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第71話 ラブコメの最終話は突然やってくる法則について

 主人公は大抵、勇者の血を引く者だったりとその人の家系は特殊なケースが多い。俺もそうだったわけだが、どんな修行をしたかは秘密事項だそうだ。

 ともかく、天使としての力を解放した俺はとある場所へと向かっている。

 そこは魔王に所以がある場所で魔王復活の場となっており、そこには見覚えのある女子生徒が待ち構えていた。

「まさかこんなことになるなんてな。あの時は思いもしなかったよ委員長」

 有栖川 京子。

 俺たちのクラス委員長だ。最近、姿を見ないと思ったらまさか魔王に取り憑かれているとは驚きだがたとえ相手が委員長がやることは変わらない。

「その様子だとどうして私がこんなことになったのかまだ理解出来てないみたいだね東雲くん。だから私はこうして魔王に体を許したというのに」

「自分から魔王を取り込んだというのか⁉︎ どうしてそんなことを」

「それは東雲くんが優柔不断だからです。幼馴染の二人が好きなのは見ていて分かったけど、いつまで経っても誰も選ぼうとしない。だからつい、まだ私にもチャンスはあるがあるじゃないかってーーその心の隙を突かれて魔王が私の体を乗っ取ろうときたの。けど、私はそれに抵抗出来る力があったみたいでその気になれば追い出すのは簡単だった。でも東雲くんの目を覚ますにはこの力が必要だと思ってこうして受け入れたの」

「そのせいで他の誰かが犠牲になってもか?」

「犠牲? 私はそうならないようにしたよ。実際、この時まで無意味な戦闘はしないようにしているから。それよりも今ここで東雲くんの答えを聞かせて。結局、誰を選ぶの? 雛坂さん? 鷺宮さん? それともリリエルさん?」

「俺は選ばない。そのせいで委員長を困らせて悪いが、俺は全員が幸せになるようにしたいんだ」

「それは絵空事だよ。最終的に選ばれるのは一人だけ。それ以外は失恋を味わう。それが恋愛というものなの」

「確かにそうかもな。他の奴にも散々言われたよ。お前の考えは甘いってな。でも俺は幼馴染が悲しむ顔はみたくない!」

 ラブコメなら誰もが幸せなハッピーエンドで終わる。だがそれはフィクションだからだ。現実ではそうはいかない。それは俺が一番分かっている。だが、だからこそ俺はハッピーエンドにしたい。

「……やっぱり東雲くんはそういう人でしたね。けど忘れないでください。東雲くんが進もうとしている道は多くの人を悲しませる結果になることもあることを」

「ああ、肝に銘じておくよ」

 今回の魔王騒動は委員長がその身に魔王を封じ込めたことで片がついた。復活を目論んでいた悪魔たちは母さんが全員が拳で黙らせて天界に閉じ込めたらしい。魔王の魂も委員長から引き剥がして再び封印するとかで俺たちの出番は終わった。

 こうしていつも通りの日常を取り戻した俺たちは変わらない学園生活を送る。リリエルも一緒にだ。

「魔王が封印されてもお前はこっちに残るんだな。てっきり流れで天界に帰ると思ってたが」

「私の役目は蓮様の計画を達成に導くことですから」

「別に俺も天使の力を手に入れたからお前の手を借りなくても」

「それは……困ります。私は役目とか関係なしに蓮様のお傍にいたいのです」

 こちらを覗き込む顔は赤く染まっていた。こんな状態の女子のお願いを断ることなど出来るはずもない。

「はぁ〜、これはまた計画を一から練り直さないとな」

 けど、俺はこんなことでは諦めない。

 俺が見つけた『ラブコメで幼馴染が報われない法則』を打ち砕くまでは。

タイトルの通り、今回で最終回となります。読んでいただきありがとうございました!

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