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第5話 自信満々な人は大事なところで失敗する法則について

 昼休み。

 約束通り、天使の力とやらを、見せてもらうことになった。見晴らしの良く、人がいない場所に行きたいということで施錠はされているが屋上を薦めると窓からその羽根で飛んで潜入することになった。

 もうこの時点で使えるには使えるとな言えるが、計画には不要なものだ。

「それで何をするつもりなんだ……って、おい。それは何だ?」

 何処から取り出した金の装飾が特徴的な弓矢。いかにもという感じはするが……。

「天使の弓矢です。普通の人間には見えませんが特別に蓮さんには見えるようにしておきました」

「そんな物騒なもので誰を射抜くつもりだよ。流血沙汰はごめんだぞ」

 二人のためなら何でもする所存だが、流石に犯罪には手を染めたくはない。それでは幸せになった二人を祝福することができない。

 すぐに仕舞うように促すが首を振って誤解だと説明をする。

「これは人体を傷つけるものではありません。分かりやすく言いますと恋のキューピットのそれだと思ってください」

 恋のキューピット?

 天使とキューピットを同一視していいものかは知らないけど、本人がそう言うのならそう思うようにしよう。

「じゃあ、射抜いた相手を恋に落とすとかそんな感じか?」

「少し制限はありますがそんな感じです」

 何ともご都合主義だが、天使が実在するという時点で都合などへったくれもない。

「狙いは蓮さんの幼馴染である二人です。恋とは人生を充実させるものですから彼女たちも恋をしたら蓮さんの計画が成功ということになりますよね」

「それはそうだが二人の意思に反してのものなら俺はどんな方法を使ってでも止めるぞ」

「心配をしなくても大丈夫です。これは対象が素直になるというだけですから」

「なんか地味だな」

 もっとファンタジーな感じの能力を予想していたがあまりにも地味だ。まあ、バトルものではないのだから別に良いけど。

「ファンタジーのようにはいきませんので。すいません、もう少し説明をしたいのですが来てしまったので実際にやってみますね」

「来たって……まさかお前、もうそれを使う気か⁉︎」

 屋上から見回してみると中庭に二人の姿があった。先ほどの発言からしてリリエルが事前に何かしら仕込んでいたからだろう。

「早いに越したことはありません。私の目から見てあの二人は何かしら隠しています。この一手で大きく進展すると思いますよ」

 それは魅力的な誘いだ。

 進展のないラブコメほどつまらないものはない。それはもはやコメディーだ。ラブはない。

 その結果によって幼馴染キャラが報われないことになったりするのが定番だ。決まって主人公はぽっと出の転校生とかと選ぶのだから。

「分かった。けど、余計なことはするなよ」

 苦渋の決断ではあったが、今までの態度からして計画を台無しにしようという輩ではないのは知っている。

 そろそろ何か仕掛けようとしていたし、ここで彼女がどちら側なのかを確認しておきべきだろう。

「ではいきます」

 おもむろに二つの矢を取り出して弓を引く。

 その矢は綺麗な放物線を描き、二人の幼馴染を貫いてそのまま溶けて消えていく。

 しかし、二人は矢を当てられたこと気づかずそのまま何処かへ行ってしまう。

「効果が現れるまで待ちましょう。それまではいつも通り過ごしましょう」

 素直にするという天使の矢。

 半信半疑で一週間待つことにした蓮たちであったが残念ながらこれといった進展はなかった。

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