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第8話 結局運動できる奴がモテる法則について

 様々な部活があるが、特に人気なのは野球部とサッカー部だ。特に俺たちが通っている神々峰学園では昔からサッカー部が優秀な成績を残しているという。

 帰宅部の俺はその辺は詳しくは知らないが、小耳に挟んだことくらいはある。

 サッカー部には王子がいると。

 無論、本物のではない。漫画なんかでよくいる運動のできるイケメン野郎のことだ。

 気に食わないが運動部に所属している女子にとっては魅力的な存在だろう。

 テニス部の恵がその王子が好きになっている可能性もゼロではない。

 まずはサッカー部の王子こと羽鳥 潤を恵の意中の相手として調査を開始する。

 しかし、恵は馬鹿だが簡単に口を割るような幼馴染ではない。色々と策を講じなくては。

「なあ、恵。あれって何だ?」

 第一段階。

 さりげなく恵があの王子のことを知っているかどうか確認する。

 幸いなことに相手は人気者だ。奴を中心に女子生徒が群がっているところが気になってそっと聞いてみた。

「あれはサッカー部の羽鳥くんだよ。女子からは王子様って呼ばれてるんだって」

「だって……ってことは恵はあいつのこと全然知らないんだな」

「そりゃあそうだよ。私はテニス部、あっちはサッカー部だもん。接点ゼロだよ」

 それもそうか。

 バレー部だったら近くで活動をしているからそれなりに接点はあるが、サッカー部ではあの女子生徒たちのようにこちらから何かしないとあの王子様には気づいてさえしてもらえない。

「にしても相変わらずのモテっぷりだね。私には関係ないけど」

「まあ、俺たちにとっては雲の上の存在だな」

「ふ〜ん。蓮がそれを言うんだ」

「な、何だよ?」

 何故かジト目で睨まれている。

 幼馴染にこんな目で見られるとは。葵ならともかく恵とは予想だにしなかった。

「別に〜。それよりも蓮がそんなこと気にするなんて珍しいね」

「いやでも目につくからね」

 やはり恵も知っていたか。

 だがそれは羽鳥が学園の有名人だからということもある。これだけでは羽鳥が意中の相手とは断定できない。

 こうなったら第二段階だ。

 といっても恵と羽鳥の距離を近づけるだけだ。

 恵は恋愛経験がないから奥手になっているのかもしれない。だとしたら俺が手を貸してやらなくては。

 問題はテニス部とサッカー部という差だ。運動部であるというところにしか接点がないから進展はしない。

 そこで二人を引き合わせて恵の反応を見る。

 幼馴染である俺ならそれで羽鳥が好きなのかどうかが分かる。不本意ではあるがここからはリリエルに手伝ってもらう。

「引き合わせるといってもどのようにですか?」

「単純に引き合わせるならお前の天使としての力を使えば簡単だ。でもそれだけじゃあ駄目だ。出会いってのは印象的なものじゃないと」

 それはスマホが普及よりも前という大昔から決まっている。学園ハーレムものでは何かしらのトラブルに巻き込まれてその張本人が主人公のクラスに転校してきて「あ〜、お前は⁉︎」という風になるのが鉄板だが、そもそも恵は転校生ではないからこの手は使えない。

 だから恵には少女漫画によくあるあれを体験してもらう。

「曲がり角でぶつかる……ですか?」

「ああ、そうだ。調べてみたところ二人の通学路で交わるポイントが一つだけあった。ここで二人がぶつかるように裏で糸を引く。その後どうなるから本人たち次第だが最初はそんなもんだろ」

 いきなり大きく展開させる必要はない。これは恵の意中の相手を探すための作戦なのだから。

「ぶつかるように裏で糸を引くと簡単に言いますが具体的にどのようにするのですか?」

「二人は運動部だ。運動部は朝に決まった時間に練習してる。それに間に合うように恵たちは朝早くに家を出ているわけだが、これをこっちで調整すれば……」

「なるほど。そういったのは得意です。ここは大船に乗ったつもりで任せてください」

「お前一人に任せるかよ。協力して計画を成功させるぞ」

 幼馴染幸福化計画が本格的に始動した。

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