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我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
ことのはじまり
22/70

1-21 船頭を増やす

毎日18時投稿でいきます。今後ともよろしくお願いします。




あれからトワは、見た目強そうな強面の狼を一撃で屠るのがツボにはまったらしく。


「フハハハハハァ!楽しいなぁ!」


と、まるで悪役のようなセリフを吐きながら探知範囲に敵mobを見つけるたび、私に突貫を指示。かれこれ十数回に渡る辻斬りを繰り返しております。

目的地は近づいているものの、寄り道が続いておりいつになったら着くのやら。

同じPTの私にも経験値入るので、無駄な時間というわけではないんですけど。たまに落とす爪や毛皮といったドロップ品とともに早く先に行きたい気持ちが溜まっていきます。


「ねぇ」

「んー?どしたん?」

「『どしたん?』じゃなくて、山」

「おぉぅ、すまんすまん。あー、あと一体!次でラストにするから!」

「はぁ」


二度寝したい子供か。まあちょうどほぼ前方に一匹いるようなのでそれで終わりにしてもらいますか。さくっと近づいてズバッとやってーー

ん?なんか探知のマーカーが大きい、ような……



−イッピキオオオオカミ−


あれ絶対この辺のボス的な何かでしょ……。これまでのやつより2倍くらいあるんじゃないですかアイツ。


「トワ、ほら、ラスイチ決めちゃってよ……」

「いやいや、ワガママ言ったあたしが悪かったって。さ、山目指そうか。鉱石が待ってるぞ☆」


私もそうしたいのは山々なのですが、もうバッチリ目があっちゃってるんですよね。めっちゃ威嚇してるし。向こうの反応してくる範囲広いなぁ。あ、吠えた。


「トワと遊びたいって。ここに置いて行っていい?」

「お人形さん遊びかー。ああ見えて乙女なのかな?これ以上ボロボロになるのは御免被るのでお願いします置いていかないでください」


とりあえず、逃げてみましょうか。脱兎のごとく。私の方が速くて撒けるかもしれませんし。


「走って逃げる」

「よろー」


いち、にの、さん。

自分の中で数をかぞえて、山方向へ走り出しました。



あ、無理ですねこれは。さすが四つ足、出だしの差こそあったものの、グングンと迫ってきます。そして私達をターゲッティングしてるのも確定。近づいた時の反応モーションなだけであって欲しかったです。


「っ、無理っぽい」

「しゃーない、現実と戦うかー」


仮想現実でも世間は辛い模様です。覚悟を決めて対峙しますか。


「っと」


向き直った瞬間飛びかかってきました。向こうのほうが速いとはいえ、観て避けれないというほどではないようです。コウモリ戦でも思いましたが、AGI高くてよかった……っと、またですか!

そのまま何度か攻防が繰り返され、お互いダメージは無し。

こちらもトワがナイフを振るうものの、うまく躱されてしまっています。ターン式のバトルじゃ埒があきませんね。


「飛びかかりを狙う?」

「だべな。タイミング合わせ頼むぜぃ」


そのためにはこれまでの大きな回避ではなく、しっかりと見切った上で極力無駄のない回避をしなければいけません。なんでこんなこと提案するかな私!

とにかく、動きをよく観て……よく観てーー


大狼の身体が少し沈み脚に力が入るのを確認、さっさと避けたいですが逸る気を抑えてもう少し……引き絞った身体が起き上がり跳躍がーー


「今!」


軽く横にステップするように移動、一瞬前まで私達がいたところめがけて大きな口と鋭い爪が突っ込んできます。そして、


「せぃやぁ!」


その空間めがけてトワがナイフを真横に振るい、結果、炎が大狼の身体を真っ直ぐに走っていきました。お見事。


飛びかかりの勢いが乗っていた分も加算されたのか、追加ダメージも合わせて1/3ほど持っていきました。

大ダメージなのは間違いないのでしょうが、やはりHP多いですね。


そして引っ掻きや噛みつきを数度繰り返してから再びの飛びかかり。小技を使うようになってきましたが、その程度ではまだ……!?


「げっ」

「くぅっ」


大狼は私のすぐ手前に着地、ナイフをかい潜ってから再度こちらを捕捉し飛びかかってきました。フェイントもやってくるとは。

幸い視界に大狼をおさめていたのでなんとか避けられましたが、面倒なことになりましたね。


トワのナイフだけでは避けられ、フェイント混じりの攻撃を躱しながらのカウンターは困難。何度か掠らせることには成功しているのですが、大狼側も学習しているのか、だんだんと当たらなくなってきています。大きな隙を作るには……あ。


そうだ、ブレス吐こう。本来こういう使い方するもののはずですもんね、ドラゴン・ブレス。


爪を躱し、牙を避け、一旦バックステップで距離を取ってからの飛びかかり。それ、待っていました。

フェイントだろうが本命だろうが、その周辺の空間ごと焼いてしまえばいいのです。両手で抱えていたトワを左手で支え、右手を口の前に。くらえ。


【点火】(イグニッション)


【龍の吐息】(ドラゴン・ブレス)


広がる炎のブレスに自ら突っ込む形となった大狼は勢いを失い、後方に方向転換。HPも大きく減らし残り1/3弱。やりました。


「おお、すげーぜミサっち!ドラゴンみたい!」

「だから、『みたい』じゃなくてそのものでしょうが!」


そこからは一気に形成逆転です。ブレスも学習されたのか躱されたものの、大きく跳ぶように避けたため、そこを狙ったトワのナイフに捉えられあえなく決着しました。


「疲れた……」

「はっはっは。やはり1人より2人じゃな!友情の前には敵ではないのだー」


レベルも2つほど上がり、ドロップは大狼の牙と毛皮、爪が2つづつ。今回は1種類1つづつ仲良く半分こしました。


「じゃあ、帰ろうか」

「ほえ、山行くんじゃなかったのけ?」

「そうだった……」


でもお前が言うな。ほかに誰もいないけど。

アニメ版ゴジラ見てきました。これから観る予定の人は先に関連小説を読んでから行くことをオススメします。

私はそれで楽しめました

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