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我が征くは職人(忍)道  作者: あらじる
ことのはじまり
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1-1 賽の河原にボケを積む

初投稿です。温かく眺めてやって下さいよろしくお願いします。



大学受験も無事終わり、人によっては麗しい青春のひと時を奏でたであろう高等な三年間を過ごした学び舎から追い出され、早めの春休みに突入した現状無職の皆様、いかがお過ごしでしょうか。私はーー


『生産がしたい』


春めいてきた陽気に反比例するかのように鬱屈としていました

数少ない親友の携帯端末に、思いの丈を簡潔にしたためたメッセージを送りつける程度には

受験対策で色々と情報を詰め込んだ反動でしょうか。無性に好きに何かを作りたい欲的なモノがふつふつと…

まあ何か趣味・特技(スキル)があるわけでもないのですが、ここは長い休みを利用しておニューなチャレンジもやむなしーーっとマイ携端から通話着信音が。いい加減デフォルトのままの着信音も変えようかな…。発信相手の表記は…《ハルカ》、さすが親友、お早い反応です


「やあやあ、ディアマイ(親愛なる)マヒルちゃん、モーニングコールをありがとう」

「もう午後だよディアマイハルカ」

「あっしは今さっき目覚めたんでい」

「さようですか、おそようございます」

「おはしたー」


以前からその気味ではありましたが、長期休暇で夜更かしに磨きをかけてますねこいつ。休暇終わりには鏡面加工に仕上がってるんじゃなかろうか


「んでさー」

「んー?」

「なに?あの生産がしたいって」

「何か生産的なことがしたいんだよ」

「情報が増えないなぁ」


通話の向こうから苦笑する気配

ここはちょっと畳みかけてみますか。あえてさらにふわっとした情報を……


「なんかこう『少女よ大志を抱け』的な」

「全国の大志くん大喜びイベントだね」

「ただし抱きついて来るのはゴリラとする、的な」

「全国の大志くん逃げてー」

「ゴリラゴリラとゴリラゴリラゴリラからお好きな方をどうぞ」

「うーんじゃあニシローランドゴリラで…っとはならないでしょうが!」

「「あっはっは!」」


うん、エンジンかかってきました。こういうちょっとした会話で暗い気分が晴れていくあたり我ながら単純というかなんというか…うん、たいわの ちからって すげーってことでひとつ。あと全国の大志くんごめんなさい


「つまるところさー」

「にゃ?」


やばい、変な声出ちゃいました。人が考え事してる時に話しかけないで欲しいですよねまったくもう通話中ですけどね!


「最近までインプット(入力)ばかりだったからアウトプット(出力)がしたくなった。できれば成果品として目に見えて達成感の得られるものがいいーーって解釈で合ってる?」

「え、あ、はい。そんな感じで合ってます」


我が親友は相変わらずこっちのふわっとした表現を適当に言語化してくれやがりますね。文学少女かっての。私の方が小説とか読んでるはずなんだけどなぁ


「まあお察しの通り、具体的に何をってのはないんだけど、なんか形にしたい欲というか…我が敬愛する親友ならなんかいい案出してくれるだろーって」

「うーむ、期待が重いわりに願いがふわっとしすぎじゃろ……あ」


お、なんか心当たりあった感ですね


「ゲームでもあり?あと準備費用がそこそこかかるけど」

「んーまあ多分?この際面白ければなんでも」


初期投資はまあ、優しい親戚一同がくれた進学ご祝儀と溜め込んだバイト代アンドお年玉でなんとかなるでしょう。付き合いでやってたバイトなのであんまり使ってないんですよね


「ふっふっふ、ならこのハルカちゃんオススメの一品があるぞい。まさに渡りに船ってやつ?」


おお、やはり持つべきは頼れる親友ですね。とりあえずーー


「六文銭用意しとくね」

「いや六文じゃ足りないしってか渡るの三途の川じゃないし」


やはり持つべきはボケ拾ってくれる相方ですね

携帯端末ーー個人用携帯端末、次世代型スマホ的なやつ。画面が割れるのを嫌がり結局パカパカに戻った。パカパカケータイと呼ぶと製作陣が悲しげな顔になるので携端(けーたん)と呼んであげるのが優しさ(マヒル談)らしい

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