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方向音痴の勇者と音痴の吟遊詩人がへっぽこパーティを組みました  作者: アルル 名前なんてただの記号
魔王の花嫁編
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ヘルンの魔法講座

「魔法の定義からおさらいするのである」


「はーいなのじゃ!」


 そこには、街の施設の一室を借りたヘルンとアシュリーがいた。


 ヘルンは、ギルドから正式に依頼された。驚いたのは、ヘルン個人を指名というのもあるが、依頼料が高額だったことだ。この、アシュリーという人物は、実はお金持ちなのだろうか。ヘルンはただただ依頼料分の仕事をしようと思ったのだった。


「魔法というのは、体内の魔力を放出して事象を歪める行為である」


 ヘルンが右手の手のひらを上にすると、そこに炎が出現した。


「魔法を使えるのは体内に魔力を保持できる者だけである」


 手のひらの炎は消えた。


「魔法の性質を持つ者は少なく、また、その力をコントロールすることは、とても難しいことである。アシュリーはどんな魔法が使えるのであるか?」


「今、使うとヘルンごと、この辺り一体を吹き飛ばしてしまうのじゃー! コントロールがうまくできないのじゃ。爆発属性なんじゃと思う。無属性かの?」


「そうである! 無属性は水風火土の属性に分類されないものを全て無属性と定義しているのである! あと稀なのが、光属性なのである!」


ヘルンの議論は白熱している。自分の得意な領分については、熱く語る傾向にある。


「ヘルンは何属性なのじゃ?」


「我は……四属性全て使えるのである……」


「すごいではないか! なぜ、そんなに自信なさそうなんじゃ?」


「全属性使いというのは、あまりいいことではないのである」


「どうしてじゃ?」


「嫉妬の対象になるのである……」


「嫉妬???」


「知られると無視やら仲間はずれにされたりしたのである……」


「それは、その者たちの度量が狭いだけであろう? お主が気にすることではないのじゃ」


「このこと、あまり言わないのであるが、アシュリーには、なぜか言ってしまったのである。はじめて会った気がしないのである」


それを聞いたアシュリーは影でガッツポーズをした。


「妾はこのままがんばろうと思うのじゃ!」


「? 勉強をってことであるか?」


「後でのお楽しみじゃ♪」



 


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