お金溜まった
「お金も入ったしまた、冒険行けそうだね♪」
アルルがウキウキした様子でお金の入った袋に頬ずりしていた。コンスがアルルの行動につられて笑う。そんな二人を他の三人が生暖かい目でみていた。二人の冒険のことを聞いた後の出来事だった。詳しくは、番外編をみてほしい。
「すごい奮発してくれたよね、アルミー達」
「まあ、あんだけ苦労したからね」
おんぽこ至上、今までで初の冒険らしい冒険だっただろう。そして、奮発した報酬は幻の花と遭遇できた二人の運への代金だというは、二人は知らない。
「次は火竜を倒しに行くんだよね!」
「魔王のことも気になるのである!」
「そうだねー魔王復活かぁ。初代の勇者が倒して何百年ぶりだねぇ~」
お気楽な様子でアルルが言う。
「魔王~復活~って~や~ば~く~ない~の~?」
「復活したからといって、すぐにどうこうならないらしいんだよね~徐々に影響が出てくるみたいだよ、過去の記録ではね」
アルルの瞳は金色に光っていた。それを見てコンスが眉をしかめた。
「アルル、なんだなわからないけど、それやめない?」
「それ?」
「目の色が変わるんだよ」
「ああ……いいんだよ。これで」
アルルは慌てて瞳をコンスから隠した。
「ど~う~い~う~意味~?」
マールが心配そうにアルルの瞳を覗き込んだ。心底、心配しているのだ。マールは僧侶ということと、病院にバイトに行っているため、体調や命の流れに敏感だ。
「前から思っていたのである。何かを消耗している気配がするのである」
魔力などの力の流れに敏感なヘルンは何かを感じとれるのだった。
「なんにもないよ。コンスは心配性なんだよ」
尚も、何か言いそうなコンスをゲイルが止めた。
「そうだ、やめよう。アルルの好きなようにやらせてやろう。俺たちに口を出す権利はない」
「そ~う~い~う~冷たい~~言い~方は~な~い~んじゃ~な~い~?」
珍しくマールが怒っている。
「アルルにはアルルの事情があるんじゃないか。俺達にもあるように」
マールとゲイルの間には気まずい空気が流れていた。
「ちょ、二人とも喧嘩しないでよ!」
「マールとゲイルはいつもあんな感じなのである」
ヘルンがアルルを止めた。
「意外!」
「でも、よく一緒にいるし、仲は良いのである。不思議なのである」
「喧嘩するほどなんとか?」
「なんとかの割合が多過ぎで良くわからないのである」
「なんとかの割合かぁ。確かに」
「はいはい、冒険は明日出発でいい?」
コンスがリーダーらしく手を叩きながら言う。全員異論はないようだ。
「明日、火竜退治の冒険に出発だ! 今回は長くなりそうだから、その準備はできてるよね?」
「え? 長くなるの?」
「アルルはあんまり関係ないよね。誰にも言う人いないだろ」
「まあ、そうだけどさ、え、コンス酷くない?」
ちょっと悲しくなったアルルであった。
「バイト先とかにちゃんと言っとかないとって意味だよ」
「我は大丈夫なのである」
「私~も~大丈夫~よ~」
「ああ、今まで携わってた建設現場で豪邸が建った。特別報酬を貰った」
「あの現場、終わったの?!」
「そうだ」
「僕には特別報酬はないの?!」
「その時、いなかったからないだろう」
「何ソレ……」
コンスはいじけた。
「俺がコンスの分ということで多めに貰った。安心しろ」
「ゲイルー? 先に言おうよー?!」
コンスがちょっと怖い。ゲイルは無視している。
「なんにせよ、明日、出発だ!」
さあ、ワクワクする(?)冒険の始まりだ!