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方向音痴の勇者と音痴の吟遊詩人がへっぽこパーティを組みました  作者: アルル 名前なんてただの記号
魔王の花嫁編
55/72

君とヘルンとの出会い

※森の泉の女神編の本編更新を番外編に割り込み更新してました!そのため最新話投稿じゃなくなってたみたいです。

まだみてない人は、そちらを先にお読みください!


「妾と一緒にいてほしいのじゃ! 妾と結婚してくれないか?!」


 そこにいたのは、可愛らしい格好をした少女?だった。まるで乙女ゲームのスチルのひとつ、シーンのひとつのようだ。一面の花畑だ。青い空に蝶々が飛んでいて告白シュチュエーションだ。

 

 その向かいには額のほうは青、頬は真っ赤になるという器用な真似をして複雑な顔をしたヘルンがいた。天気がいいのに、ヘルンの周りは漆黒の闇に包まれている。


「おっお断りするのだ……」


「なぜだ?! 何が不満なのじゃ?!」


「え、君、魔王であるよね? いちおう、我は、勇者パーティの魔法使いなのである」


「そんな些細なこと、何の問題にもならないのじゃ、妾と一緒にいたほうが幸せになるに決まってるのじゃ!」


 その言葉に何故かヘルンは下を向いた。確かに幸せかもしれない、とつぶやいてしまった。それは、ヘルンの出自にも関係していたし、この目の前の紫色のツインテールの美少女?との関係もあった。




 事のはじまりは、ヘルンが単独行動をしている時だった。アルルとコンスはレンタル冒険者制度でバイト、マールは診療所でバイト、ゲイルも建設現場でバイトしている時だった。ヘルンのできることは、魔法という専門的なことと、コミュ力不足のため、待機だ。求人の件数も少ないが、あれば高額依頼が多い。金額としては、ヘルンが一番稼いでいる。


 ヘルンは、いつも図書館で魔法の勉強をしている。今日は、たまたま散歩していた。ヘルンは、男装のような格好をしているし、背も高い。172cmだろうか。短髪黒髪で前髪で片目を隠しているし、黒いローブをいつも着ている。


「……なーんか足りないのである」


 池の前に座り込んで、ぼーと眺める。勇者のパーティにいて、冒険して、満ち足りるているはずなのだ。そう、時には、心に寂しさの穴があくこともあるのだ。ヘルンのお年頃なら尚更……。お年頃といっていいかわからない年齢ではあるのだが。


「たすけてなのじゃーだーれか助けてなのじゃー!」


 ドホーンという音と共に叫び声が聞こえた。普通に池にハマっている美少女?がいた。ヘルンは怯えて見ないふりをして、通り過ぎようとしていた。


「ちょっと、まて、そのこの者! こんな可愛い美少女?が溺れておるんじゃぞ! 助けるのが普通じゃろ?!」


「もう、自分で上がってるのである……怖いので行ってもいいであるか?」


「待て待て、実はお前さんに用事があってきておるのだ、魔法使い!」


「びしょ濡れで?」


「わざと濡れたと思っとるのか? 本当に転んで池に落ちてしもうたんだ。お主、行ってしまうし、慌ててもうた」


「……うっかりさん?」


「うむ、まあ、そこに池があるのが悪いのじゃ」


 腕を組んで赤くなって照れている美少女は、紫色の髪にツインテールの身長156cmのかわいい格好の女の子?だった。


 それが、ヘルンと”君”との出会いだった。

前編がシリアスすぎたので、ここからは、もう展開をギャグ展開にしていきたい……でも、キャラ達がこうしたいって勝手に出張ってくるから、どうしようもないのでした……。


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