イシュとガラルの話
魔王とは、魔族の最後の生き残りのことをいう。これよりもっと前の創世時代、神と魔族と精霊がいた。人間はまだ生まれていない。神は住処を天界に移し、魔族は地底へと下った。天と地は分かたれ、二度と行き来することができなくなった。精霊は自然と溶け込んだ。人間が生まれてから、その姿を見る者は少ない。
魔王というのは、地上に残った最後の魔族のことだ。他の魔族をすべて吸収し、たった一人だけ残ったのだ。現在の地上の魔族はすべて魔王の系譜だ。魔王が魔族と魔物を生み出し、この世界へと広めた。
魔王の名前はイシュといった。
「なんか、そんなすごい人には見えなかったけど、強いの?」
アルルがなんとも微妙な顔をしてコンスに尋ねた。
「強いだろう。もう何千年とたっているのに、まだ意思だけとなって生きているんだ。性格は関係ないだろうし、たぶん、時間と共に最初の人格ではなくなってるだろうね」
「そして、俺の祖先、神族のガラルだ。人間と契ったり交わった訳でもないのに、地上に残った稀有な存在。変わり者。性格ひん曲がり神族。もう、こいつは天界に還ってほしい」
「コンスがここまで言うとは……なんで人間界に残ったの? えっと、ガラル?」
アルルが少し控えめに聞くと、ガラルはなんとも言えない声を出した。
『魔王が……イシュがいたからだ……』
「魔王とはどういう仲なの?!」
『別に……ただの腐れ縁だ』
「なんかいつもと違って歯切れが悪いな。嫌味も出てこないし」
「魔王を唯一倒せる存在がガルラだ。この二人の過去は、愛憎にまみれてる。魔王の花嫁。その名で呼ばれていたことがあるよな」
『違う、花嫁なんかじゃない。失礼だぞ……』
「再び出会うため、愛と憎しみが攻めぎ合い、二人は再生と破滅を繰り返している。たくさんの人を巻き込んで」
何だ、その昼ドラみたいなドロドロした展開は。天の声でした。
『魔王が生き続ければ、魔物が暴れる。魔族も活性化する』
「ガラルは、そうやって、魔王を生かし続けてるんだ!」
コンスは余裕のないげっそりした顔で怒鳴る。
『私は、そんなつもりはない……ただ、二人とも滅びたくないのだ……』
「生きていたいっていうのは、この世に存在したら持つ願いだと思う。コンス……僕が助けられるかも。水の女神ティトリー。手伝ってくれる?」
アルルがコンスの手を取った。
難産でした。この二人、というか神様と悪魔だから二人っていうのが正しいかはわからないけど、この愛憎劇の内容はいらないと思うけど、昼ドラ的なのが好きじゃないので、筆が進まなかったのでした。この二人の昼ドラだけで1作できそうです。




