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第46話 学園もののイベントはありきたりな法則について

 天使。

 それは神に仕える存在で神聖なもの。人間をそれにする権限を与えるとその天使の中で大天使と呼ばれ他の天使たちから敬われているものが言うのだから混乱してしまう。

「それは大盤振る舞いどころじゃないわね。こんな奴にそんな権限を与えるなんて」

「この小僧は期待ができるからの。といっても事が終わり次第、天使になった者にはその時の記憶を消去し人間に戻すようにはするから心配せんでも良いぞ」

「でもそんなことしてる時間あるのか? 何処に敵がいるのかも分からないってのに」

 戦力増強は必要だが、その隙を突かれては目も当てられない。

「人間から堕天使にすよりかは楽なはずよ。天使も元は人間なんだから」

「うむ。じゃが、同様に素質のある者にしかこの権限は意味を成さん。その辺も気をつけて頼むぞ。ほれ、近くに来んか。権限を与えてやろう」

 言われるがまま近くに行くと、美嘉は蓮のおでこにキスをした。

「な! 何してんよ⁉︎」

「何とは権限を与えたまでじゃよ。そんなに焦らんでも良いじゃろ。それとも此奴を狙っておったのか?」

「馬鹿じゃないの! こんな非常事態に冗談言ってないで何か学園長らしいフォローしなさいよ」

「そう言われると思って取って置きのイベントを用意しておる。そろそろ時間じゃし、今は戻るんじゃな。クラスにサリエルがおったら怪しまれるぞ」

「……分かった。行こうか」

 この権限を上手く活用して、大天使打倒へと。




***




 教室の扉を開けて迎え入れてくれたのは少し不安そうな恵。

「蓮、今日は遅かったね。何かあったの?」

「いや、それがリリエルが急に体調が悪くなったから帰らせてたんだよ」

 流石に増援を呼びに言ったとは口が裂けても言えない。この教室の中にサリエルがいるかもしれないのだから。

「そうなの⁉︎ だったらお見舞いに行かなきゃだね。でもこんな時にだなんて運が悪いね」

「こんな時にってどういうことだ?」

「それがね。ついさっき学園長の独断? で授業の代わりにゲームをやるんだって」

 美嘉は既に手を打っていたようだが、それがこれか。強制的に生徒を全て参加させるものを催してこちらのペースに持って行こうということだろう。

「へぇ。それはまた突然だな」

「一旦、体育館に集合らしいから一緒に行こ」

 授業がなくなったからかヤケにテンションの高い恵に引っ張られ、蓮は体育館へ向かった。


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