表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
ことのはじまり
10/70

1-9 ずるい。

前話が思った以上に話が進まなかったので、本日二回目の更新と相成りました。

ブクマが跳ね上がって少しビビっております。皆様ありがとうございます



−終了プロセスを完了しました。頭部デバイスをゆっくりと取り外してください−


視界に表示された指示に従い、ヘルメット状のマシンを脱ぐとーー


「おぉ……」


見慣れた天井ってやつですね。無事帰って来れたようです。

いや、別に不安に思っていたというわけではないのですけれど。『漫画や小説じゃあるまいし』ってやつです。


「照明つけて」


音声認識で薄暗かった部屋を明るくしました。

お昼を食べていた時はあんなに元気だったお日様も、既にビル群の彼方へさようなら。名残が紫に空を染めながら、お月様に引き継ぎ作業中です。


部屋を出て居間へ。そしてドアを開ける前から漂うカレー臭。これは今日の晩ご飯は予想するまでもありませんね。そして多分明日のお昼はドライカレー。

まだ少し時間がかかりそうだったので、そのまま晩御飯のお手伝い。もうちょっと遅く降りればよかったような、人の役に立てて気が晴れるような……


ーー「ごちそうさまでした」


美味しく楽しい晩ご飯も終え、この後ログインしたらタイミング逃しそうなのでお風呂も済ませ、部屋まで戻ってきました。すると携端にメッセージが。どうせハルカでしょう。はいはいなんですかっと……


『なにか二人で面白いことやってるんだって?』


ノノでした。この書き方はハルカから聞いたみたいですね。鎌かけの可能性も否定はできないのですが……あの子その辺の直感すごいからなぁ


とりあえず返信、なんて返そうかな……

メッセージでうまく伝えるの苦手なんですよね。なので通話でいきたいのですが、ノノは逆に通話が苦手でメッセージの方が好き。ままならないものです。

ハルカはどっちも気にせず出来る、ノノ曰く『コミュ力の巨人』。私たちの得意な方で対応してきます。ずるい。


『Your planeT、ノノもハルカから誘われたの?』っと


『Yes。ただ、前から気にはなっていた。

それにしてもハルカはともかく、まさかマヒルも始めるとは。少し様子見してから、面白そうだったらわたしから誘おうと思ってたのに。ハルカはずるい。』


わかる。やっぱり彼奴がずるいというのは共通認識で良さそうです。ノノと心の中で握手。


『じゃあノノも始めるの?』


『始めたい。けどマシンがどこも品薄みたいで買えない。予約は出来たから二週間後ぐらいになりそう。つらい。』


あらら……残念。私が買ったタイミングって結構ギリギリだったんですね。


『じゃあ買えたら一緒に遊ぼうね。楽しみに待ってるから』


『ん。その時はいろいろ教えてくれると嬉しい。

じゃあまたそのうち。生身でか向こうの世界でかはわからないけど ノシ』


『ほいほい ノシ』


メッセージが終わりました。残念ですが、二週間後の楽しみが増えたとも言えますね

ノノが始めたらどんなキャラになるかなぁ……

王道に人間かエルフあたりかと思ってたハルカがポルターガイストとかいう謎生命体だったから、ノノは余計に読めませんね。逆張りの好きな子なので、王道ど真ん中に人間という可能性もありますし、やり辛そうな吸血鬼とかも多分好物でしょうし……

まあ、考えるだけ無駄、なんたらは休むに似たり、というやつでしょう。


とりあえず当面の目標は、ノノが来てもちゃんと教えられるように情報を集めることと、ハルカとノノ用の装備を作ること、ですね。ノノは私が生産目指してるって知ってるんでしょうか。驚いてくれるといいなぁ


というわけでさっそく今再びのログインです。


「おぉう、暗い」

目を開けると再び噴水広場からのスタートでした。ここがいわゆるリスポーン場所ということなんでしょう。そして先ほどまでとは景色がだいぶ変わっています。そう、夜です。

それなりに街灯が立ち並んでいるので、真っ暗ということはないのですが、日中と比べてやや見辛さは感じます。まあ夜ですからね。

吸血鬼等の夜の住人な方々はこれからがメインの時間なんでしょうね。暗視とかの視界補正スキルは持ってそうです。それとも種族適性で持つまでもない、とか……ありえそうですね。


ちなみにこの世界、現実の1日でこっちの2日、こっちの1日は現実の半日、となっています。倍速ですね。

私が始めたのが昼過ぎなので、この世界からしたら2日目の朝ということです。まあ朝とか夕方は未実装で、昼と夜が入れ替わるだけらしいですが。その入れ替わるタイミングも見てみたいですね。そのうち機会もあるでしょうか。


というか倍速ってどうなってるんでしょうね。

現実で5分10分しか寝てないのにやたら壮大な夢をみる、みたいな感じでしょうか。あれほんと不思議。


さて、マップで方角を確認して東へ、門の前まで来ました。

外も暗いとはいえ見えないほどではないでしょう、ゲームにならないですし。

おや、フレンドからゲーム内メッセージが飛んできてますね。これもノノだったらビックリなのですが……


『今暇?』


トワ(ハルカ)からでした。まあ当たり前です。他に誰がいるんだという話です。


『暇じゃなかったらログインしないでしょ』と返してもいいのですが、そういう気分でもないですし、素直に返しておきましょう。


『東に探索にでも行こうかと思ってたけど、暇といえば暇』


「そいつぁ奇遇だ。一緒に行こうぜぃ」


え?とメニュー画面から顔を上げると


「やっほ。結構見た目変わったね」


目の前にいました。


「昼の時も思ったけど、どうやって私の居場所がわかるの?」

「んー?探知スキル取ってない?あれあるといろいろマーカーで表示されるんだけど、フレンドはほかのプレイヤーと違う色でわかるのさー。タップすれば名前も表示されるし」

「あ、ほんとだ」


私のマップにもたしかに他と違う色で表示されるマーカーが目の前に。タップすると《トワ》と表示されます。


「うんうん、やっぱり探知持ってたか。ミサっちなら強さに気づくと思ってたぜー」

「取らない理由がなかった」

「だよにゃー」


思った以上に有能ですねこのスキル。取った甲斐があるというものです。


「んじゃ出かけんべー。準備とかは終わってるんじゃろ?門の前にいたし」

「だね。何もしてないともいうけど」

「はっはっは、この怖いもの知らずめ」


そう言って、私たち二人は門をくぐって外へ。本日二回目の冒険スタートです。


黒い外套で名前の表示されない少女と、ケタケタ笑うボロ人形のふたり旅、はーじまーるよー


望月家特製ドライカレー…前日の残りカレーに冷やご飯をぶち込んだシンプルなドライカレー。アクセントとして干しぶどうが入っている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ