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方向音痴の勇者と音痴の吟遊詩人がへっぽこパーティを組みました  作者: アルル 名前なんてただの記号
魔王の花嫁編
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楽しい時間の終わり

 デートイベントより少し前の話。


「妾の正体がバレたら、もう会うことはできんな」


アシュリーはヘルンの講座を聞きながら呟いた。ため息をついて切なそうにヘルンを眺める。


「どうかしたのであるか?」


ヘルンが不思議そうな顔でアシュリーを見た。


「なんでもないのじゃ、それより、妾は、早く続きが聞きたいのじゃ」




 場面は街中デート場面に戻る。


「あそこでご飯でも食べるかのぅ?」


 ヘルンは頷いた。


「お久しぶりですね、ヘルン」


 そこには、音もなく現れたアルバがいた。過去に登場した悪魔だ。


「貴様、なぜここにいる?!」


「魔王様、貴方こそなぜ、勇者パーティの魔法使いとディナーしようとしているのですか?」


「チッ、アルバお主には言われたくないわ。ヘルン、名残惜しいがここまでじゃ。残りの授業期間は雇用主の事情で出来なくなったとギルドに伝えておいてくれ」


「魔王……であるか?」


「ヘルンも薄々は気づいておったてあろう?」


「もっと、教えたいことがたくさんあったのである」


「妾が魔王ということがバレてしまったのであれば、勇者パーティのお主と一緒にいることはできんじゃろ」


アシュリーは、ヘルンに顔を近ずけてキスした。


あまりのことに、ヘルンは1歩も動けなかった。目を見開いたまま立ち尽くしている。


「アルバ、行くぞ」


「ヘルン、この前話したこと夢々忘れないように」


 アルバは少し慌てて、苦しそうに言い伝える。


 二人は音もなくかき消えた。


「ファーストキスだったのに……もう会えないのであるか」


ヘルンは涙を流していた。


「どうしたの、ヘルン?」


「泣いてるのか?! 誰にやられた?」


 そこに、通りかかったアルルとコンスがいた。


「魔王に会ったのである……アルバもいたのである」


「魔王とアルバに? その話、詳しく聞かせて」


 アルルの顔は珍しく真剣だった。いつものように興味深々、私気になりますという瞳がルンルン輝くような感じではなかった。


「時がきてしまったのかも…」


 アルルも苦しみの中にいるような声だった。


「そんな時、来ないでほしかったのである!」


 ヘルンは泣きながら叫んだ。

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