かけてるでしょうね。一応後で確認しますが
まあ、とりあえず門を開けましょうか。
そう考えて私は、門の裏側に周ってから両手で押し開けて入り、そして光に包まれましたーー
光が収まると視界に入るのは相変わらずの灰色、ただ景色はだいぶ様変わりしています
屋内、ですかね。レンガ造りのドームといった感じの建物の中にいる模様
そしてドームの中央付近に大きな鏡…おそらく姿見でしょう
つまるところアバター作成の時間と見て間違いなさそうです
次回キャラメイク。一話あたりもうちょい文字数増やしてもいい気がしてきた。
親友二人ーーハルカ…宇佐美 悠
ノノ…仍乃 帷
キャラクター性についてはおいおい