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第6話 修羅場は唐突にやってくる法則について

「どうやらお二人は好きな方がいるようです」

「どうした突然」

 既に二人で朝食をとることが当たり前になってきている登校前、リリエルがおもむろに口を開いた。

「私の放った矢は素直になるものと説明しましたが、実は意中の相手がいると効果が発動しないというデメリットがあります。今回はそのせいで進展がなかったのかと」

 何とも言い訳がましいが、他の人に実験として使用すると確かにその効果は絶大であった。そうなるとあの矢というよりも二人に何かしら原因があるのではと思っていたところだ。

「それは逆に朗報だな。好きな奴と付き合えればあいつらは幸せになれる。俺らはその手伝いをしてやれば良いだけだ」

「そうですが、相手はどうやって聞き出すつもりですか?」

「幼馴染の立場を利用して周りの奴から話を聞いていけば目星くらいはつくさ。俺はそういったことに関しては自信があるからな」

 人を見る目があるとは自分でも思う。その理由をこの天使に語ってやりたかったが、チャイムがそれを阻んだ。

「なんだ、こんな時間に」

 そろそろ準備して出発しないと遅刻してしまう。訪問販売とかなら無視をするが鳴らしたのは両隣にいる幼馴染だった。

「お、おはよう。二人ともどうしたのさ。生徒会は? 部活は?」

「今日はお休みだよ〜」

「私も同じです」

 二人が朝に暇をしているのは珍しい。これは久しぶりに一緒に登校が出来ると喜悦すると同時にダイニングにいるリリエルのことを思い出した。

 我が家に住み着いていることは話していないのだ。別に隠していたわけではないが、何となくタイミングを逃してしまった。もし、あいつがここに来たら色々と厄介なことになりかねない。

「そっか。じゃあ、すぐに準備するからここで待っててくれないか?」

 やましいことはないのに、コソコソしないといけないのは気分の良いものではない。だが俺の思いをいつも裏切ってくれるのが転校生だ。

「雛坂さん、それに鷺宮さん。おはようございます」

 準備を済ませて丁寧に俺の鞄と制服を携えているリリエルが最悪のタイミングに登場した。

 その後、俺が修羅場というものを味わったのは言うまでもない。




***




「ふ〜ん。ホームステイ先がたまたま蓮のところだったんだ。凄い偶然だね」

 いつもは優しい二人があんな顔をするとは修羅場とは恐ろしいものだったが、どうにか落ち着かせて事情を話した。

「ああ、恵と同じクラスになりまくってるのがあり得ならこういうのもあり得るさ」

 嘘だ。

 このホームステイは何かしら裏で動いて無理やりねじ込まされた感がある。親父は何かと適当だが流石に見ず知らずの奴を息子と一つ屋根の下に住まわせようなどとは思わないはず……多分。

 これは天使の力を使ったに違いない。そこら辺は問いただしても口を割らないのでその話はしないようにしている。

「私も同じよ」

「そ、そうだな。でも葵、本当に生徒会の仕事は大丈夫なのか?」

 生徒会とは縁遠いからどんな仕事をしているかなんて知らないけど、何かと忙しいイメージがあるが。

「今日は特に仕事はなかったから。それに恵からあんな話を聞いたらね」

「あんな話?」

「うん。蓮とそこの転校生さんが仲が良いって。付き合ってるだなんて噂も流れてるんだよ!」

「付き合ってる? こいつと俺が? ないない」

 全く近頃の奴ときたら一緒にいるところを見たらそいつらは付き合ってると思う病気にでもかかっているのか?

 ともかく、そんな噂はすぐに誤解だと二人だけでなく全員に分かってもらえるようにしないとな。

「ふ〜ん。それなら良いけど」

 どうやら二人とも納得していないご様子。

 それも無理はない。本人でさえ駅前のクレープを奢る程度で許してもらえているのが不思議なのだから。

「けど、どうしてお二人はその噂を聞いて慌てているのですか?」

「あ、あわ、慌てる? 何を言っているのかなリリエルちゃん。私たち、別に慌ててなんかないよ。ただ幼馴染として気になっただけで」

「そうよ。おじさんから頼まれてるから何かあったらと思っただけで、何も疚しいことはないわ」

 と赤様に口籠る二人。

 何故かそっぽを向いて目を合わせてくれない。

「おい、リリエル。あまり二人を困らせるな。それよりも恵、ラケットはどうした? 葵もリボン忘れてるぞ」

 いつもの二人らしくない。家に押しかけてきた時から指摘したかったがそれどころではなかったので、このタイミングで言ってやると何故か顔を真っ赤に染めて家へと戻っていってしまった。

「あ、あれ?」

 何か機嫌を悪くするようなことを言ったか? 別に忘れ物くらい誰だってするだろ。なのにそれを俺に見られてたくないように家に逃げ込むだなんて大袈裟すぎる。

「れ、蓮くんは先に行ってて!」

 恵からの一言に従い、蓮たちは先に学校へと足を進めたが彼女たちの本心を知らないまま計画が実行に移された。

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