どうしたら
「救出って言葉はあまり当てはまらない気がするな」
「そうだね、どっちかっていうと仲間にしよう計画?」
「恋と~いう~病を~治す~計画~か~もし~れな~いわ~」
コンス、アルル、マールは盛り上がっている。それを聞いて、ティトリーは恥ずかしそうな、申し訳なさそうにうつむいていた。
きっと、恋は物理的な距離があることと、時間が経てば癒えるだろう。
そのために、どうしたら、ティトリーをこの泉から離せるのだろう。
現在の最重要課題であり、難関だ。
「近くの図書館にでも行ってみる?」
コンスが何気なく言う。
「う~ん、ボクに少し時間をくれない?」
アルルは、何か当てがあるのか、言葉を濁した。
「一人で何か探すのであるか?」
ヘルンが興味深そうに問うた。
「ボクしか行けない知識の宝庫があるんだ。ちょっと行ってみたいんだけど、吟遊詩人の秘密なもんだから、別行動してもいい?」
「構わないよ。じゃ、俺達は、近くの村に行って図書館でも探そうか」
ヘルンとマールは頷く。ゲイルが何かを考える顔になった。
「俺も、故郷の図書館に問い合わせてみる。きっと、どこよりも知識がある」
「ゲイ~ルも~別~行動~な~の?」
「別行動する必要はないが、連絡する時間は必要だ。別行動でも構わないならそうしたい」
「じゃ、2人は別行動で。宿屋のある村の図書館で合流しよう」
「おっけー」
「わかった」
アルルとゲイルは別々の方向に歩いて行った。
「では、森の女神、有益な情報が入り次第、また来ます」
『ええ、ありがとう』
ティトリーは力なく微笑んだ。
『あなた達に水の加護があらんことを』
「見つからないのである〜」
結構大きな町だったので、図書館がちゃんとあった。
「そんなに簡単には見つからないよ。見つかるようなら、森の女神自身が知ってるだろうね」
ヘルンが本を持ったまま机につっぶしていた。コンスも本を机に置いていた。
「女神~を助~けた~い~気持ち~に嘘は~ない~けれ~ど~、女神を~助け~る~ことは~容易で~は~な~いわね~」
「そ~れは~本当~?」
「俺は嘘はつかない」
ゲイルが戻ってきて、真剣な顔で言う。結構、いつもあまり表情はないが。
「泉の水と切り離したら、ティトリーは存在が消滅してしまうかもしれないって……」
「ますます、泉から引き離す方法が遠ざかったのである」
アルルはまだ帰ってきていないが、ゲイルが帰ってきて、調べたことを話し始めたのだ。
「なぜ、泉の水と離すといけないんだ?」
コンスがゲイルに尋ねた。納得しきれないようだ。
「精霊の概念までは、俺はわからないが、泉という存在が女神を存在させているのではないか、と定義するならば、泉の水がなければ、彼女は存在できないという仮説が成り立つとあの、胸くそ悪い亡霊が言っていた」
この時ばかりは、ゲイルの顔が歪む。あの、パッパラーな原初の亡霊に嫌悪感しか抱かないようだ。
話していると、しょんぼりした様子でアルルが帰ってきた。
「ティトリーを泉から離す方法はわからなかった。だけど…」
「だけど?」
「マールの僧侶としての力を使うなら、もしかしたら……ただ、僧侶としての秘密を晒すことになるんだ」
マールの顔が明らかに驚愕に歪む。今まで見たことがないような顔だ。
「……アルルは、その秘密を知ってるのかしら?」
マールの喋り方が常人のソレになっていた。
更新に間隔あいてすいません。
当面は少し時間がとれるかもです。




