表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
ことのはじまり
14/70

1-13 第一回お宝ドラフト

遅れてすみません


※追記:ボスの名前を間違えていたのを修正しました。ごめんよおおちすいこうもり(母体種)



トワと合流時に、中央突破したことで探知できたスポット。そこに打ち込んだ渾身の【採掘】は、私の目論見通りボスコウモリの上に崩落を引き起こしました。

よかった、関係ないただの採掘スポットだったらどうしようかと……


崩落が止み、舞い上がった埃が落ち着くと、私達に久々の正常な視界が戻ってきました。

岩で作られた天井は壊れ、新たに見えるは青天井。いやぁ、健全なナマモノたるもの、陽の光はしっかり浴びないと……って前も似たようなこと思ったような。


あ、あのボスコウモリの名前、《おおちすいこうもり(母体種)》っていうんですね。速いし暗いしでロクに確認出来なかったんですよね。彼女は未だ瓦礫の下でもがいています。


「よっしゃナーイスミサちー!ぐっじょぶくーるまーゔぇらす!ぐらっちぇ!だんけしぇーん!」


どこの国の人ですか君。


「それじゃ、トドメといこうか」

「いぇあー!くらえーぃ!」


視界が戻ればこっちのもの。しかも対象は動けず、トワが投げるモノにも困りません。私も初心者剣で微力ながらお手伝い。

絵面が完全にリンチですが、先に仕掛けてきたのは向こうなので正当防衛を主張したい。え、不法侵入したのは私達?弁護人ノノ、その辺どうですか?ふむ、死人に口なし、と。ではそのように。


「ひゃはーやりたい放題だぜぇ!まーさーにー、まな板の上の?」

「鯉」

「崖の上の?」

「犯人」

「坂上?」

「田村麻呂」


すでに瀕死のコウモリマザーを仕留めるのに、さして時間はかかりませんでした。あと田村麻呂関係ないでしょ。征夷大将軍様ですよ?


−Congratulations!−

−《おおちすいこうもり(母体種)》の討伐に成功しました。−

そんな通知文が軽快なファンファーレと共に流れます。


「勝てた……」

「勝っちゃったねぇ、ほいミサっち」

「ん」


両手を上げてきたので屈んで勝利のハイタッチ。

しかしレベル3でも何とかなるものですね。ここのボスがギミックダメージ寄りの設定だったのも大きいでしょうが。

眺めているうちに亡骸と瓦礫が光に包まれ消滅し、代わりとばかりに出現したのはーー


「宝箱だ」

「宝箱オブ宝箱じゃの。宝箱オブジイヤー」


ザ・宝箱といった見た目の、豪華に装飾された箱でした。

これでミミックとかだったら嫌だなぁ。


「これ開けたらヤバイ煙で歳とったりしないよね?」


親友も似たような発想でした。

何故二人して報酬の宝箱を疑ってるんでしょうね、可愛げのない。

別に運営に不信感があるとかでは……いや私は多少あるか、称号の一件で。今回の冒険で割と強いということはわかりましたよ?でもあの名前といらぬ一口コメントからは悪意を感じます。笑われたし。

まあさすがに報酬を疑ってもしょうがないのですが。どちらかというと宝箱を見つけた時の条件反射みたいなものです。ノノがいたらきっと短距離テレポ罠を疑っていたでしょう。


「じゃあ開けるよ?」

「よろー」


中に入っていたのはーー


ずらりと並んだ牙でも、怪しい煙でもなく、ましてや壁の中に飛ばされるなんてこともなく。


母蝙蝠の牙×4

母蝙蝠の翼×2

【ソナー】のスキルブック×1

トワイライトシールド×1

闇鉱石×3

中級HPポーション×4


でした。

スキルブック?これ読めば覚えられるよ、ということでしょうか。もしかしたら『スキルを習得する権利をやろう、SkPは払えよ』かもしれませんが。


「どう分ける?」

「いつも通り取りっこでいいじゃろ。交互に」

「複数あるやつは?」

「1枠扱いでまとめて」

「おっけ、じゃあいくよ」

「「せーの」」


「「最初はグー、じゃんけんほい!」


出された手は握られ、私は開いています。


「っし」

「に゛ゃあぁぁ負けたぁああ!」


最初に取る先後も決めたので、早速私から。私、トワ、トワ、私の順で拾っていきます。


「ま、これでしょ。」


まず真っ先に選んだのはスキルブック。気になりますしね。スキル名的に、【消音】との兼ね合いが微妙に不安ですが。


「あーまあ、それ取るよにゃあ。んじゃお次はこれとー、これかぬ」


トワが選んだのは、真っ黒い盾と翼です。

次は私が2枠選び、牙と鉱石を取得。余ったポーションは自動的にトワの下へ。空になった宝箱を見て、私はふと思いました。


「この宝箱欲しい」

「へ、インテリアにでもするん?」

「いや、追加インベントリか倉庫的な扱いできないかなって」

「おぉ、そいつは盲点だったぜ」


そう、この宝箱に物を入れて保管できないかな、と。

さっきまで素材やら装備やら色々入っていたわけですし、少なくともそれだけの容量はあるわけで。後々はどうなるかわかりませんが、インベントリがかつかつですぐに満席になってしまう現状では、もし可能ならかなり有難い存在です。

自分のインベントリを複数の宝箱で埋めて、ポーション等のすぐに使いたいものだけ宝箱と別枠にしておけば、探索にかなり余裕が出来るのではないでしょうか。


「ちょっと試していい?」

「あたしも気になるから是非やるのだー」


では早速。

空の宝箱を拾うと

−【報酬箱(空)】を取得しました−

の表示。第一関門でしたがここまでは予想通り、問題は次からです。

転がっていた、はてなマークの付いてない石ころを拾い、宝箱もとい【報酬箱(空)】に入れます。蓋を閉めると(空)の表記が消えました。第二関門も突破。

そしてそれをインベントリに入れようとするとーー

−このアイテムはインベントリに入れることができません−

と表示されました。あらら、最後の関門でダメでしたね。流石にそこまで甘えさせてはくれないようです。


その後も色々実験した結果、判明したのはーー


・宝箱は拾える

・宝箱には新しくアイテムを入れられる

・空の宝箱はインベントリに入るが

・中身のある宝箱はインベントリに入らない

・ただし持ち運びは可能

・容量はおそらく、プレイヤー一人分の半分程度

・仕様も同じで、同名のアイテムはある程度スタックされる


ということでした。

『インベントリの空箱はスタックされるのか?』はまた調べないとですね。

後は宝箱に宝箱は入るのかという疑問が残っていますが、空き箱でないとインベントリに入らないあたり、多分無理じゃないかなと二人で予測しています。


「さて、実験はこんなものかな」

「今できる範囲じゃあこんなもんだろうにゃあ。持ち運べるサブインベントリが見つかっただけでも大発見じゃろ」

「誰もまだ知らないの?」

「そんな情報は出回ってなかったはず。まあ二人で探索始めてからはどうなったかわからんけど、そもそもダンジョン自体見つかってなかったからなー」

「可能性は低いと」

「そゆことー」


ダンジョン共々、結構な発見をしてしまったようです。


「んでさ」

「んー?」

空の宝箱(コレ)、貰っていい?」

「利用法見つけたのはミサなんだから遠慮なんてせず持ってきなー」

「ありがと。代わりに情報発信する権利をあげるね」

「めんどい部分だけ寄越しおって……追加の実験と撮影もせんといかんからその辺は協力してな」

「もち」

「そんじゃまぁ、帰るかー。日付も変わっちったし」

「げ」


そういえば、太陽出てましたね。リアル時間は深夜1時を指していました。自覚すると眠気が……


「そこの魔法陣から帰れるらしいぞい」


トワが指差す先には淡く光る魔法陣。近づくと、入り口に戻るか、街の噴水広場まで戻るかの選択肢が出ます。おぉ、便利。


「私は街に戻るとそのまま落ちるけど、トワはどうするの?」

「んー、どうすっかねー。考えて何も思い浮かばなかったら寝よっかな」

「そか、じゃあお疲れ」

「おっつおっつー。またどっか行こうなー」

「ん」


そう言葉を交わし、二人で魔法陣の光に包まれました。


宝箱ってたまにお前どんなサイズしてるの?ってもの入ってますよね。


おおちすいこうもり(2)…群れの中でひときわ大きく強大なメスは母体種と呼ばれ、群れの拡大のために子を産み続ける。主に水辺に巣を構えることが多く、その巣が時には水の流れさえ変えることから、治水の名が付けられた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ