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我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
ことのはじまり
12/70

1-11 ほらぁな探検隊

初めてと二回目の応援メッセージなぞいただいてしまいました。私個人の趣味なので、何処までご期待に添えるかはわかりませんが、一応頑張るつもりではいるので、皆様方も可能な範囲でお付き合いください。



洞穴の中はさすがに暗いかと思いきや、苔が光っていました。ヒカリゴケというやつですかね。外より少し暗いかな?程度で収まっています。しかし……


「ん?探知が……」

「んー?あぁ、狭いにゃあ」


探知スキルの効果範囲が外より狭いのです。大体1/4程まで縮小してしまってます。見通しの悪い分範囲も狭まる、ということでしょうか。ダンジョン判定の範囲に入るとこういう仕様になるのかもしれません。

確かに外と同じ効果範囲では緊張感も薄れますしね。曲がり角で向こうからバッタリ、なんて事が起きやすくなったと……気をつけて進みましょう。


「そういやさ」

「ん?」

「さっきからふと疑問に感じてる事があるんだけどさ」

「何よ」

「あのメロンゼリーども、あたししか狙ってなかったよね?」

「日頃の行いじゃない?」


まあ十中八九【日陰者】の効果でしょうが。


「いやいや、またまたご冗談を。日頃の行いが関係するなら……トントンでしょ」

「そうかもね……」


親友から妥当な評価をいただきました。もっと甘やかしてくれてもいいんですよ?


「んで、なんかスキルいいのあるんでしょ?こっそりおねーさんに教えてごらんなさいよぅ」

「誰が姉か」


こんなのが姉だったら……楽しいのでしょうか。それとも近すぎて鬱陶しく感じてしまうのでしょうか。今ぐらいの距離感が、私としてはちょうどいいと思っているのですが。


「……スキルじゃない」

「ほ?」

「称号、取っちゃった」

「はぁ!?」


洞穴内にトワの声がぐわん、と響き渡ります。そんな大声出さなくても十分聞こえるのですが。まあ私が逆の立場でも驚きの声を上げるとは思いますけどね、称号ですし。


「称号って、あの称号じゃよね?オンリーワンでユニークだってウワサの、あのアンチクショウでございますですよね?」

「私もそう聞いてるね」


声に反応して近づいてきたコウモリ型のモンスターをその辺の石で片手間に処理しながら、トワの尋問は続きます。

洞窟内のトワはもしかして最強クラスなのでは?あ、レベルが上がりました。さっきのメロンゼリーでも上がってましたし、あとで魔法取りましょう。


「んで、何やったら取れたん?なんか凄いことやったんでしょ?あたしと別れてから!何やったのよ!言ってごらんなさいよ!」


なぜかドラマチックにヒステリックな言い方で迫るトワ。しかも大声出すとモンスターが寄ってくるからか、かなり小声です。無駄に器用なことを……

しかし盛り上げてくれたところ悪いのですが、言えることなぞこれしかないんですよね……


「何もしなかった。強いて言えば、スキル弄ってた」

「……へ?」


ぽかんとするトワ。この人形、本当によく表情変わりますね、どうなってるんでしょう。

説明するのが面倒になった、というか自分で言いたくない私は、無言で称号の説明を撮影機能で撮り、メッセージで送りつけました。


「ミサ」

「あによ」

「ごめん、ちょっと待ってて」


そう言うと、私の抱えていた人形から力が抜けました。そしてふよふよと光る物体が宙に……これがトワの本体ですか。

そしてそのふよふよは岩肌近くまでゆっくりと移動しーー



ぷるぷると震え始めました。


こいつ……笑ってやがる……!

わざわざ人形から這い出て、声を殺して笑ってやがります!音を出さないように細心の注意を払った上で!そういう中途半端な気遣いどうかと思いますよ私は!


しばらく収まりそうにないので、魔法スキルでもとりますかね。ドラゴンで鍛治屋とくれば、とりあえず炎魔法取るしかないでしょう。ほい取得っと。次はどのスキルとりましょうかねー……


数分後、笑い疲れたのか落ち着いたのか、トワが戻ってきました。


「あー、もうやめてよね。こんなところで笑かすの」

「覚えたての魔法で燃やすぞ」

「あはは、ごめんて。ホントごめん」


今度なんか奢ってもらおう。


「しかし、なるほどねぇ。気配ってざっくりした説明だけど、さっきの感じだとヘイト値にがっつり関わって来そうじゃのう」

「私に目もくれないって感じだったしね」

「あいつらの目がどこにあるのかわからんがね、そもそも」

「何処に目ェつけてんだおらー」

「ヒィ、ツノと槍ならあるんですが……」

「カタツムリじゃん」

「「いぇーい」」


友情を再確認。伸ばして来た手と片手でハイタッチ。

そして出てきたコウモリくんは石で叩き落されるのでした。いと哀れなり。




それにしてもこの洞穴思ったより広いですね。マップの未探索領域は減り続けているので、堂々巡りしているということはないはずなのですが……ヒカリゴケの量がだんだん減ってきて、かなり見辛いんですよね。


「お、ミサっち、ここスポットらしいぞい」

「ほんとだ」


岩が柱状に天井まで伸びているのですが、その根元付近が採掘スポットのようです。え、こんなところ掘って本当に大丈夫なんでしょうか……


「なんか危なくない?」

「そんな気はするがねー。モノは試しじゃろ?」

「はぁ……一応離れといて」

「おっけ。気をつけてなー」


「……【採掘】」


芋掘り事件を経てボロさが増した気のするツルハシを石柱に向かって振り抜くと……ええ、()()()()()んです。石柱の根元から中程までポッキリと。

当然支えを失ったらどうなるかなど子供でもわかる自明の理。火を見るより明らかというやつです。


「たいひー!」


もうやってますよ!

遠くで危険を知らせるトワのもとへ、急いで走ります。

瞬間ーー

崩落音。

ボトボトゴロゴロと天井だったものが降り注ぎます。

そしてそれがおさまると、そこにあったのは岩の小山と月明かり。

予想以上に派手な崩落でしたね。退避が間に合わなかったら今頃は噴水広場でむくれていたことでしょう。


「トワ」

「なんぞ?」

「今の冒険要る?」

「ごめんな、なんかギミックかもって思ってしまったんよ」

「まあ無事だったからいいんだけど……」

「あ」

「今度はなにーー」


トワの指差す先には、月明かりで照らされたドアがありました。


「ボス部屋?」

「行きゃあ分かんべさ」

「この冒険要る?」

「これは要るやつじゃろ」

「満場一致だね」


いざ。


普通洞窟行くなら松明ぐらい持っていけよって話ですよね。しかし、わくわくを抑えきれないのはしょうがない。


おおちすいこうもり…洞窟にいそうなモンスター第1位(運営調べ)。耳がよく、音に反応して近寄ってくる。戦闘が長引くと次々と集まって来るので、少ない手数で素早く倒そう。

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