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方向音痴の勇者と音痴の吟遊詩人がへっぽこパーティを組みました  作者: アルル 名前なんてただの記号
魔王の花嫁編
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少し前の女子会

ヘルンとアシュリーが魔法講座をする少し前のこと。アルバは勝手にヘルン達に会いに行った。当然、先を越されて……じゃなく、勝手な行動をしたことにアシュリーは激怒した。ちなみに、アルバはなんと過去に2回でてるドM悪魔だから、振り返ってみてもいいよ。


「アルバ、どうして勝手な行動をとったのじゃ?」


「アシュリー様のためでございます。そして、お仕置きという名のご褒美をいただければ」


「妾のためというが、ヘルンという者を傷つける必要などなかっであろう? 妾は腸が煮えくり返るほど怒っておるのじゃ」


「アシュリー様のお怒りを存分におぶつけくださいませ」


「越権ぞ。アルバ、お主を側近から外す」


「アシュリー様、ご慈悲を!」


「そのようなものありはしない。……ヘルン、早く会いたいものぞよ」


アシュリーは、転移魔法でアルバを遠くへ飛ばした。


この後、ヘルンに興味持ちすぎて、アシュリーは会いにいっちゃうんですね。破壊魔法しか使えないアシュリーも転移魔法は使えるのだった。不便だから、覚えたらしいよ。転移魔法の習得に苦労したらしい。




飛ばされた先で、アルバはアルルとマール、ヘルンと女子会をする流れに。前に女子会の内容を話さないで終わった続きをどうぞ。


「そ~れで~? なん~の~話な~の~?」


「魔王様の話だ。私は部下で側近ですから」


「魔王の話?」


 アルルの瞳が輝いていた。


「魔王ってどんな人?」


「私的にはあまりそそられないのですが、ロリっ子ですね。罵りは良いですが、あの外見だとかわいすぎてマイナスですね」


「アルバだっけ? 君の性癖についての好みは聞いてないんだけど」


「え? 外見の話ですよね? 性癖についての話以外にすることありますか?」


「え?は、こっちのセリフだよ。性癖のせいで正しい情報が歪んでる気がするよ」


「そうですか? とにかく、幼女ですね、魔王様は。あと、歴代で最強の力を持っています。その力を行使することは少ないですが」


「魔王については、謎な部分も多いんだよね。吟遊詩人としては、知りたいんだ、詳しいことを」


「私の口から、魔王様の詳しいことは話せません。ただ、ご存じかもしれませんが、魔王とは階級の名前ではないということです。本人の意思や、現世の悪魔の意思ではなく、選ばれてなるということです」


「何に?」


「それを私が教えると思いますか?」


「無理だろうね。君は悪魔で、魔王の側近だからね。だけど、概ね、知っていることが正しいかな。魔王については」


「私は貴方の知っている内容を知らないので、その知識が正しいかはわかりませんが、時間はないでしょうね。魔王様は、強い力を持っているから今まで耐えてきましたが、これからはわかりません。そして、私は長生きです。何代かの魔王を見てきました。皆、同じ終わり方です」


「限界が近いと」


「間違いないかと。今の魔王様は誰よりも長く正常です。信じられないくらい。このままでいてほしかったのですが、勇者の剣が復活したのも、魔王様が魔王様として復活するからでしょう。私としては、最高のご主人様が戻ってこられるので、お待ちしているのですが、あの方にも愛着が湧いてしまったのです。どうにか、助けて差し上げたいのです」


「難しいかもしれないけど、ボクにできることは精一杯するよ。勇者の剣といい、魔王といい、まるで呪いだね」


「呪いは解けるものですよ。……女子会というか、私が一方的に話しただけかもしれませんが、このあたりで失礼します。夜分に失礼しました」


「悪魔~に夜~分~と~い~う感覚~が~ある~のね~」


「長く生きていると人間に紛れて生活することもあるので」


「そ~う~、じゃ~あ~ね~」


 マールが手を振ると、アルバは微笑んで音もなく去っていった。その所作はまるで人間だ。


「意外といい悪魔なのであるか?」


「悪魔は自分の利益になることしかしないよ、そういう生き物だから。ずっとね」


「ずっと? アルルの言うことは時々意味不明なのである」


「吟遊詩人の知識だからね」


「吟遊詩人が謎すぎるのである」


 そうして、その日の夜は更けていった。

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