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方向音痴の勇者と音痴の吟遊詩人がへっぽこパーティを組みました  作者: アルル 名前なんてただの記号
プロローグ
3/72

Lv.1スライム討伐クエスト

「本当に大丈夫なの?」


「大丈夫だよ!」


 不安になったアルルがリーダーであるコンスに聞いた。


「この流れで早速、クエストを受注しようか!」


「待って、連携とか、そういうのいいの? 明日でもいいと思うよ」


「実践あるのみ!」


 アルルが止めたが、コンスはノリノリでクエストを受注している。ブラック企業の社畜社員のようなセリフが聞こえた。


「またですか? 3回目ですよ。Lv.1スライムが倒せないなんてどうかしてますよ」 


 受付のお姉さんが迷惑そうな顔でクエストを発行していた。ちなみに、この世界では、個人には剣士や魔法使いなどの職業しかない。その代り、クエストにレベルがある。Lv.1の魔物を倒せば、Lv.2へということになるが、3回もLv.1の雑魚魔物を倒せないとなると、このパーティは最弱であろう。


「今回は新人が入ったから大丈夫だよ!」


 アルルは何も言わずについていくしかなかった。




「あれが、目標のスライムだ!」


 緑色の四角いスライムがぺったぺったと動いている。ドロドロしていて透けている。ゼリーのようだ。


「普通に剣士一人で倒せそうだけど、なんで失敗してるの?」


 アルルは不思議そうに聞いた。上手くやれば、風使いの自分一人でも倒せるだろう。ちなみに、一人で倒しても、パーティとしてギルドからクエストを受注していなければ、倒したことにならない。


「風よ! 力を貸して!」


 アルルは風の精霊に呼びかけてかまいたちを起こした。


「え?」


 その前に出てきたのは、拳闘士のゲイルだった。全身でかまいたちを受けて、無傷だ。


「ちょっと?」


「このようなか弱き者をいじめることは許さない」


「え~……」


 ゲイルが初めてしゃべったかと思ったら、意味のわからないことを言い出した。


「これ、クエスト。倒さないといけない。わかる?」


 若干片言になりながら、アルルがゲイルに説明するが、ゲイルは無反応だ。


「これが3回も失敗した理由?」


「そうだね! ゲイルは強くて、僕が剣で倒そうとした時も、素手で止めちゃったんだよね!」


 一点の曇りもない笑顔で言っているが、アルルはげんなりした。


「クエスト受ける前に、ゲイルを説得する必要ない?」


「無~理~よ~。ゲイルと会って3年くらい経つけれど~そういうこと通じないから~。頑固だし~」


 僧侶のマールが笑顔で言う。


「もっと違う魔物は?」


「これが、初期クエストで必須だから、スライムしか無理だね」


 アルルが訪ねると、必ずコンスがいい笑顔で答えてくれる。


「じゃあ、このパーティは、ずっとLv.0ってこと?」


「そうなるね」


「ゲイルは説得できないの?」


「僕とゲイルも出会って1年だけど、無理だったから無理だと思うよ」


 無駄に爽やかなコンスは、これは悟っているようだ。


「クエストの報酬を得られずにどうやって生活してるの?」


「皆、それぞれバイトしてるよ。魔物はクエストを受注しないで倒してる」


「ギルドとか、冒険者制度利用しようよ……」


 アルルは項垂れた。


「僕とゲイルは工事現場で、ヘルンは魔法講師。マールは病院で治癒魔法をかけるバイトをしてるんだ。バイトがない時はその辺にいる魔物を倒してる」


 まるで売れない芸人がバイトをしながら売れようといているようだ。


「ボッボクの冒険者ライフ返して~!」


 叫んで泣いている(すぐ泣きすぎ)のアルルを爽やかな笑顔で見守るコンスと一緒に泣き出しそうなヘルン。ゲルンは相変わらず無反応だし、マールはふわふわゆっくり心配そうに見ていた。


「まずは、バイト決めようか!」


 力強く肩を叩かれたアルルだった。














あ、あれ?王道ファンタジーだったはずが、魔物倒すんじゃなくバイトすることに(笑)

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