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第41話 上に立つ者にはそれなりの威厳がある法則について

 謎の幼女天使が堕天使騒動を鎮めた翌日。

 鷺宮家を訪れると葵はいつも通り、生徒会の仕事があると朝早くに登校して行ったらしい。

 あの時、「もう大丈夫じゃ」と言っていたのはこの事か? いやまだあのヤンデレ化した葵が猫を被っているかもしれない。

 まだ予断を許さない状況。気を引き締め、登校しようとすると途中でクリムと出会った。

「やっぱりお前も気になるのか?」

「当たり前でしょ。私が狙ってた奴をよりにもよって大天使に横取りされたんだから黙ってられないわ。それであいつは?」

「ああ、リリエルは別の調査をしてるからって最近一人でウロウロしてるぞ」

「相変わらず使えないわね。まあ、今回に関してあいつは当てにしてないし」

 学園に到着して早々、名指しで蓮とクロムは学園長室に来るように放送が流れた。

「学園長室に呼び出し? ってことはあの幼女大天使は学園関係者ってことか」

「どちらにせよ学園長は少なからずこちら側のことを知ってるってわけね。それは色々と面倒なことになりそうね」

「まさかお前を捕まえるための罠とかじゃないよな」

 幼女でも天使だ。敵対する堕天使をこの際に駆逐しようと企んでいても不思議ではない。

「馬鹿ね。大天使がいるならそんな遠回しなことしなくても私一人くらいなら普通に襲ってくるわよ」

 それもそうか。

 あの時に無害認定がどうのか言っていたし、クリムをどうこうしようなどとは思っていないのか。

「お前にしては随分と謙遜してるじゃないか。そんなに大天使ってのは凄いのか?」

「あいつから聞いてないの? じゃあ、私が直々に説明してあげるから感謝しなさい。そもそも天使にも階級があって一般天使、大天使、主天使の三つあるの。天使のほとんどは一般天使に属してて、大天使以上となると数える程度しかいないの。化け物級に強いらしいから間違えても喧嘩を売らないことね」

「言われなくても売らねえよ。さて、ここが学園長室だな」

 今回に限らず、こういったところの前に来ると何も悪いことをしていないのに緊張する。相手が学園長となると尚更だ。

「何か言ってきたら最悪、あんたは私に命令されてやった言いなさい」

「どうした急に」

 らしくない。

 堂々と、そして我儘の方がクロムらしいというのに。まあ、あの幼女が相手で致し方ない。

「単にあっち側の思い通りにはしたくないだけよ。あんたは色々使えそうだからあんな連中に独占されるのは癪なの」

「そうかい。じゃあ、そうならないように祈ってるよ」

「あっそ。私は学園長の奴に文句の一つや二つ言ってやるわ」

 各々の思いを胸にその扉を開くと仰々しい椅子に踏ん反り返った幼女が首を長くして待っていた。

「遅いではないか。それでは昨日の話を聞するかの」

 ここで初めて二人は学園長がこの幼女であることを知る。

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