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第63話 夜に訪問者が来ると身構えてしまう法則について

「えっと……お帰りで良いんだよな。ちょっと記憶が曖昧なんだけど」

 蓮が目を覚ますとそこには二人が心配そうにこちらを見つめていた。蓮は時計を見て開始してから二時間も経っていることに気づく。

「それは恐らく後遺症ですね。他人に魂の中に入られるというのはストレスがかかりますから。時間が経てば元に戻りますから今日はこれまでにして何があったかは明日話すことにしましょう」

「いや、大丈夫だ。そんなに大したもんでもないから今聞かせてくれ。お前たちが何を見たのか」

「何をって言われても正直返答に困るな。別に凄いもんがあったわけでもないからさ」

「期待はしてないから言ってくれ。変なもんがあったわけでもないんだろ」

「はい。私たちが見たのは本です。文庫サイズのもので表紙と裏表紙には何も書かれていませんでした。中身を確認しようとした際に拒絶反応が起きましたが、西条さんのおかげでこうして無事帰還することが出来ました」

 あれがなかったら二人は永遠にあの場に閉じ込められていたことだろう。

「へえ、やっと役に立ったか」

「やっとって何だよ! それじゃあ、俺が全然役に立ってねえみたいじゃねえか」

「実際そうだろ。リリエルは毎日欠かさず二人の監視をしてるがお前は用心棒と言いながら俺を助けてくれたことは一度もない」

 それどころか俺に傷を負わせている。これは用心棒としていかがなものだろうか? 俺が雇い主だったら即刻クビにしてるところだ。

「うっ……それはお前が俺のこと見てないからだよ。本当は裏で活躍してるっての」

「見てるって。大体俺の近くにいたからそんなことになってたら気づくわ。変な言い掛かりはよせ。それよりも本……か。中身は見たのか?」

「先ほど言った通り、中身を確認しようとした途端に拒絶反応が起きたので最初のページしか見れていません。私が覚えているのはそこに幼馴染という単語があったのしか……」

「何だそれ? まあ、それはそれで蓮らしい。これじゃあ結局、無意識の願いを特定するのは難しいな」

「いや、何となく予想はついた。多分これは俺の夢と関係してきてるんだ」

「お前の夢と?」

「そうだ。俺の夢はラノベ作家になることだ。それも幼馴染が幸せになるやつをな」

 最近は色々と忙しくて執筆は進んでいない。本当なら今頃、計画が成功して作家を目指して奮闘していたというのに。

「つまりラノベみたいな展開になるってことか?」

「多分な。教育実習生ってのも困った時の新キャラだ」

「困った時の新キャラ?」

「ああ、新キャラを出せばそいつを中心に物語を進ませれば良いからな。特にその新キャラが変わった奴ならページ数稼げるし……」

 いや、でもラブコメにはそういったやり取りが必要なんだよね。現実だって他愛のない会話の積み重ねで仲良くなっていくわけで……。

「全部、当てはまってるじゃねえか。やっぱりあの教育実習生は秘宝の力で来たんじゃねえのか?」

「だとしても別に何もしてないから気にしなくて良いだろ。それに教育実習生だから期間限定の新キャラだ。その時が来れば勝手にーー」

 とそこでチャイムが鳴った。

「誰だこんな時間に」

 時計の針は既に十時を指している。こんな時間になると我が幼馴染としか考えられなかったが扉を開くそこには話題にあげていた自称姉の教育実習生が満面の笑みで立っていた。

 蓮は咄嗟に扉を閉める。

「な、何でここに?」

 決してやましいことはないが傍から見たら未成年の男女が同じ屋根の下で生活しているというのは不純異性交遊を連想させてしまう。

 だが何故教育実習生がここに?

「あの、お姉ちゃんですけど開けてくれませんか?」

 堂々と姉宣言。

 俺の見間違えではない。この扉の先にいるのはあの教育実習生だ。

「おい、何してんだよ」

「蓮さん、妙な勧誘でしたらお任せください」

 勢い良く扉を閉めて大きな音を出してしまったせいか二人が心配して玄関へと駆けつけて来たがタイミングが悪い。

「その声は潤香ちゃんとリリエルちゃんですね。突然で驚いたでしょうけどお話がしたいのでここを開けてくれませんか?」

 流石に状況を飲み込めないらしく、互いに顔を見つめるだけで言葉は出ない。

「どうする?」

「どうするったって、その様子だとずっとそこにいるか。日を改めてまた来るだけだぜ」

 確かにそれは言えている。

 別に怒られるようなことは一切していないのだからここは家に上がらせて、何の問題もないことを証明してやろうと扉を開けて自称姉を招き入れた。

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