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第51話 天然な母親は最強な法則について

 俺の母親は自慢の母親だ。

 見た目は俺の姉と間違われるほど若々しく綺麗で温和な性格で滅多に怒らない。

 が、この時の母さんは違った。

 目は笑っていたが内心は般若のような顔で怒り狂っているだろう。息子の俺には分かる。

「久しぶりねサリエル。私の息子に何か用?」

「カ、カマエル……。どうしてここに?」

「息子の顔が無性に見たくなって、この時間なら学校にいると思って来ちゃった」

「来ちゃったってミカエルの結界で外から入るのは不可能なはずーー」

「確かにあったわね。邪魔だったから壊したけど」

「相変わらず化け物ね。貴方も私を倒しに来たの」

「だから息子に会いに来たって言ったじゃない。まあ、でも困ってるみたいだからお母さんが助けてあげようかなって」

「そんなついで感覚で私たちの計画を阻止されるなんてたまったものではないわ」

「計画? へえ、最近いなくなったって聞いていたけどまさかそんなことを……。これは同じ大天使として」

「か、母さんが大天使⁉︎」

 あまりにも急な展開で口を挟めなかったが確かに自分でそう言っていたし、ここに来れているというのが何よりの証拠となっている。

「ごめなさいね蓮くん。本当は巻き込みたくなかったんだけど……詳しい話は後でするからちょっと待っててね」

「仁那! 私を守りなさい」

 戦闘態勢に入る両者。

 先に動いたのは依莉。通せんぼするようにサリエルの前に立ったが一児の母とは思えない正拳突きをくらいその場に倒れ込む。

 咄嗟にサリエルは逃亡を図ろうとしたが目にも留まらぬ速さで背後に回った一児の母の手刀で気絶させられた。

 一分も経たないうちに戦闘が終わり、それを見ていた三人はその鮮やかさに呆気に取られる。

「さて、じゃあ後片付けはそちらのお二人に頼もうかしら。片方は堕天使だけど蓮くんと一緒にいるってことはこっち側と考えて良いのよね?」

「え、ええ……。大天使ミカエルにそこに倒れている大天使サリエルの討伐を頼まれていたわ。だから後片付けくらいするけどあんたは?」

「私は早速、蓮くんとイチャイチャしてます!」




***




「母さん、みんなの前でああいうのはやめてくれない」

 二人きりになることができたが、クリムの視線が痛かった。俺は慣れているが傍から見たら変な母親だが、あまり家に帰って来れないから久しぶりに会うとベタベタとくっ付いてくる。

 誰もいない保健室で男女が肌と肌が触れ合っているという状態だがこれは親子同士だから健全だ。

 今まで知り合った誰よりも大きなその胸の感触が俺の理性を狂わせるが流石に慣れてこの程度なら戸惑わないようになった。

「でもこうしないとお母さん、寂しくて死んじゃう」

「結界を破って進入してそのまま大天使とその護衛を素手で倒した人が何を言ってるんだよ」

 箸より重たい物が持てないと言いつつ、冷蔵庫を片手で持ち上げているようなものだ。あんな戦闘をする人がうさぎのような理由で死ぬはずがない。

「あれはあれ、これはこれです」

「そんなよそはよそ、家は家みたいに言われてもな……。まあ、減るもんじゃないからいいけど」

 誰かに見られたら誤解を解くのに時間がかかりそうで面倒だがまだの他の生徒たちは鬼ごっこの真っ最中だ。

 こんな保健室に来る人なんてサボリ魔くらいしかいないだろうが……と考えていると視線を感じて戸の方を見るとそこにはサボリ魔の保健医がこちらを覗いていた。

「えっと、ごめん」

「ちょ! 待ってくれ桐嶺先生!」

 次なる隠れ蓑を探しに行った先生を探し出して誤解を解いていたらお昼休みになり、鬼ごっこは終わっていた。

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