表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
方向音痴の勇者と音痴の吟遊詩人がへっぽこパーティを組みました  作者: アルル 名前なんてただの記号
森の泉の女神編
39/72

どうしたら

「救出って言葉はあまり当てはまらない気がするな」


「そうだね、どっちかっていうと仲間にしよう計画?」


「恋と~いう~病を~治す~計画~か~もし~れな~いわ~」


 コンス、アルル、マールは盛り上がっている。それを聞いて、ティトリーは恥ずかしそうな、申し訳なさそうにうつむいていた。


 きっと、恋は物理的な距離があることと、時間が経てば癒えるだろう。


 そのために、どうしたら、ティトリーをこの泉から離せるのだろう。


 現在の最重要課題であり、難関だ。


「近くの図書館にでも行ってみる?」


 コンスが何気なく言う。


「う~ん、ボクに少し時間をくれない?」


 アルルは、何か当てがあるのか、言葉を濁した。


「一人で何か探すのであるか?」


 ヘルンが興味深そうに問うた。


「ボクしか行けない知識の宝庫があるんだ。ちょっと行ってみたいんだけど、吟遊詩人の秘密なもんだから、別行動してもいい?」


「構わないよ。じゃ、俺達は、近くの村に行って図書館でも探そうか」


 ヘルンとマールは頷く。ゲイルが何かを考える顔になった。


「俺も、故郷の図書館に問い合わせてみる。きっと、どこよりも知識がある」


「ゲイ~ルも~別~行動~な~の?」


「別行動する必要はないが、連絡する時間は必要だ。別行動でも構わないならそうしたい」


「じゃ、2人は別行動で。宿屋のある村の図書館で合流しよう」


「おっけー」


「わかった」


 アルルとゲイルは別々の方向に歩いて行った。


「では、森の女神、有益な情報が入り次第、また来ます」


『ええ、ありがとう』


 ティトリーは力なく微笑んだ。


『あなた達に水の加護があらんことを』





「見つからないのである〜」


 結構大きな町だったので、図書館がちゃんとあった。


「そんなに簡単には見つからないよ。見つかるようなら、森の女神自身が知ってるだろうね」


 ヘルンが本を持ったまま机につっぶしていた。コンスも本を机に置いていた。


「女神~を助~けた~い~気持ち~に嘘は~ない~けれ~ど~、女神を~助け~る~ことは~容易で~は~な~いわね~」





「そ~れは~本当~?」


「俺は嘘はつかない」


 ゲイルが戻ってきて、真剣な顔で言う。結構、いつもあまり表情はないが。


「泉の水と切り離したら、ティトリーは存在が消滅してしまうかもしれないって……」


「ますます、泉から引き離す方法が遠ざかったのである」


 アルルはまだ帰ってきていないが、ゲイルが帰ってきて、調べたことを話し始めたのだ。


「なぜ、泉の水と離すといけないんだ?」


 コンスがゲイルに尋ねた。納得しきれないようだ。


「精霊の概念までは、俺はわからないが、泉という存在が女神を存在させているのではないか、と定義するならば、泉の水がなければ、彼女は存在できないという仮説が成り立つとあの、胸くそ悪い亡霊が言っていた」


この時ばかりは、ゲイルの顔が歪む。あの、パッパラーな原初の亡霊に嫌悪感しか抱かないようだ。


 話していると、しょんぼりした様子でアルルが帰ってきた。


「ティトリーを泉から離す方法はわからなかった。だけど…」


「だけど?」


「マールの僧侶としての力を使うなら、もしかしたら……ただ、僧侶としての秘密を晒すことになるんだ」


 マールの顔が明らかに驚愕に歪む。今まで見たことがないような顔だ。


「……アルルは、その秘密を知ってるのかしら?」


 マールの喋り方が常人のソレになっていた。


更新に間隔あいてすいません。

当面は少し時間がとれるかもです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ